エルドアン大統領、ディヤルバクル党支部大会で演説「新しい話をする時」

2025年01月11日付 Hurriyet 紙

公正発展党のディヤルバクル第8回定例県会議でエルドアン大統領は「テロの脅威を完全に終わらせるため、国に対して新しくて重要な機会の窓が開かれた。この機会を失ってしまうのは過ちである」と述べた。

公正発展党党首でもあるエルドアン大統領は党の第8回通常県会議に参加するためにディヤルバクルを訪れた。エルドアン大統領は空港でムラト・ゾルルオール県知事と党関係者に迎えられた。エルドアン大統領は会議が行われるセイランテペ・スポーツサロンに向かう途中、歓迎の意を示す道路沿いの人々に対し時折バスから挨拶をした。会議にはアリ・イェルリカヤ内務大臣、ヴェダト・ウシュクハン労働・社会保障大臣、イブラヒム・ユマクル農業・森林大臣、オスマン・アシュクン・バク青年・スポーツ大臣、マヒヌル・オズデミル・ギョクタシュ家族・社会サービス大臣に加え、国会議員ではガリプ・エンサリオール氏、メフメト・サイト・ヤズ氏、スナ・ケポル・アタマン氏、と公正発展党副党首のエフカン・アラ氏も出席した。

■「トルコなしのディヤルバクルは親のない子どものまま」

エルドアン大統領は人生では一緒に過ごしてきた人たちとの離別が苦しみのなかで最も大きいものだと述べつつ、「ディヤルバクルの平穏はトルコにとっての平穏でもある。ディヤルバクルの繁栄と運命もトルコにとっても同様である。私たちは兄弟、イスラムの兄弟で、運命を共にするものだ。この地域で民謡がもっとも豊富なのがディヤルバクルである。

あなたたちを公然と気にかけてきた。それだけではない。投資をはじめとして、権利や自由にまで至る比類なき奉仕事業を実施してきた。このように愛をもって支援してきたが、特定の人々はそのイデオロギーに従い私たちの国民を文化から遠ざけようとしている。人々を欺こうとしている。

ディヤルバクルと共に、心の中から浮かんでくる民謡を我々は歌い続けよう。国民の団結、国の統一性、アフメト・アリフの表現を借りると、「この蛇たちに、ムカデたち国を食べさせてはならない」。半世紀以上にわたってこの国に苦痛をもたらしてきた、子供たちをばらばらにしてきた、国の将来を暗澹たるものにする帝国主義者の試みを神の許しのもとで壊そうとしていることころだ。地域で生じるあらゆる事件や破壊的な企みの本当の姿を明らかにしようとしているところだ。

我々の転落を狙って活動する謀略的な目的を表にさらそうとしているところだ。我々には互いのほかに何があるだろうか。幸せな時期には喜びを、厳しくつらい時期には悲しみをわかちあい、互いに笑ったり泣いたりできるのはほかにだれがいるだろうか。人生のあらゆる場面を、肉と爪のように一緒に過ごした者たちを別れさせようとする以上に残酷なことはあるだろうか?団結、兄弟を失った者たちの苦しみを我々は目にしている。国を支持することも強化することもせず、夢と目標を同じ未来像において統合することをしない者、手短に言えば国と国民を大切にしなかった者の運命がいかにひどいものになるのかあなた方も十分理解しているはず。我々を分断させようとしている者の狙いはあなた方にとっても私たちにとっても有益なものではない。自分の古臭い秩序を維持できるような空気を生み出そうとしているのだ。このために我々が住んでいる土地を破壊し、悪くさせようと動くならば。我々は共に立ち向かおう。100年前に互いの背中を預けて国をまもり、共和国を作り上げたのであるから、今も互いに肩を貸しあい「トルコ100周年」を作り出していこう。ある政党がファシズムからクーデターを計画していても共に立ち向かうように、民主主義と発展にむけた動きを共に進めよう。まさに81の県がそうであるように、ディヤルバクルなしのトルコは親のない子どもだ。トルコなしのディヤルバクルも親のない子どものようなものだ」と述べた。

