■レバノンに対する戦争は、一方の損害でもなければもう一方の利益にもならない
【本紙:ターリク・ミトリー】
ガザ地区およびレバノンに対する戦争においてベンヤミン・ネタニヤフ首相は、それが揺るぎないものだと信じられているものであれ、可変なものとして現れているものであれ、自身の実際の諸目標から世間の目を逸らそうとすることが多々ある。ネタニヤフ首相はイスラエルや同盟諸国、ないしはイスラエル自身に当惑している国々の世論に対して語りかけており、彼の言説は、自国の軍事作戦が報復心や力の誇示の合体物ではなく「自己防衛」であるとみるような見解を支持するかたちをとっている。我々はたびたび、同首相が「ハマースやヒズブッラーに対する戦争は、それ自体の重要性とは裏腹に、イランを震源とする自国に対する最大の生存危機に対するより広範な対峙の一環に過ぎない」と強調しているのを目にする。つまりネタニヤフ首相は、パレスチナとレバノンにおける自国の敵を単なるイランの手先へと変化させてしまった。またこの言説が喧伝されるとともに、「優先事項はイランとの紛争である」という西欧や中東で支配的なイメージは、「ガザ地区に対する戦争が、パレスチナ人らに対する戦争であるとともに、彼らの祖国の独立案件を無に帰す試みであること」や「レバノンに対する戦争は、イランの最たる代理人であるヒズブッラーの根絶を目指す、単なる仲介的な紛争ではないということ」といった真実を覆い隠している。
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