ロシア・ウクライナ平和会談、イスタンブルで実現するか?

2025年05月11日付 Cumhuriyet 紙

露プーチン大統領が、ウクライナとの前提条件なしの直接会談を5月15日にイスタンブルで再開する可能性を示唆した。

露プーチン大統領は、5月9日の戦勝記念日におこなわれた関係者および各国首脳との会談後、記者団に声明を発表。
そのなかで、米国が提案したウクライナ国内エネルギーインフラ施設への攻撃停止案をはじめ、復活祭や戦勝記念日の一時停戦案をウクライナが受け入れなかったとし、ロシア側がウクライナとの対話を拒否したことは一度もないと述べた。

こうした経緯しかり、2022年末にキエフ当局側が中断した交渉の再開を(ロシア側は)何があっても提案するとプーチン大統領は強調。同大統領は、「5月15日(木)に、前回交渉が中断した地であるイスタンブルで、特別な前提条件なく、一刻の時も無駄にせず交渉再開することをロシアは提案する」と話した。

■「エルドアン大統領に依頼」

プーチン大統領は、ロシアとウクライナの交渉調整は、これまで何度もトルコから提案があったと前置きしつつ、エルドアン大統領もこの組織的な動きを現実化するために様々に取り組んできたと述べた。

さらに、2022年のイスタンブルでの交渉の結果、文書草案が作成され、キエフ側もサインしたものの、その文書は西側の態度によって台無しになったとも述べた。

プーチン大統領は、「エルドアン大統領との会談が予定されている。(その際)トルコでこのような交渉機会を設けてもらえるよう依頼する。ウクライナ和平追求に貢献する(トルコの)意思を確認できることを期待している。我々はウクライナとの真剣な交渉を決断している」と話した。

プーチン大統領にとって交渉の目的は、「紛争の根本要因を除去し、歴史的観点から長期的かつ永続的な平和を確立すること」である。それを強調したうえでプーチン大統領は次のように述べた。「この交渉では、ロシアからだけでなくウクライナからも具体的な新たな停戦と真の変化の合意の可能性を排除しない。これが最初の一歩となるだろう」。

■「我々の提案はテーブルの上」

プーチン大統領は、この提案は長期的かつ持続可能な和平のきっかけであるとし、これがウクライナ軍の全面的な装備強化につながり、その後武力紛争が継続するようなことがあってはならないと指摘した。

プーチン大統領は、「我々の提案はテーブルの上にある。決断はウクライナ当局とその背後にいる支配人らに委ねられている」と述べた。

■ウクライナの反応

ウクライナのヴォロディミル・ゼレンスキー大統領は、ロシアが明日、完全かつ恒久的で信頼できる停戦を確保するための提案を承認することを期待しており、(ウクライナ側も)協議の用意があると述べた。

ロシアからの停戦提案の承認を待ち望んでいるとして、ゼレンスキー大統領は次のように述べた。

「ロシアがようやく戦争終結を考え始めたことは明るい兆しだ。世界中が長い間、これを待ち望んでいた。あらゆる戦争を真に終結させるための第一歩は停戦だ。一日たりとも殺し続けることに意味はない。明日5月12日に、ロシアが完全かつ持続的で信頼できる停戦を承認することを期待している。ウクライナは会談の準備ができている。」

■エルドアン大統領とプーチン大統領との会談

トルコのエルドアン大統領はロシアのプーチン大統領と電話会談を行った。

大統領官邸広報部の発表でが、この会談ではトルコとロシアの二国間関係、地域的・世界的課題にについて話し合われた。

この会談でエルドアン大統領はプーチン大統領に対し、トルコは永続的な解決につながる交渉の場を提供する用意があると表明した。

会談に関する文書発表には次のような記載がみられた。

「トルコのレジェップ・タイイプ・エルドアン大統領は、露プーチン大統領と電話会談を行った。会談では、トルコとロシアの二国間関係、地域的、世界的な問題について話し合った。エルドアン大統領は、ロシアとウクライナの和平交渉が、中断した地であるイスタンブルで再開されることを示唆するプーチン大統領発言を歓迎し、トルコには永続的な解決につながる交渉の場を提供する用意があると述べた。エルドアン大統領は、「和平に到達すればチャンスという窓が開かれ、包括的な停戦が和平交渉に必要な環境を作り出すだろう」と述べた。

■エルドアン大統領と仏マクロン大統領が会談

エルドアン大統領は仏エマニュエル・マクロン大統領とも電話会談を行った。

大統領官邸広報部の発表によれば、電話会談ではトルコとフランスの二国間関係、地域的、世界的な問題について話し合われた。

この会談でエルドアン大統領は、ウクライナとロシアの戦争を終結させる歴史的な転機が訪れたこと、この機会を生かすべきであること、トルコは停戦と恒久的な平和を確保するため、交渉の場の提供を含め、あらゆる貢献をする用意があることを述べた。

また、ウクライナとロシア間の恒久的な和平交渉の再開とウクライナ復興プロセスの的確な遂行においては協働し続けることが重要だと述べた。

■トランプ大統領の発言

米ドナルド・トランプ米大統領は、プーチン大統領によるウクライナとの「直接交渉」提案を受け、SNS Truth Socialアカウントから声明を発表した。

トランプ大統領は、「ロシアとウクライナにとって素晴らしい日になる可能性がある」と書き、二国の戦争が終結すれば何千人もの命が救われるとした。

そのほか、「まったく新しく、はるかによい世界になる」と述べ、この問題ではロシアとウクライナと協力し続け、二国との貿易改善に注力したいと述べた。その後、「重大な週になる」と締めくくった。


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翻訳者:原田星来
記事ID:60116