政府の不耕作地賃貸案に反発
2025年08月11日付 Cumhuriyet 紙

2年以上耕作されていない農地は、農業森林省が準備した9月1日付で始まる新たな制度によって、農地調査委員会によって公示され賃貸される。政府の不耕作地賃貸計画は、政界や組合団体から反対の声が上がった。共和人民党のエルハン・アデム議員は、同制度が地方の実態を無視し、管理の届かない法的に問題のある中央政府の計画であると述べ、「多くの村人は収支に見合わないため耕作していない。政府がこういった人々に支援を続けていれば、耕作を続けていただろう。真の関係者を排除するのは、社会的公正に反する。」と述べた。農業者団体アリ・ビュレント・エルデム組合長はというと、「このモデルは小農を終わらせ、農業と食糧を企業の管理下に置くものだ。」と本紙に話した。
共和人民党農業政策担当のエルハン・アデム副党首は、農地の賃貸借に関する制度を強く非難した。アデム副党首は、制度が地方の状況を考慮せず、管理の届かない法的に問題のあるものだと述べた。
■中央計画は机上のものであってはならない
賃貸借される農地で作られる生産物の種類が同省によって決定されることを批判したアデム副党首は、「それぞれの地域に独自の土壌の仕組み、気候条件、市場のダイナミズムがある。アンカラ政府が生産物を押し付けるのは、農家を生産から遠ざけることを意味する。地方の生産者の経験を顧慮しなければ、このモデルが始まる前に崩壊するだろう。」と述べた。
■管理は口先
賃貸借された土地の目的外使用を防止するとの約束が現場では適応されていないと述べたアデム副党首は、「県及び郡の農業局に監視を行う技師の数は不足している。物流のインフラも不十分である。この状況で効果的な監視は不可能である。『私たちは監視を行う。』という言葉は紙の上にとどまっている。」と話した。
■農業経験のないSTKの人々がどのように生産するのか
アデム副党首は、民間社会団体(STK)の人々と職業会議所が優先的な賃貸借業者に選ばれることにも触れ、「農業は単に種をまくだけでは行えない。知識、経験、年単位の従事が必要である。農業上の能力がない層がこの仕事を担わされると、土地が無駄に浪費される。」と述べた。
■土地所有者は支援を受けられない
賃貸借する人々は支援を得られる一方、土地所有者は蚊帳の外に置かれ権利を喪失事になると強調したアデム副党首は、「多くの村人が収支に見合わないため耕作をしない。政府はこの人々を支援すれば、耕作を続けただろう。真の関係者を除外することは、社会的公正に反する。」と述べた。
■分割所有地で法的な問題
アデム副党首は、相続により所有した分割所有地の多くで、全ての相続人の承認を得ずに賃貸借することはできないと述べ、「この現実を見ずに来たことは、制度を行き詰まらせるだろう。法的基盤が安定していなければ、継続性はないだろう。」と話した。
■本来の農家の支援なしは、あり得ない
収支が理由で耕作しない土地が他人に与えられることを批判したアデム副党首は、「今日の収支によって生産できない農家を支援する代わりに、土地を他人に与えることは解決ではない。燃料、肥料、農薬、灌水といった支出がこれほど高騰する中、他人とてどのように利益を生み出すのか。」と述べた。
■村人はプロセスに関して何も知らない
アデム副党首は、村人は制度について知らされていないとし、「村人は畑をどのように賃貸借するのか、何を生産するのかを知らない。現場でこれを知らせずにこの制度が成功するチャンスはない。」という形で話した。
■現実的な政策ではない
同副党首は、結果としてこのモデルを、生産をやめた村人の代わりに別人を配置し、所有の問題は解決せず、管理も行き届かず、法的にも問題がある制度と見ているとし、「トルコには、土地と生産者の立場に立ち、参加的、透明で現場主義の農業政策が必要である。」と述べた。
■農業と食品会社の手に移行する
農業者組合アリ・ビュレント・エルデム組合長は、トルコ農業政策と「不耕作地の賃貸借」制度を強い言葉で非難した。エルデム組合長は、新自由主義の政策は小農を限界点にもたらすだろう。」と述べた。
◾️資本主義制度の押し付けにより農業が変貌
エルデム組合長は、第二次世界大戦後にアメリカが先導して設けられた資本主義システムが各国の農業生産を産業生産形態に変えたとし、「目的は生産を増し、農村部を市場に解放し、耕地を拡大する事であった。この目的で諸機関が創設され、既存の機関が改変された。」と述べた。
◾️新自由政策が農民を叩いた
同組合長は、1970年代後半以降、新自由主義政策が、IMF、世界銀行、国際協定を通じて押しつけを行ったとし、「トルコは[1980年]1月24日の決定によりこの流れに入った。同年の9月12日の軍事クーデターでこの政策は完全に実現の運びとなった。小農はこの破壊にもっとひどく打ちのめされた。」と語った。
◾️世界貿易機関が設けられ、小農は押しつぶされた
1995年にガットが世界貿易機関に変わることで、農業生産・取引が自由化されたとしたエルデム組合長は、「一部の農業・食品会社が国際自由市場で独占価格を適用し始めた。小農たちは費用さえ工面できない状態になり、破産した。」と述べた。
◾️国は農業から手を引いた
エルデム組合長は、自由農業政策により、農民たちを支援していたすべての農業的仕組みが撤廃され、または機能不全化されたと述べ、「小農は企業と直面する事になった。あらゆる措置が企業の前途を開き、農業は企業化された。」とした。
◾️不耕作の土地を賃貸に出すのは問題
「国は今、不耕作の土地を賃貸に出すと言っている。この制度がどうなるのかわからない。生産者はこの問題で情報を伝えられていない。この土地を誰が賃借し、その後誰の持ち物になるのか。企業の手に渡った農業生産物に土地も付け加えられるのか。」と問うた。
◾️解決:農民を自分の土地にとどめること
エルデム組合長は、生産を増す術は農民を自分の土地にとどめ置く事だと述べ、「農業政策が変更され、農民にあらゆる支援が与えられねばならない。共同事業法が民主的なものに変更されねばならない。企業の手に農業と食糧が移ることは、人々と国の手から食糧が出ていくことを意味する。」と言う。
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翻訳者:新井慧
記事ID:60634