テロ組織はなぜTUSASをターゲットにしたのか。その6つの鍵
2024年10月25日付 Milliyet 紙
トルコの重要な軍事産業企業のひとつであるTUSAŞに対しテロ攻撃が行われた。カフラマンカザン地区で起きた攻撃で5人が犠牲となり22人が負傷した。卑怯は攻撃をした2人のテロリストも殺害された。では、テロ組織はなぜTUSAŞを狙ったのか。専門家に聞いた。
テロリストが狙ったトルコ航空宇宙産業株式会社(TUSAŞ)は、トルコの軍事力の外国依存を軽減するために、1973年6月28日に産業技術省により設立された。この企業は今日までに重要なプロジェクトを実現し、トルコの防衛産業強化に大きな役割を果たしてきた。TUSAŞのコーディネートで生産されたT129 ATAK攻撃探索型ヘリコプター、T70一般形ヘリコプター、ANKA 及びAKSUNGUR無人機のような航空機類は、安全保障に貢献している。
HÜRKUŞ練習機、HÜRJET練習・軽攻撃機、 GÖKBEY一般用ヘリコプターなどの製品も間もなく実施配備されるところだ。ANKA III無人機のテストも頻繁に行われている。
■ カアンの設計者
同企業のもっとも重要なプロジェクトのひとつは製造中の国産戦闘機カアンで、これはわが国の航空産業史上重要な転換点になろうとしている。カアン・プロジェクトにより、トルコは、戦闘機の設計・生産に関し世界の重要な拠点国になる道に重要な一歩を踏み出した。カアンはトルコを、戦闘機の5世代機を生産できる小数の国のひとつにする。
プロジェクトは、トルコの軍事産業における独立を強化し、外国への依存を軽減する。カアンは2028年中にトルコ空軍で使用を開始されることを目標としている。TUSAŞは、世界の注目を集める成功をおさめた。同企業は、最近ではアゼルバイジャンで使われていたSu-25の改良を行い、同国に納入した。
■ 攻撃の可能性6項目
アンカラTUSAŞでのテロ攻撃が、どんな意図と目的で行われたのか。BAU SAM社長のアブドゥッラー・アアル氏は攻撃の可能性を6項目で論じた。
1)まず考えておかなくてはならないことがある。このうちのひとつは、トルコの軍事産業の到達点であり、生みだし始めた独立性が完全な独立に向け進んでいることだ。つまり必要とする戦闘機や対空防衛攻撃ミサイルシステム、さらに無人航空機やヘリコプターまでをも、この施設で開発していること、そしてそれがもたらす不快感だ。不快に思うのはとだれか?まずはトルコのライバル、そしてトルコが地政学的独立や戦略的独立を生み出すことへの(妨害を)希望し続ける者たちだ。ここから発したテロ攻撃、それが含むメッセージというということはあるか?あるう。
■ 中東の緊張にトルコを引き込もうとしている
2)なにより中東には大きな緊張、不安定さがある。この不安定さに、トルコを含めようとしているように見える。一方で、トルコは、現在も、直接的にも間接的にも影響を受けている。このため、緊張が高まっている。この緊張がうみだしている多くの偽情報、疑惑、推測、侮辱、中傷がある。これに関係があるという可能性を無視できない。
■最近の状況に一部も人が反応した可能性も高い
3)今、進行中のことがある。ある方向に向かおうとしていたとみられる。特にメディアにながれていたことはご存じのとおりだ。オジャランにPKK本部と交渉させた、あるいはYPG/PKKのシリア本部と交渉させたとの情報が報道された。その後、(MHPの)バフチェリの行動やその関係で行った発言などがある。
この試みの展開に関しては、過去の試みでの事例を思い出すと、一部がこの試みを邪魔しようとした可能性は高い。自分の血を含んだテロのパンを食べ続けることを望むもの、テロ組織の内外で地位を築いたもの、テロを望むこの、テロで力を得ているもの、影響を生み出しているもの、トルコに対し圧力をかけているものは、これまで作り上げてきたやり方を続けていくために奔走している。彼らがこうしたテロを組織した可能性はあるか。それはあるだろう。
■カザンとカフラマンカザン
4)少し空想的かもしれないが、私には特に重要で、注意をひき、そして疑問に思うことがある。いま、BRICSの会議が行われている。どこで?タタール共和国の首都カザンでだ。カザンの会議に行っているとき、トルコのアンカラの一地区であるカフラマン・カザンで、同じ日、同じ時間にテロがおきた。これは、空想が過ぎると思われるかもしれないが、興味ふかい。なぜなら、初めてNATO加盟国が、ロシアや中国が主役を務める地政学的組織に参加しようとしている。外国の報道をみると、トルコが批判され、攻撃されているのは、この点だ。これを考えると、西側のメディアがこれだけ不快感を示すなら、西側の安全保障組織は、もっと不快だろう。この点から見ると、過去にもあったいくつかのテロを行ったものについて思い出してみると、頭に浮かぶことがあるだろう。自分には、一番に浮かぶのはこの点だ。なぜなら、世界の将来を決めるのは誰だ
地政学的状況と現在の地政学的混乱をみてみよう。地政学的混乱があるときにトルコは、国家の意思決定者の決定を操作しようとするこうしたテロに見舞われるとことなのか?これを一つの可能性として考えておく必要があると思う。
■「根底にある信頼の欠如」
5)他の点は、4つ目の点に関連する。この件はについては、私の私見で、説明した。しかし、我々が「あるえる」と思うと、あらかじめ想定、する第三者が、このテロを行い、トルコをすでに存在する同盟国との間の信頼の欠如を、さらに深刻に、より破壊的なものにしようと望むものがいるだろうか。これもありえる。これも考えておかなくてはいけない。
■戦略的関心の方向性をかえさせる
6)もうひとつの点は、これだ。カザンで重要なサミットがある。同じ日、プーチンとエルドアン、トルコとロシアは非常に重要なテーマを話すテーブルにつくことになっていた。しかし、テロがおき、それどころだはなくなり、戦略的な関心が他にむく。トップによる会談で非常に重要なテーマがあるとき、テロがおき、誰もがこれを話始める。エルドアンは、(プーチンとの)最重要のテーマではなく、テロについて話さざるを得ない。戦略的な関心の拡散。戦略的な関心をよそに向けること。こうした目的もあるだろうか。
6つの項目をあげた。このうちの1つだというつもりはない。これらのすべてではなく、これ以外の理由にもよるかもしれない、これは政府の調査により到達される情報源のコードが解明されることによりはっきりするだろう。もちろん、本来の犯人/正しい犯人に辿り着いたなら、当然、トルコの選択やトルコの反発をもっとも健全な形で方向づけることが必要だ。(後略)
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翻訳者:トルコ語メディア翻訳班
記事ID:58944