クルド問題解決プロセスの「要」は?

2025年01月17日付 Hurriyet 紙
私はエルドアン大統領が何を語るのか見るために公正発展党の人々の中にいた。 (Abdulkadir Selviのコラム)

公正発展党のグループ内の雰囲気もいつもとは違っていた。国会議員たちはエルドアン大統領から新たなプロセスの枠組みについて聞きたいと考えていた。社会はこのプロセスに対して恐れ、懸念、不安を抱いていた。その一つはオジャラン氏に対する恩赦の問題である。エルドアン大統領はこの感情の機微を認識し、国会議員らとの朝食会で「自宅軟禁などというものはない。本人も釈放を望んでいない。これらの話題はどこから出たのだ?恩赦などというものは存在しない。赤ん坊を殺した者に恩赦はない」と語った。

◾️国民よ、信頼せよ

おそらくこの為に、エルドアン大統領は話しを、「我が国民よ、安心してほしい…。私たちは何をするにしても、知性と洗練さのある戦略をもって行っている。私たちは現状しのぎではなく、私たちの将来を担保するために尽くしている。トルコは信頼できる有能なスタッフの管理のもとで安全である。トルコは、共和連合の導きで、必ず目的地に到達する」と保証を与えることから始めた。

ではその目的地とは何なのか?「テロのないトルコが目的地である…」

◾️トルコが強力であるためだ

理解できないと主張する人もいるが、トルコが新しいプロセスに突入しようとしているのは、トルコが弱いからではなく、それどころか非常に強いからなのである。国際情勢と地域情勢はこれまで以上に我々に有利な状態になっている。我々はクルディスタン労働者党(PKK)が国内で行動できないようにした。我々はシリアとイラクに関しても[彼らの活動を]終わらせる力を持っている。エルドアン大統領が述べるように、「その組織がどこにあろうともそれを葬り去ることは、我々にとって時間と計画の問題にすぎない」のだ。では、なぜこのプロセスが必要なのか?トルコはこの問題を血を流さず解決したいと考えている。しかし、軍事作戦に関する準備もある。

◾️国家の知性

時々、国に何らかの知性があるのかどうか疑問に思うことがある。しかし、プロセスのすべての段階が計画されているのを見ると、トルコは本当に偉大な国であると思う。本当に国家の知性というものを目の当たりにしている。こう言うだけで十分である。プロセスの各段階は、平和的な計画と軍事的な計画の2つの選択肢に従って計画されている。

◾️相手側に送られたメッセージ

大統領は非常に明確に話した。大統領は相手側にメッセージを届けた。したがって、私は、エルドアンが新しいプロセスのために描いた枠組みを、細かい点に触れながら明らかにしてみようと思う。

◾️犠牲者の家族の心

エルドアン大統領は「政府として、我々は常にこの問題で犠牲者の代え難い記憶、遺族や戦闘経験者の心を決して傷つけないという意識を持って行動している」と述べた。これが最も重要な点である。犠牲者の家族は傷つけられるべきではないが、新たな犠牲者が現れるべきでもない。

◾️ディヤルバクルの母親たち

この機会に際してはディヤルバクルの母親たちの闘いも忘れ去られていない。人民の民主主義党のドアをノックし「私たちが心を砕いているのは、あなたたちのクルディスタンの抵抗にであって、あなた方に子供達は渡さない」と言うディヤルバクルの母親たちは高く評価されている。

◾️内政と外政が噛み合う

エルドアン大統領が新たなプロセスのタイミングに関して指摘した点は重要だった。エルドアン大統領は次のように述べた。

「テロのないトルコという表現に意味を見出す、この新しい時代の扉を開く機会を生かさないことは、何よりもまず、我々が負ってきた責任と相容れない。地域の情勢は我々にとって有利だ。国内政治の雰囲気は極めて適切である。テロとの戦いにおいて重要な成果が達成された。トルコはあらゆる分野、特に防衛産業において絶頂期にある。このような均衡状況で、テロの惨禍を永久に、そして決定的に根絶する機会を無駄にしようとする者は誰もいないだろうし、我々も認めない。」

