カタール:国際ムスリム・ウラマー連盟、イスラエルの拡張政策による危機感の高まりに懸念と非難を表明

2025年08月16日付 al-Quds al-Arabi 紙

■ウラマーたちは「大イスラエル主義」*構想の危険性をアラブ人に警告する

【ドーハ:スライマーン・ハーッジュ・イブラーヒーム、本紙】

国際ムスリム・ウラマー連盟(IUMS:International Union of Muslim Scholars)は、「大イスラエル主義」構想の推進・実施に向けたイスラエルの指導者たちの発言と動向に警戒している。IUMSはこの動きをウンマ(イスラーム共同体/イスラーム国家)全体の存在を脅かす深刻な問題とみなし、特に「ガザはウンマを守るために孤軍奮闘している」と主張した。

IUMSはこれを「シオニスト政体のベンヤミン・ネタニヤフ首相による危険な発言」だと非難し、「この発言は単なるスローガンではなく、アラブ諸国とウンマ全体の土地、民族、聖地を標的とした拡張主義的植民地計画の明確な宣言である」と断言した。ネタニヤフ首相は発言の中で、いわゆる「大イスラエル主義」構想への支持を公表し、自身は世代を超えた「歴史的・精神的な宿命」を負っていると感じていると語っている。

本紙がコピーを入手した声明の中でIUMSは、「これは、もはやガザとパレスチナだけの問題ではない、ウンマ全体の存在に関わる問題である。本日、本組織の最高指導者が危険性について警告し、真実が明らかになった。ガザは最前線で、多くの血を流し、子供の命を犠牲にしてウンマを守り、全てのムスリムのために代償を払っている」と述べた。

IUMSはカラダーギー会長とアリー・サッラービー書記長が出した声明の中で「ネタニヤフ首相の『大イスラエル主義』構想に関する発言によって、イスラーム国家全体を標的とした危険な植民地主義計画が明らかとなった。そして、現在ガザは、ウンマの盾となり、全てのムスリムのために対立の重荷を負い、犠牲を払っている」と非難した。

カタールの首都ドーハに本部を置くIUMSは、「アラブ・イスラーム国家が沈黙を繰り返し、それどころか沈黙に加担していることが占領国の軍事作戦の継続・拡大を助長している。パレスチナ人は殺戮と破壊の道具の前に孤立している」と付言した。

IUMSは、イスラーム国家の指導者たちに対し、自らを守るためにも各国の事情を乗り越え、真摯に連携し協力するように求めた。(各国の)ウラマーや思想家たちに、誠意ある言葉と思い切った態度で士気を高めるよう呼びかけた。すべてのムスリムに、物質的、精神的援助という義務を果たすよう呼びかけた。国際社会には、沈黙によって世紀の犯罪に加担したことが歴史に残る前に、直ちに行動を起こすよう求めた。

そして、占領国(イスラエル)とのあらゆる形態の正常化を拒否し、それを侵略計画への直接的な支持とみなした。また、「解決策は、ウンマの団結、勇敢なガザのパレスチナ人との連帯、あらゆる合法的手段による彼らへの支援、そしてイスラエルとの関係の根絶である」と強調した。

IUMSはウンマに対して、いかなる拡張主義的計画にも対抗できるよう万全な準備を呼びかけ、(ウンマの)つながりと集団行動を忠実に守ることが拡張主義的野望を阻止し、パレスチナ人の正当な権利を回復し、エルサレムをユダヤ化と侵略から守る手段であると表明した。

大イスラエル主義* 「約束の地」とされるパレスチナ全域からヨルダン川両岸、周辺アラブ諸国の一部までを今日の国民国家イスラエルの領土とする思想


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翻訳者:清久功介
記事ID:60658