
ガザ地区の停戦後、今度はヨルダン川西岸のパレスチナ人が標的となった。イスラエル軍は、ジェニーン難民キャンプに向けて「鉄の壁」作戦を開始したと発表した。政府の発表によれば、作戦は長期にわたるという。
ガザ地区における停戦及び人質交換の合意が進められた直後、イスラエルは、今回目標をパレスチナ人が住む別の地域、占領下にあるヨルダン川西岸に定めた。イスラエルの治安維持部隊は、ヨルダン川西岸に位置し、ここ数年で町と化したジェニーン難民キャンプに対して軍事作戦を始めた。「鉄の壁」と名付けられた攻撃によって少なくともパレスチナ人10人が命を落とし、40人が負傷した。当地域の元受刑者も含む25人が確保された。
■パレスチナ自治政府撤退
イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相は、ジェニーンにおける攻撃の目的は、当地域における「テロリズムの撲滅」であると主張した。ハマスは、ヨルダン川西岸のパレスチナ人に向けて、攻撃に対してイスラエル軍に向けて抵抗を続けるように呼びかけた。12月の初め以降、ジェニーンを包囲し、防御を行ってきたパレスチナ自治政府の兵士は、イスラエルの攻撃が始まるや否や町から撤退した。昨日の攻撃によって、イスラエルが2023年10月7日以降ヨルダン川西岸で殺害したパレスチナ人の数は870人(うち子供177人)に上った。
■長期にわたるだろう
イスラエルのイスラエル・カッツ国防大臣は、ヨルダン川西岸におけるパレスチナ人が、違法に入植するイスラエル人に危害を加えないために攻撃を加えると脅した。イェディオト・アハロノト新聞の報道によると、カッツ大臣は、イスラエル軍の占領下にあるヨルダン川西岸でジェニーン難民キャンプに対して開始した攻撃を「安全保障戦略」の変化を示すものであるとし、攻撃の目的が、占領下にあるヨルダン川西岸における「テロリストのインフラストラクチャーの破壊」であると述べた。極右で知られるイスラエルのベザレル・スモトリッチ財務大臣は、ジェニーン難民キャンプに対して開始された攻撃が、イスラエルの安全保障のために重要な一歩であると主張し、攻撃が長期にわたる見通しを述べた。
■国際連合:停戦に対する脅威
国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)のヨルダン川西岸における活動の責任者であるロ-ランド・フリードリヒ氏は、昨日行った会見において、イスラエルがジェニーン難民キャンプにおける軍事作戦で、空爆等の近代兵器を用いたと述べた。フリードリヒ氏は、イスラエルの「ヨルダン川西岸におけるUNRWAの活動を大規模に制限した」法律の施行からたった1週間前に同作戦が行われたことにふれつつ、この状況がガザ地区でわずか数日前に実現したもろい停戦合意を不安定化させる危険性があると警告した。
■包囲の強化
1月19日に開始された停戦以降、ヨルダン川西岸の町や村はイスラエル軍の厳しい包囲下にある。パレスチナ自治政府に属する植民地化・分離壁抵抗委員会は、ヨルダン川西岸におけるイスラエルの監視地点の数が898箇所に増加したと発表した。委員会は、2023年10月7日以降173個を超える鉄の扉が建設されたと述べた。監視地点に建設されたセメントブロックは、パレスチナ人の行動を制限している。イスラエル治安維持部隊は、しばしば待機している民間人に催涙ガスで攻撃を加えている。イスラエル人の不法入植者は、数々の町で、パレスチナ人に対して暴力をふるい続けている。パレスチナ自治政府は、アメリカ合衆国のトランプ大統領による入植者に対する制裁解除の決定が彼らの違法行為を促していると述べた。
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翻訳者:山口晴夏
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