
■SDF、未成年者の誘拐と徴募を強化:戦闘への備えか?
【本紙】
シリア北部および東部のシリア民主軍(SDF)が支配する地域では、男女ともに未成年者の徴兵が強化されていることに対し人々の不満が高まっており、子どもを家族から誘拐して軍事キャンプに押し込んでいるとの非難もある。
通常は徴兵や子供の訓練を担う「革命青年」は、過去数年行ってきた誘致や勧誘の方針代わりに、強制徴募の方針をとっていることが観察されている。これはSDFが部隊の数を増やし、部隊の結束を維持しようとする意図を反映している。このことはまた、脱走兵に対して最近行われた追跡・摘発作戦からも明らかである。
〈子供の徴募〉
政治アナリストで著述家のアリー・タミー氏によると、18歳未満の少年少女を対象とする徴募キャンペーンは、ハサカ、ラッカ、デリゾール、アイン・アラビ(コバニ)地域において前例のないほど激化しており、そのうち一部は道路や公園で誘拐され、また一部は家族に引き渡すよう圧をかけられていたという。同氏はさらに、「この政策は現地の家族にとって大きな不安となっており、子どもを家の外に出すことはもはや安全ではない」と付け加えた。
同氏は『ムドゥン』紙に対し、以下のように述べた。「SDFの未成年者の少年少女の徴募政策は、古くて新しいものである。徴募作戦の強化は、隊内のアラブ系部隊構造に対する信頼が失われていることに起因する。その結果、子供の誘拐によって、必要とされる信頼できる部隊の兵力の増加がもたらされている。」
同氏はSDFを、「混乱と動揺」の状態にあると考え、「3月10日の合意を実施し、、その条項の遵守することには失敗するだろう。そのため、少なくとも今年末まではシリア政府との軍事衝突の可能性を念頭に置き、現在その対決への準備を進めている」とみなしている。
〈集中的キャンペーン〉
一方、アフリーン地域のザーナー・ハリール広報部長責任者は本紙に対し、このキャンペーンはアレッポのSDF支配下にあるシェイフ・マクスード、アーシュラフィーア、バニー・ザイドの地区にも拡大しており、これらの地区では、街頭やカフェでの複数の誘拐事件が発生したと明かした。さらにアフリーン地域で18歳未満の少年少女数名を、アレッポ部隊に加わらせることにも成功している。
ハリールは、「SDFが行う未成年の徴募方法は様々で、アレッポでは地域全体を支配していることから、この年齢層に対して依然として誘致や勧誘の政策を続けている。この政策の最大の特徴は、雇用の機会が依然として極めて限られている地域において、高額な給与で若者を誘惑している点だ」と述べ、さらに次のように指摘した。「子どものSDFへの加入を家族が拒否することは、多くの場合、救援物資やサービス、仕事の権利を奪われることを意味している。」
シリア北東部地域については、タミー氏によれば、「家族は子どもをより厳重に引き留め、革命青年団の活動に参加させないようにしている。革命青年団は通常、文化プログラム(セミナー、会合、学生旅行)を通じてSDFへの加入という考えを広めているが、家族のこうした対応がキャンペーンの妨げとなり、参加者数が減少した。そのため、彼らは強制徴募政策を取らざるを得なくなり、時おり誘拐のための名簿を作成している。」
〈脱走兵の追跡〉
分析者らによれば、SDFは強制徴募を通じて、多くの構成員の逃亡を補おうとしているようだ。アイン・アラビ(コバニ)の活動家ウースィブ・ブルクル氏は、SDFは現在、部隊からの離脱という問題に直面しており、その多くはかつて幼少期に誘拐された構成員であると述べた。そして「これもまた、欠員を補うために未成年者徴募を強化するもう一つの要因だ」と付け加えた。
ブルクル氏は本紙に対し、「コバニ地域はここ数日、兵役からの逃亡者を探すSDFによる複数回の急襲作戦を受けた。そのうちの一つの作戦では、SDFが脱走から7か月後の女性兵士を逮捕することに成功した」と述べた。
同氏は、9月上旬の深夜過ぎ、武装集団がコバニ郊外の家を急襲し、その場所を完全に包囲したと明らかにした。さらに同氏は、「襲撃集団は脱走した女性兵士クーリー・イブラヒームを逮捕し、不明な場所へ連行した。彼らを止めようとした彼女の母親を暴行し、家から金の宝飾品や現金を盗んだ」と指摘した。
ブルクル氏によると、SDFはクーリー・イブラヒームを中学2年生のとき下校中に拉致した。彼女は約7か月前に脱走し、それ以来身を隠していたしていたという。
ブルクル氏は、SDFが拉致された子どもを取り戻そうとする家族の面会を禁じているのは、離脱を減らすことを目的としているとみている。同氏は、「拉致された新兵の一部は何か月も家族に会っておらず、また別の者は誘拐されて以来一度も会っておらず、その家族も彼らの所在を知らない」と指摘した。さらに「幼い年齢の新兵に対しては、逃亡して家族のもとに戻ることを恐れて厳しい監視が行われている」と述べた。
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翻訳者:鈴木美織
記事ID:60742