アサド大統領一家、シリア脱出の噂

2024年12月07日付 Cumhuriyet 紙

イラン議会国防委員会のメンバー、ヤクプ・ルザザーデ氏はシリアのバッシャール・アサド大統領とその家族がシリアを離れたとの報道に回答した。シリアの大統領府当局も報道に対する発表を行った。

イラン議会国防委員会のヤクプ・ルザザーデ氏はシリアでの進展について重大な声明を出した。

■「アサド大統領はダマスカスで家族とともにいる」

ルザザーデ氏はバッシャール・アサド大統領が国外逃亡したとの報道に言及した。同氏はイランの最高指導者(アーヤトッラー)、アリ・ハーメネイー師の相談役であるアリ・ラーリージャーニー氏が6日、シリアの首都ダマスカスでアサド大統領に会ったと話しつつ、「私はアリ・ラーリージャーニー氏のダマスカス訪問とドーハでアスタナ会議によってシリアの政治解決がなされることを望んでいる。アサド大統領とその家族がシリアを離れたとの情報は正しくない。」と主張した。

(画像キャプション)
ラーリジャーニー氏とアサド大統領との11月14日の会談より。

■シリア大統領府より発表

一方でシリア大統領府による、報道に関する発表は以下の通りだ。
「複数の海外報道機関がバッシャール・アサド大統領がダマスカスを離れた、もしくはある国に電撃訪問を行うといった噂や根拠のない情報を報道している。」
「シリア・アラブ共和国の大統領府はこの噂を完全に否定し、これらの明白な狙いを警戒し、こういったたくらみは新たなものではなく、一方でこれらの報道機関が戦禍の過去数年にわたってシリアの国家と社会を誤解させ、影響するようなアプローチを以前も見せていたと強調する。」

■「シリアから撤退していない」

またイランメディアに話したルザザーデ氏はシリアでの政治解決のために外交努力を続けていると述べ、「シリアから我々のもとに届いた情報は良くなく、懸念すべきものだ。ロシアと連絡を取っている。トルコやイラクといったシリアの隣接国とも話し合っている。」と述べた。
加えて、ルザザーデ氏はイランがシリアで軍事顧問団を退かせたとの報道についても否定し、「シリアのイラン軍事顧問団は現地から撤退しておらず、ダマスカスの大使館はまだ活動中だ。」と述べた。

■「シリアは反政府勢力と話し合うべきだ」

一方でイランのアッバース・アラグチ外相はシリア政府と反政府勢力が政治的会合を始める必要があると述べた。
イラン国営テレビによればアラグチ外相はドーハでトルコのハカン・フィダン外相やロシアのセルゲイ・ラブロフ外相と会談後、メディアに語った。

アラグチ外相はシリアでの衝突をできるだけ早く終結させ、国家の国土保全と主権が尊重され、シリア政府が政治的対話を行うことについて皆が同意していると述べ、「反政府勢力」とシリア政府の間で政治的会合を始める必要があると言及した。
アッバース・アラグチ外相はこのことについてシリア政府と協議することにしたと述べた。

■何が起きたのか?

シリア北部のアレッポ県の西部で11月27日、シリア軍と武装グループの衝突が始まった。
11月28日、武装グループはアレッポ西部から中心部に向かって急速に進軍し、11月30日に中心部の大部分を掌握した。
同日の晩、武装グループはハン・シェイフン郡を制圧しながらイドリブの大半を掌握し、ハマ県へ向かった。
シリア軍が12月5日に行った最新の発表では、ハマ県での支配権を失い「損失を減らすためにハマの外に再び軍を配置した」と述べた。
一方で武装グループの軍事作戦部隊の隊長、ハサン・アブデル・ガニ氏は「軍はハマ中央刑務所から受刑者数百名を釈放した」との声明を出し、不安を引き起こした。
最近では武装グループがフムスの市中心地に到達したと報じられた。複数の地方メディアとフランスの報道局AFPはシリア軍がフムスから撤退したと報じた。
武装グループの主導者、ハサン・アブデル・ガニ氏は夜頃SNSのアカウントから投稿し、「我が軍はフムスの街の外の最後の村を開放し、現在は町の城壁内にいる。」と述べた。ガニ氏はシリア軍に属する兵士に町から撤退するよう呼びかけた。
以前、シリア国防省による発表では「シリア軍がフムスから撤退したとの情報は根拠がない。我々は我が軍がフムスや周辺地域に駐在し、援軍によって増強されたと確認している。様々な装備や武器を備えた巨大部隊がいて、国軍はあらゆるテロ攻撃に反撃する準備がある。」と述べていた。
最近では武装グループが南部のスベイダ県とデラ県の90%を掌握し、サナマインも制圧してダマスカスの南方20kmに迫っていると伝えられた。


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翻訳者:伊藤梓子
記事ID:59194