■組織の地域への野望も打ち砕かれた

近年に実現した活動の狙いがテロ組織の自発的な解体と、無条件の武器の引き渡しであることを述べたエルドアン大統領は「過去半世紀ものあいだの苦しみを終わらせるタイミングだ。そして新しいことを話す時期が来ている。トルコが長年のテロとの戦いの結果であるというのは正しい面も間違った面もありながら、歴史の一部として残されるのは確かだろう。40年を超える闘争の結果、治安部隊から公務員、そして無垢な市民たちに及ぶ多くの人々が犠牲となった。これらの犠牲者の貴重な記憶は永遠に胸のもっとも大切な場所で生き続けるだろう。テロ組織により誘拐されて、あるいは騙されて、山岳地帯に向かった地域の数万人の子供たちが命を落とした。分断を図るテロ組織が無理やり山岳地帯へ連れて行った子供たちと再会するために、5年ものあいだ活動をしてきたディヤルバクルの母親たちの苦痛は良くわかっている。何百万もの人間が故郷を離れ、ほかの地域で暮らさざるを得ない状況となっている。数千億ドルの予算をテロ抑止のために使ってきた。最も重要な財産である人的資源を適切に活用することが出来なかった。また指導を行ったにもかかわらず市民政治を強化することが出来なかった。

我々の民主主義はテロによって操作され、損なわれ、正当な水準に到達することが妨げられてきた。故オザル大統領以来、テロ問題を終わらせるために様々な方法が議論され、いくつかの試みも行われた。我々の政権下でもテロ組織に対して安全運転を心がけていたわけではない。テロを終わらせるための主導権を握り。全力で責任を負う覚悟で臨みました。しかし、我々の前に立ちはだかる組織はこの国や国民のものではなく、地域的・世界的な組織の意見に耳を貸していたため、これらの努力は結果を生まなかった。我々は必要なことがあれば十分以上に取り組んできた。しかし、残念ながら、こうした善意の努力に対する返答は、掘られた穴やそこで暮らす人々を苦しめた銃撃だった。もちろん、あの裏切り者たちは皆、自分たちが生み出した穴に埋葬された。しかし、歴史的なチャンスを浪費してしまうことを防ぐことはできなかった。ただ私たちの妥協なきテロ対策の結果、テロ組織は国境内で行動できなくなり、他国にいるテロ分子も国境から遠くへと押しやった。

テロの資金を断つ戦略によって、テロ組織は血を流しその勢いも失っている。12月8日にシリアで起きた革命により、彼らの地域への野望も打ち砕かれた。背後に誰がいようとも、いかなるテロ組織もトルコ共和国に対しては手出しすることができない。もちろん、テロの問題に対して恒久的な解決策を探す努力をやめるわけではない。国内政治やこの地域で起きた重要な変化ののち、我が国はテロ問題を根本から解決するために新しく重要な機会を得た。このチャンスを無駄にはできない。

昨今、実施している試みの唯一の目的は、テロ組織の解散と、武器の無条件引き渡し、政治への介入を終わらせ、分離主義的な組織の圧力によりトルコの政党条件を満たさなかった政治団体に成長の機会を与え、増加する地域の紛争に対して国内の結束を強化することだ。要するに、半世紀にわたる分離主義テロのチャプターを完全に閉じ、あらゆる側面で歴史から葬るとだ。これは強く偉大なトルコの実現にむけた最後の障害のうちの1つを取り除くことでもあります。これはクルド人同胞の問題でもありません。テロ組織の排除だけに関わる問題です。過去22年間で、多くの改革と静かな革命を通じて、我が国の長年の問題を一つひとつ取り除いてきた。22年前には語ることすらできなかった、想像もできなかった多くの権利をこの国にもたらした。8500万人の国民一人ひとりが権利と自由の改革の恩恵を受けた。なにか不足があるならば、それは私たち皆の共通の問題でその解決のために共に取り組んでいくだろう」と話した。

