イマムオール事件、AKPサイドからはどう見えているのか

2025年03月21日付 Cumhuriyet 紙
政権与党の中枢クラスの間では、エクレム・イマムオール氏の身柄拘束に関する戦略が、エルドアン大統領の発表に沿って形成されている。その他のクラスの何名かは、事態の進捗に対する不信感をあらわにしている。

政権与党の中枢クラスの間では、イスタンブル広域市長・エクレム・イマムオール氏の身柄拘束に関するコメントは、レジェプ・タイイプ・エルドアン大統領のコメントに沿った形となっている。

エルドアン大統領は3月20日に、イマムオール氏に関する汚職の告発に対しCHP(共和人民党)は反論できないと主張した。

エルドアン大統領は「学位は苦労して得るものであり、行政に汚職がなかったとは言えない。問題をスローガンとして叫び、国民を欺こうとしている」と述べた。

AKP(公正発展党)の幹部らも、政権はこの捜査に関与しておらず、CHP内部の抗争の結果として一連の情報とデータが検察の手に渡ったと主張している。

政権与党の間で支配的な見解は次のように要約できる。

・司法はなすべき仕事をしている。この捜査を大統領や政府と関連付けて汚職の違法性を覆い隠そうとしている。オズギュル・オゼル氏は「私は市長を擁護し、たった1つでも汚職があったとしたら辞職する」とは言っていない。

・無罪が証明されるまでは、当人は推定無罪だ。捜査の結果が待たれる。仮に何もなかった場合、彼は釈放され職務に復帰する。CHPは何がどうであるのかを我々よりよく知っており、情報やデータは彼らから寄せられている。

・イマムオール氏の学位は不正かつ正当でない経緯で得られた。例えば、30年前の殺人犯が見つかったとしよう。これを「時効だ」と言って見逃し、自由に動き回ることを許すだろうか?

BBCトルコ語の取材に応じた数人のAKP幹部らは、イマムオール氏が「大きな組織」を率いていることを考慮している。

また、TÜSİAD(トルコ実業家協会)の幹部による政権に対する民主化と構造批判を含んだ声明の背後にもイマムオール氏の影響があると主張している。

この見解を支持する人たちの間では、TÜSİADがイマムオール氏に対する作戦を阻止するためにこの行動を起こしたと囁かれている。

■エルドアン大統領との比較に不安

政権与党の幹部らの間では、イマムオール氏の政治キャリアと現在行われている捜査について、エルドアン大統領が「朗読した詩のために投獄された」プロセスになぞらえられることに対する不安が囁かれている。

これらの人々は、イマムオール氏は「テロへの支援」「汚職」を告発されており、一方エルドアン大統領は政治的な言動のために処罰されたと主張している。

イマムオール氏に対する告発は政治的なものだと主張している。

エルドアン大統領は1997年に、朗読した詩のために4ヶ月と10日の間収監された。

CHPはイマムオール氏の学位剥奪と身柄拘束について「大統領再選を狙うエルドアン氏が有力な対立候補を妨害する」動きだと見ている。

一方政権与党の幹部らは、3月23日(日)に実施される予備選挙は「立候補」を意味しないと主張している。

数人のAKP幹部らは、大統領候補は選挙日の確定後に大国民議会で、もしくは100000人の署名を得ることで決まると述べている。

「選挙まで3年ある。党のトップが1年後に変わっていたとすれば、そして他の候補を擁立すると言えば、あるいは他党との連合を決定したり、他の候補が出馬したりしたならば、どうなる?このため、イマムオール氏を候補として評価するのは間違っている」

■疑念を持つ人はどのように言うのか?

AKP内部でも特に何人かのベテラン政治家は、この進捗について懐疑的だ。

この捜査は市民の間に、イマムオール氏とCHPが「犠牲になった」という印象を作り出し、一方で経済に悪影響を与える代償が市民によって政権に求められるという懸念が表明されている。

一方、党内部で影響力の大きい役職に就いていないメンバーは、PKKの武装解除に関してアブドゥッラー・オジャラン氏との会談が行われる中で、イマムオール氏について「都市合意」を理由にテロ支援の罪を犯したという方向づけがなされることは矛盾であるとコメントしている。

これらの面々は、この状態が世論の理解を得るのは難しいと主張している。

数人の政治家は、トルコはその地理的状況からして、数多くの外的な脅威のリスクに直面していると主張し、次のように言う。

「大統領はこのために「国内の戦線を強化しよう」と呼びかけた。最大野党とこのように対立する中、どうやって国内の戦線を強化するのか?イマムオール氏の罪の根拠が示されなければ、我々は党としてとても難しい状況に置かれる」

何人かは、CHPへの代理人の任命は過ちになるだろうと明らかにし「これは全ての意味でカオスになるだろう」とコメントした。


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翻訳者:神谷亮平
記事ID:59860