◾️「指示を与えた」と述べた

誰も誤解しないように。このことはオジャランの呼びかけだけに依存しているわけではない。オジャランは自身の組織に呼びかけを行う予定である。進められている取り組みははるかに包括的かつ大規模だ。オジャランを超えた作業が行われている。大統領は演説の中でその点を指摘し、次のように述べた。

「この理解に基づき、我々は友人らに対し、分離主義組織の解体を確実にするための取り組みを慎重かつ多面的な方法で遂行するよう指示した。」

◾️ディヤルバクル演説の枠組み

エルドアン大統領は、中央執行委員会の会合でも、ディヤルバクルでの演説で新たなプロセスの枠組みを描いたと述べていた。 「一定の段階に達したこれらの取り組みの枠組みと目的については、ディヤルバクル県大会で詳しく説明した。 我々は武器を廃棄し、テロの壁を打ち壊し、8500万人の国民として互いにしっかりと抱き合いたい。」

エルドアン大統領はディヤルバクルでの演説で道筋を示し、こう語っていた。「テロ組織は解散し、武器は無条件に引き渡され、分離主義組織の圧力によりトルコの政党になる機会を見つけられなかった政治組織には結党の方向で自らを発展させる機会が与えられるべきだ。」

◾️要

エルドアン大統領は、人民の平等と民主主義(DEM)党代表団の接触が成功したことを強調した。これは、DEM党代表団の接触に今後支援が提供されることを意味する。一つ引っかかった。DEM代表団がイムラル島に2度目の訪問した後、エルドアン大統領は彼らと会うのだろうか?

このプロセスを以前のプロセスと分け隔てる非常に重要な点がある。これは二本立てのプロセスなのだ。

第一の柱は、「私は特に国民にこのことを知ってもらいたい。必要な呼びかけが行われたら、テロ組織とその関連組織が必要な措置を講じれば、トルコ人やクルド人を含むトルコ全体が勝利者となるだろう。」

◾️鉄拳

2つ目の柱は、「もし組織がこの呼びかけに耳を貸さず無視すれば、関連組織が期待される意志を示さなければ、私たちは『テロのないトルコ』という目標をほかの方法で達成する」というものだ。

エルドアン大統領は「必要なら、我々はビロードの手袋の中に隠してある国家の鉄拳を使うつもりだ」と説明した。

◾️国際情勢

しかし、優先すべきは「この問題を穏やかかつ容易に解決すること」だ。エルドアン大統領が指摘したように、現在の状況はこれに適している。

1- 我々の活動によって、分離主義組織は国内で行動を起こすことができなくなった。

2- 組織がどこにあってもそれを葬り去ることは、私たちにとって時間と計画の問題にすぎない。

3- これまで長年にわたり組織を支えてきた勢力は、今や自らの命を心配している。

4- いかなる勢力も、以前のように組織に対して実質的かつ効果的な支援を与えることを望んだり意図したりしていない。

5- 私たちはこの問題を容易かつ穏やかに、既存のメカニズムを活用して解決したいと考えている。

エルドアン大統領が「今日がその日だ」と演説を終えると、公正発展党の国会議員らは急ぎ立ち上がり、長い間拍手喝采した。

最後にもう一つだけ述べておきたいことがある。

◾️歴史の正しい場所に佇む

公正発展党国会議員らとの朝食会で、一部の議員らはエルドアン大統領に対し、「あなたはシリアで歴史の正しい場所に佇んでいた。素晴らしいことだ」と言った。エルドアン大統領は歴史の正しい位置に佇んでいたが、歴史もまたエルドアンが佇んでいたところに現れた。

大統領は、シリア政策における共和人民党(CHP)の先見性の欠如と自身の発言を収録しているビデオを上映している際に、とても喜んでいたのがわかった。エルドアン大統領とCHPの見解の違いを示すビデオは非常によくできていた。


この記事の原文はこちら

同じジャンルの記事を見る


翻訳者:芝田幸恵
記事ID:59509