シリア:国境における緊張緩和のため、イスラエルと直接交渉

2025年05月27日付 al-Mudun 紙
https://www.almodon.com/File/GetImageCustom/e50305e0-4ab8-4f9a-b842-5d5c145f398c/950/535
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■国境における緊張緩和のためにシリアとイスラエルが直接接触

【本紙】

事情に通じた5つの情報筋が『ロイター』通信に明かしたところによると、シリアとイスラエルはここ数週間で、南部国境での緊張を緩和し、武力衝突のぼっ発を防ぐために、対面での直接会合を開催したという。これは長らく敵対関係にあった両国間で前例のない進展である。

シリアの2つの情報筋、西欧側の2つの情報筋のほか、地域の諜報系情報筋が確認したところによると、この会合はアサド政権の打倒以降に両国間で開かれた初めての直接会合である。またこれらの情報筋が明らかにしたところによると、これらの会合は、UAEの支援と米国の応援のもとで、仲介者らを通じて行われている間接会談と並行して行われた。

これらの会合は国境地帯の内部で行われ、その一部はイスラエルが目下支配する領域に重なっていた。シリア側からは、かつてクナイトラ県の知事を務め、その後スワイダーの問題を委任された治安系高官のアフマド・ダーラーティー氏が会談を主導した。イスラエル側の代表者は不明である。

<米国の支援と現場の変化>

シリアのアフマド・シャルア大統領は今月はじめ、緊張の高まりを回避するためのイスラエルとの間接交渉の存在を認め、こうした接触を「移行期における必要なステップ」と評した。またこれはシリア領内の拠点に対するイスラエルの空爆の顕著な減少と並行して起きた。

5月中旬には、サウジアラビアの首都リヤドで、米国のドナルド・トランプ大統領とシャルア大統領の前例のない会合が行われた。地域の諜報系情報筋はこれを、米国の対シリア政策の「転換点」と評した。さらに同筋は、これらの会合がイスラエルに、アサド(打倒)後のシリアの分裂を利用するという従来の安全保障政策を見直すよう促したと述べた。

ロイター通信が確認した、シリア外務省から米国政府に送られた公式書簡では、シリア政府は「我々はシリアが、イスラエルを含むいかなる勢力に対して脅威の源泉となることを許さない」と述べた。

この治安上の接近は、シリア国内、特に先月に激しい衝突が起きたスワイダーにおいて波紋を呼んだ。この衝突に対してイスラエルは激しい空爆で応じ、そのなかにはダマスカスの大統領宮殿を標的としたものもあった。これは、ドゥルーズ派コミュニティの安全に対する警告メッセージでもあった。

会談では現在、現場での治安調整と侵入の防止に焦点が当てられている。とはいえ3つの情報筋がロイター通信に述べたところによると、この会合が今後の政治的理解の基盤となるかもしれないという。水面下での交渉に参加したうちの1人は、「ここでの平和とは戦争の不存在をいうのであって、正常化ではない」と述べた。


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翻訳者:鈴木美織
記事ID:60219