オジャランからヤズディー派に書簡「このプロセスは皆さんのルネッサンスとなる」
2025年03月18日付 Medyescope 紙

イムラル刑務所に収監されているクルディスタン労働者党(PKK)指導者のアブドゥッラー・オジャラン氏は、ヤズディー社会に向け書簡をしたためた。オジャラン氏は、この書簡のなかでヤズディー派の歴史的な抵抗に言及し、民主的な体制を築く必要性を指摘した。
■「ヤズディー派は民主化の闘いに積極的に関与すべき」
オジャラン氏は書簡のなかで、ヤズディー社会が歴史を通じて大きな苦難を経験しながらも、抵抗することで生き延びてきたと述べた。また、「ヤズディ派は、自由で共生に基づく民主化の闘いと民主的社会の構築において、積極的な役割を果たすべきだ」と述べ、社会の組織化の重要性に言及した。
オジャラン氏は2014年にシンジャールで発生した虐殺にふれ、ヤズディ派がこの出来事を経て、より強固な組織化へと進んだと指摘した。特に女性たちの抵抗への参加を意義深いものだと評価し、ヤズディ派が自らの力に基づいた未来を築く必要があると強調した。
■「ヤズディー派の自由は中東の自由と不可分」
書簡では、ヤズディー社会が歴史的な存在を維持するためには、民主的な制度の確立が極めて重要であると指摘されている。オジャラン氏は、ヤズディー派が自身のアイデンティティを守りながら、信仰を自由に継承できるような共同体の組織化モデルを構築する必要があるとした。
書簡の最後でオジャラン氏は、「ヤズディー派の自由は中東の諸民族の自由と不可分である」と述べ、社会的連帯の重要性を強調した。さらに、[トルコ政府とクルド武装組織の]今回の取り組みがヤズディー派の存続と自由を保障するものになるとし、それを「ルネッサンス」と表現した。
■オジャランの書簡全文
「ヤズディー派の歴史は、虐殺、追放、深い苦しみと抑圧とによって試されてきた歴史である。ヤズディーは、メソポタミア最古の信仰のひとつであり、最も古くから続く共同体のひとつだ。彼らは、自らの文化、アイデンティティ、存在を守るために大きな代償を払ってきた。彼らが経験してきた悲劇は、ヤズディー派のみでなく人類共通の良心に刻まれている。
歴史を通じて彼らは幾度となく攻撃を受けてきた。しかし、どのような困難にもかかわらず、抵抗し続けることで生き抜いてきた。過去100年の間に、国民国家的な思考がもたらした攻撃の結果、ジェノサイドにまで至る虐殺が行われた。2014年にシンジャールで発生した虐殺も、ヤズディー派の存在を絶やそうとするこの思考の延長線上にある。しかし、今回はヤズディー派が自由への闘争と迅速に結びつき、組織化し抵抗した。彼らは虐殺に対し、歴史的な対抗をこのように発展させたのである。特に、女性たちのこの抵抗への参加は非常に意義深い。ヤズディー派は今、未来を自らの手で築く過程に入った。
ヤズディー派の未来は、自らの力と民主的な意思に基づいて、民主社会の原則を土台に形成されるべきだ。信仰を自由に実践できる社会的組織を構築しなければならない。私たちが夢に抱き到達した段階で民主的なシステムを築くことは、歴史的な存在を守り、継続するために非常に重要である。
民主的社会という視点に立って、人々が平等で自由に共存する未来を築くことができる。ヤズディー派は、自由と共生を基盤とした民主化に向け闘い、民主的社会を構築する上で、積極的な力を発揮すべきだ。ヤズディー派の自由を認めず、それを無視するような姿勢は正当なものではない。ヤズディー派は、彼らが身を置くあらゆる場で組織化し未来を守るべきだ。民主的で自由・平等な暮らしのため闘うのは、すべての人々の共通の責任である。
この機会に、ヤズディー派の闘いを称賛する。どんな状況でも彼らの自由への要求を支持することを表明したい。ヤズディー派の自由は、中東のすべての人々の自由と不可分である。この意味で、我々の『平和と民主的社会への呼びかけ』は、73回目のヤズディー派の苦難に対する答えでもある。私たちが始めたこのプロセスは、ヤズディー派の人々の存在と自由を保障することになるだろう。この呼びかけはまさにルネッサンスであり、最もヤズディー派の人々にとってのルネッサンスとなるだろう。 このプロセスは、共感と闘いによって成功へと導かれるだろう。改めて、ヤズディー派に敬意を表する。
アブドゥッラー・オジャラン」
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翻訳者:金子萌
記事ID:59843