■『手を取り合い、テロの幕を引き裂き投げ捨てる』

兄弟愛で地域を一つにすると述べたエルドアン大統領は「経済的困難はこの1年の下半期以来回復しつつあり、この経済状況の問題も克服していく。国の北も南も火に包まれているなか、その火を我が国に広げようと画策するたちの計画を打ち砕く決意だ。国民として私たちは一緒にこれを成し遂げるだろう。この幸運な行動に加わりたい全ての人にそれぞれ活躍の場所がある。ここで強調しておきたいのは、我々はこの国で皆、誰もが抑圧、差別され、圧力を経験した。私たちをクルド人とトルコ人、アレヴィー派とスンニナ派と分けたのではなく、『自分たち』と『あななたち』で分けていた。この差別に対し、私たちは共に闘ってきた。そしてそれに勝ってきた。なぜなら千年にわたりこの土地では私たちは分裂しなかった。追い詰められて、ガザで大量虐殺を行い、赤ん坊を殺し、人類とイスラムを押し潰そうとしているシオニストに訴えたい。サラディンの子孫はシオニストの奴隷にできない。

彼らの仮面はシリアで再びはがれた。彼らを悩ませているのはクルド人、アラブ人、トルコ人ではなく、別のものだと。だからこそ、我々は皆で立ち向かわねばならない。手を取り合い、テロの幕を引き裂き、投げ捨てよう。テロ組織が消えれば歴史上続いてきた愛と誠意と兄弟愛で再び抱き合える。この地域を兄弟愛でひとつにする。この国は我々のもの。この祖国も旗も国家も我々のもの。日に5回響くアザーンも我々のもの。過去を共有し、未来も共に築いていこう。国民として等しく、この国を豊かにしていこう。建国100年のトルコ共に実現しよう。もはや過去のトルコではなく、服従も、恭順も、強制への従順もない。旧トルコは過去に置いてきた。今あるのは、国民すべてと共にあるトルコだ。国内だけでなく、国外でも抑圧に反対するトルコである。

シリアで虐げられた人々の側に立つと、共和人民党は『シリアに何の用があるのか』といった。トルコに逃れてきたシリア難民を強制送還すると脅したではないか。結果はどうなったか。シリアのアラブ人やトルクメン人だけでなく、クルド人も勝利した。シリア出身のクルド人の存在は否定され、身分証も権利もなかった。それら全てが今、与えられる。身分証からパスポートまで、すべて与えられる。この勝利を忘れてはならない。これはすべての人々の勝利だ。これはシリアの人々と我々の国民の勝利だ。兄弟愛の勝利でもある。この勝利が汚されることを許さない。テロで損なわれることを許さない。帝国主義勢力と我々の内部にいる協力者に傷つけさせない。イラクとシリアでテロが終われば地域で明るい顔がみられるだろう。ディヤルバクルには、テロ組織とその関連組織と距離をおき、このプロセスを支持することを期待しています。この大会が、その一歩となりますよう。神が我々を導き、助けてくださいますよう」と述べた。

■『愛と情熱をもってディヤルバクルに奉仕する』

ディヤルバクルへの投資に関してエルドアン大統領は「我々はディヤルバクルだけでなくトルコ全体の奉仕者だ。過去22年間だけでもディヤルバクルに7660億リラの投資を行った。100床あるディヤルバクル市立病院が2027年のうちに完成する。さらにイェニシェヒル郡では2つめとなる1400床ある市立病院を建設することもここで発表する。予定している6つの国民公園のうち5つが完成した。つまりすべての国民公園の建設も完成間近となっている。ディヤルバクルの232キロに及ぶ鉄道網のすべてが新しくなった。

ディヤルバクル工業団地と鉄道をつなげる支線を建設し、鉄道網を整備した。ディヤルバクルを時速200キロの高速鉄道でエラズーと結ぶプロジェクトの調査も続けている。これからも愛と情熱をもってディヤルバクルに奉仕していきたい」と述べた。こののち、エルドアン大統領はディヤルバクル空港にむかい県を離れた。


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翻訳者:小林佑輔
記事ID:59469