卒業証書偽造、君主の孫、心理学者、教員などなど
2025年08月04日付 Medyescope 紙

アンカラ共和国主席検察局は、上級官公庁の管理者たちの電子署名をコピーし、卒業証書を偽造した人物たちにつき捜査を開始した。容疑者たちは、卒業記録、成績の平均、準教授職の申請、卒業情報を操作し、何百人もの人々に仲介を行った。オスマン朝のアブドゥルハミト2世の第四世代目の子孫であるアブドゥルハミト・カユハン・オスマンオールの卒業証書も偽物と判明した。卒業証書偽造の捜査について私たちは何を知っているのか。
アンカラ共和国主席検察局サイバー犯罪捜索課は、ガーズィ大学と国民教育省職員の名義で偽造された電子署名を引き出すことで、大学の卒業書の作成したり、運転者の書類の筆記試験と実技試験結果を改ざんして優秀な成績を収めたことにしたのが特定されたことを受けて、捜査を開始した。
■偽造卒業証書捜査について何を知っているか
DHAの情報によると、捜査の中で拘束された容疑者たちのうち16人は逮捕され、合計で134人についての訴状が5月に作成された。
アンカラ第23第一審刑事裁判所で容疑者の裁判が行われる一方、「大学入試センター法違反」、「公文書偽造」、「情報システムへの侵入」、「データの違法入手」といった罪で6年以上45年以下の懲役が求刑された。
■14官公庁の管理者の署名が使用された
訴状では、容疑者たちがTÜRKTRUST やE-İMZATRといった名称の電子証明書発行機関を通して、ガーズィ大学と国民教育省のシステムに侵入し、ガーズィ大学で卒業書類を作成し卒業証書を作り上げた、成績不良だった候補者の試験結果を改変した、こうした文書偽造の対価として40万リラほど要求し、数人の個人情報を盗み他人名義で電子署名を作成したとする。
訴状によると、アナトリア大学、ユルドゥズ工科大学、チャナッカレ3月18日大学、イノニュ大学、メルスィン大学、ウルダー大学、アタテュルク大学、エルジエス大学、アール・イブラヒム・チェチェン大学、情報通信技術庁、高等教育機構を含む14官公庁の管理者名の電子署名が偽造された。
ガーズィ大学と高等教育機構は、原告に名を連ねた。
◾️システムはどのように作動したのか
訴状では、容疑者たちが、複数の電子証明サービス事業者のアダナ、メルスィン、ハタイ、アンカラ、イスタンブルの事務所を通じて偽造した運転免許証、IDカードを使用して、官公庁の管理者名で電子署名を申請し発行を受け、この電子証明を用いて官公庁のシステムに不正アクセスし、一連の違法行為・手続きを行い、不正アクセスを通じて卒業書類を偽造して高等教育情報システムに登録追加し、様々な電子上の試験結果が失敗だったものを成功に書き換えた、と発表された。
■地震で亡くなった弁護士たちの再登録が行われた
捜査の第二段階では、情報テクノロジー・コミュニケーション協会会長、副会長、高等教育機構教育指導局長、14大学の学生課課長と職員たちの電子署名を偽造した件で、65人の容疑者についてさらに訴状が準備されている。この件では、アンカラ第23第一審刑事裁判所によって裁判が始められた。容疑者について5年以上50年以下の懲役が求刑された。
訴状では、容疑者たちが39件の大学卒業証書を偽造してシステムに追加し、[2023年]2月6日の地震で亡くなった数人の弁護士の卒業証書をシステムから削除し、卒業証書を求めた人物名に書き換えたとした。
■400人の学者の任命
容疑者たちの証言では、彼らが法律家から心理学者、教師から薬剤師まで、約400人の学者の違法な任命に関与し、多くの人物が准教授と教授になったという。
高等教育機構(YÖK)会長エロル・オズヴァル教授は、400人の学者たちが違法な手続きによって准教授職及び教授職を得たという主張に関して発表を行い、「とても深刻な出来事である。私たちは2方向から調査を行う予定である。私たちと関連大学がそれぞれ調査を行う予定である。」と述べた。大学に必要な手続きを開始するよう文書を送付したとも述べたオズヴァル教授は、「卒業書の偽造を妨げ、刑事罰を厳罰化するために法改正が必要である。」と述べた。
大統領府コミュニケーション庁偽情報対策局も400人の学者の違法な任命という主張に反論した。
会見では「アンカラ共和国主席検察局から入手した情報によると、捜査の中で容疑者たちにより手続きが行われた220人の中にはトルコの学者は一人もいない。同様に、国民教育省附属の学校で働く全ての教師も容疑者に含まれていない。自動車学校の教員と体育教師の名前のみがあり、彼らは、教師の地位にはない。」と発表された。
◾️オスマン朝君主の孫の卒業証書も偽物
訴状の中で注意を引く人物の一人はオスマン朝の君主アブドゥルハミト2世の第四世代目の子孫にあたるアブドゥルハミト・カユハン・オスマンオールである。
オスマンオールが、イノニュ大学文理学部歴史学科より偽の卒業登録でYÖKのシステムに登録されたが、YÖKの公的な書類では全く学生登録も卒業書類にも見つけられないと伝えられた。
訴状では「イノニュ大学学生課課長のサミ・ドゥラクという人物の名前で作られた偽の電子署名を使用して容疑者の名義でイノニュ大学文理学部『歴史』の学部プログラムを卒業した記録が偽造されYÖKのシステムに加えられたのが確認され、YÖKより当方に送られてきた返書にて、当該人物に関しいかなる卒業・学生登録の記録がないのが明らかにされた」と述べられている。
オスマンオールが電子政府のシステムを通じて卒業を確認したのも明らかにされた。捜査がまだ終了していないために当人に関する関係資料は取り分けられている。訴状ではオスマンオールに関して次のように述べている。
「アブドゥルハミト・カユハン・オスマンオールに関して捜査手続きが完了していないため、ここでは提示されていない。捜査終了の際には、十分な証拠を得た場合に複数の案件を纏めた公的訴訟が行われるであろう。」
◾️環境・都市開発・気候変動省、国有地総局への不正アクセスを認める
環境・都市開発・気候変動省は、アンカラ共和国主席検察局が進めている偽電子署名捜査に関し発表を行った。この発表では、国有地総局売却局長が報告を受けることなく電子政府の口座に電子署名を通じてアクセスが行われたことを認めた。
発表では次のように述べている。「電子署名を作り、電子署名を通じて我が省の文書システムにアクセスしようとした人物たちのipアドレスが確認された。この人物たちに関し対処が行われるよう2025年6月25日にアンカラ共和国主席検察局に告発を行った。」
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翻訳者:新井慧
記事ID:60603