イスタンブル異常気象、雨なし高温

2025年01月28日付 Hurriyet 紙

国内西部の地域では、夏の名残を思わせる日々が続くなか、気温は平年を大きく上回っている。1週間降水の予報がなく、懸念が高まっている。また、専門家らは、この状況が大気の質に悪影響を与える可能性があると指摘している。では、なぜ突然これほど気温が上昇し始めたのか。この状況はいつまで続くのか。気温は何度まで上昇するのか。気象専門家のギュヴェン・オズデミル博士とセラハティン・インジェジキ教授が、hurriyet.com.trに解説した。

気候変動は、世界各地の気象状況に影響を与える最も重要な要素の一つとなっている。冬の訪れとともに本来ならば降るはずの雪や寒冷な日々の代わりに、暖気が流れ込んでいることは、気候変動の表れとして考えられる。

特に今年の冬は、予想とは異なる気象状況となっている。2月が目前に迫るなか、イスタンブルをはじめとする国内の多くの地域では、いまだに降雪が観測されていない。雪が降らないばかりか、トルコ全体で気温が平年を上回って推移している。

■今日以降アフリカからの暖気の影響が

特に、国内西部の地域では、夏の名残を思わせる日々が続いている。来週も降水の予報はない。今日から国内全土でアフリカからの暖気の影響が予想されている。この暖気は、特に内陸部と西部で顕著に感じられるだろう。

■なぜ突然これほど気温が上昇し始めたのか

イスタンブル・アイドゥン大学の教員である気象専門家ギュヴェン・オズデミル博士は、以下のように説明する。

「カスピ海上空の高気圧が、北西アフリカから流れ込む新たな高気圧と結びつき、勢力を増している。その結果、今日以降、南風の影響もあり、気温が平年を上回り暖かくなっているのだ。」

オズデミル博士は、今週は雨が降らず春のよう天気になると述べ、以下のように続ける。

「ただし、この天候は健康に悪影響を及ぼす可能性があるため、注意が必要だ。特に朝晩はマスクを着用することをおすすめする。気を付ける必要がある。」

■気温は20℃まで上昇する見込み

オズデミル博士は、地球規模で気温が平年を上回っていることに言及し、以下のように述べた。

「日曜日までは高気圧による悪影響が感じられるだろう。全国的に気温が上昇することが予想される。予想される気温は以下のとおりだ。西部から、イスタンブルをはじめとするマルマラ地方では6~16℃、エーゲ地方では9~18℃、黒海地方では7~18℃、中央アナトリア地方では2~14℃、アナトリア東部では−13~1℃、地中海地方では4~20℃、アナトリア南東部では−4~15℃と予想されている。標高が高い地点では気温がより低くなる可能性がある。」

■「2月上旬は降水の兆しなし」

オズデミル博士は、2月が目前に迫るなかでこの気温は恐ろしいものであるとし、以下のように語った。

「もはや警鐘が鳴り始めている。この時期に16~20℃という気温を目にすることは恐ろしいことだ。そして問題なのは、2月上旬の降水確率の低さである。ただ、2月13日以降には平年並みの気温に戻る可能性もある。」

■「イスタンブルで木の葉が揺れるほどの風すら吹いていないことは危機の深刻さを浮き彫りにしている」

高気圧の影響により、来週1週間は大気汚染が予想される。気象条件の影響で、大気汚染が深刻化し一部地域では霧やもやが発生しやすくなる。国際大気汚染防止・環境保護団体連合会のセラハティン・インジェジキ会長は、この状況の危険性に言及し、以下のとおりに述べた。

「ここで重要なのは、高温の原因である気圧の上昇だ。現在イスタンブルを含めトルコ全土で気圧が平常値を大きく上回っている。気圧とは空気の重さを示すものである。この圧力が上昇することの最も顕著な影響として、風が弱まる、もしくはほとんど無風状態になることが挙げられる。風が吹かない状況は、気圧の上昇によって大気の汚染物質拡散が妨げられる最大の要因である。イスタンブルでは木の葉を揺らすほどの風すら吹いていない。風が吹かないと、環境中に放出される排出物や粒子が増加し、人々に悪影響を与えることとなる。」

■「雨や雪が降れば大気は改善されるが…」

インジェジキ教授は、降雨や降雪によって大気の状態が改善される可能性を指摘し、以下のように述べる。

「雨が降れば空気中に浮遊する全ての粒子が地表に落ちる。これはまさに、自然の浄化作用である。このメカニズムが機能しなければならないが、残念なことにトルコは降水に関し大きな問題を抱えている。12月も1月も期待通りの降水は観測されなかった。非常に厳しい時期である。」

■「イスタンブルのPM値はWHOの基準値を大きく上回っている」

インジェジキ教授は、「イスタンブルで現在最も顕著な汚染濃度が観測されているのは粒子状物質(PM)である。PMには二つの種類がある。一つ目はPM10、つまり直径10μm以下の粒子である。二つ目はPM2.5、つまり直径2.5μm以下の粒子である。」と話し、重要な情報を以下のとおりに示した。

・汚染レベルを評価するための二つの基準がある。一つ目は、EUが定めた基準で、我々もこれに準拠している。PM10に関しては年間平均値と24時間平均値が参照され、24時間で平均50μg/㎡が基準とされている。

・二つ目の基準は、世界保健機関(WHO)によって定められたガイドラインである。これは標準として受け入れられていなくとも、推奨事項であり人の健康を考慮して作成されたものであるため、非常に重要である。WHOのPM数値基準はEUの基準より厳格だが、人の健康や環境により配慮したものである。

・イスタンブルでは非常に深刻なPM10汚染がみられる。WHOの基準を超えている。正式に遵守すべき大気質基準によると、PM10の濃度が年間35回以上上限を上回ってはいけないことになっている。トルコ、特にイスタンブルではPM値がこの年間基準を大きく上回っている。年間の1/3以上にわたって基準を上回っている状況である。


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翻訳者:金子萌
記事ID:59597