シリア:シリア軍がSDF「自治区」との境界地域に展開

2025年08月18日付 al-Mudun 紙

■シリア軍がSDF支配地域との境界に展開:スワイダー事件に先立つ計画

【本紙】

本紙がシリア軍内の軍事複数筋から伝え聞いたところによると、国防省は、シリア民主軍(SDF)の支配地域に隣接する地域で、傘下にある軍部隊を動員し、彼らの臨戦態勢を強化するよう命じたという。これと同時に、クルド人当局が3月10日に署名されたシャルア・アブディー合意の実施を先延ばしにしていることで、地域の権力の均衡を変えかねない緊迫化が生じている。

SDFはシリア東部の広範なカントン(自治行政区)を支配しており、アフマド・シャルア大統領とSDFのマズルーム・アブディー司令官が署名したこの合意は、停戦のほか、シリア北東部にある国境通行所、空港、石油・ガス田を含むすべての民間および軍事機関を、シリア国家行政に統合することを規定している。

〈動員と警戒〉

シリア国防省の軍事筋が本紙に述べたところによると、軍の多くの師団は数週間前から臨戦態勢を強化し、動員・警戒活動を開始した。また同筋は、彼らはスワイダーでの戦闘に先立って、ユーフラテス川東岸に対する攻撃の開始を計画していたが、軍がスワイダー県での衝突を鎮圧するための攻撃を実施したことにより、SDFに対する軍事計画の実行が延期されたと指摘した。

情報筋は、ユーフラテス川東岸で開催された会議は、特にシリア軍の高官レベルがそれを「政府に対する少数派同盟の結束」とみたために、同軍の臨戦態勢を強化せしめるための追加的要因となったと付言した。こうした観点から、軍はスワイダー県の事件に先立ってもともと計画されていたプランに基づいて、各師団の動員を再開したのである。

同時に同筋は、国防省がSDFに対する攻撃において、アラブ部族というカードを利用しようとしていたことを確認した。同省に吸収された(旧)国民軍の諸部隊も、アレッポ県田園地帯から作戦に参加することになる。しかし同筋によると、国防省は現在、未来の軍事行動がもたらす結果の深刻さと重大性を踏まえ、クルド人との問題の平和的手段による解決を期待して、待ちの姿勢を取っているという。

この文脈で、国防省傘下のアレッポ師団の1つで活動する軍事筋は、地域に駐留する5つの師団が、自治行政区に隣接するアレッポ郊外の前線に完全に動員されたと明らかにした。さらに同筋は本紙に対し、軍はまだいかなる攻撃も開始していないが、軍事的解決に向けて準備はできていると述べた。

〈武力の誇示〉

国防省で活動する軍事筋は、軍がクルド人支配領域に対する大規模な攻撃を開始する可能性を否定したが、事情に通じたほかの複数筋はシリア民主軍(SDF)とシリア政府との間での緊張の高まりが、武力誇示の新しい段階を示唆していると指摘する。

政治アナリストのダルウィーシュ・ハリーファ氏は以下のように述べる。「SDFは反体制派の諸分子に繰り返し自らへの加入を呼び掛けているが、シリア政府はこれを断固として拒否しているため、状況がエスカレートする可能性を示唆している。しかしそれにもかかわらず、直接的な軍事衝突は依然として除外された選択肢のままであるようだ」。

ハリーファ氏は本紙に対し、両陣営は対話に復帰することができるためのグレーゾーンを維持したいのではないかと述べた。さらに、非中央集権化を議論するためにヨーロッパの首都で調整会議が開かれるという話と並行して、後にシリア政府との交渉の場で提示する憲法原則を起草するため、ラッカでの協議会合の準備が進んでいるとの複数の情報の存在について指摘した。

緊張した雰囲気のなか、SDFの使節団は数日前にダマスカスを訪問しており、3月10日合意の継続として協議を行った。

シリア外務省のクタイバ・イドリビー米国担当官は、「3月10日の合意実施のための実際的な段階」に入ったと指摘し、フランスの首都パリで予定されていたシリア政府代表団とシリア民主軍代表団の間の会議が「もはや開催されない」ことを確認した。


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翻訳者:鈴木美織
記事ID:60671