シリア人が帰国すればトルコ経済にどのような影響があるか
2024年12月09日付 Cumhuriyet 紙
元国庫事務局で務めたマフフィ・エイルメズ氏は、ダマスカスで始まった新たなプロセス後、トルコのシリア人が帰国する可能性について意見を述べた。エイルメズ氏は、経済面で注意を引いた。
エコノミストのマフフィ・エイルメズ氏は、シリアでテロ組織タハリール・アル=シャームが主導するジハード主義者グループがダマスカスとシリアの多くの都市を支配下におさめた後、個人のブログで意見を述べた。
トルコのシリア人が自国に帰国する可能性が経済へ与える可能性のある影響について書いたエイルメズ氏は、多くの事柄に注意を引いた。
■シリア人を二つのグループに分けた
トルコでのシリア人の現在の経済状態を説明したエイルメズ氏は、可能性のあるシナリオについて3つの要因に注意を引いた。シリア人を2つのグループに分類したエイルメズ教授は、次のような可能性を書いた。
1.お金や資産のある者。彼等の多くはトルコで家を購入し、トルコ共和国市民となり、ここで起業し、従業員を雇用し、稼ぎ続けている。
2.お金や資産のない者。彼等はトルコで様々な職業で、特に労働による職で働き、生計を立てている。
■重要な資源を失う
1.2番目のグループに属するシリア人労働者の一部が帰国すると、国内の生産者は安価な労働力の重要な供給源を失うことになるだろう。こうなると、より高い労働者を雇用しなければならなくなるため、費用が増加するだろう。需要が減少しなければ、この増加分は容易に価格に転嫁することができただろう。しかし、需要が後退すると、この転嫁が限定的なものになり、利益が減少するだろう。費用の増加による価格への転嫁が限定的にとどまったとしても、この状態はインフレの上昇に向かう可能性があるだろう。
2.最初のグループに属し、トルコでの仕事をたたみ帰国する者のGDPへの貢献が無くなるだろう。この影響はとても限定的であると考えている。他方、ここで仕事がうまくいっている者がシリアに戻ったとしても、ここでの仕事をたたまずに、シリアで起業した仕事とともに持って行ってしまう可能性を予測している。
3.両方のグループの多数の人が完全帰国すると決めたならば、彼らの中の一部はトルコで市民権を得るために購入した家のうち[必要]期限を過ぎたものを売却するだろう。この傾向は、住宅市場でとても大規模でなかったとしても住宅価格と家賃の下落に導くだろう。
4.自国に戻る予定の人々の数に応じてGDP上で明らかになる落ち込みは、一人当たりの収入で[計算すると]より限定的な落ち込みになる可能性があると推測している。なぜなら周知のように、シリア人の中で市民権を取得していない人は、一人当たりの収入の計算をする際に計算されていないからである。
5.シリア人が自国に戻った場合にトルコで利用していた様々な支援、援助、健康支援、薬剤などに関する公的支出は減少するため、予算上の赤字は減少するだろう。
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翻訳者:新井慧
記事ID:59214