
国連総会で約58年ぶりに演説したシリアの指導者であるアフマド・シャラア大統領は、シリア国民を支援したトルコおよびほかの国々に謝意を表明した。
シリアのシャラア大統領は、アメリカのニューヨークで開催された国連第80回総会で演説を行った。国連総会で約58年ぶりに演説を行うシリアの指導者となったシャラア大統領は、シリア国民を支援し、彼らを自国に受け入れた全ての人々に感謝と謝意を表すると述べ、「特にトルコ、カタール、サウジアラビア王国、そしてすべてのアラブ・イスラム諸国、さらにアメリカ合衆国と欧州連合(EU)に感謝します。」と語った。また、シャラア大統領は12月8日以来、イスラエルの脅威は止んでいないと強調し、次のように述べた。
「イスラエルの政策は、(新体制への)移行プロセスを悪用し、地域を行先の見えない新たな衝突にさらすことを目的として、シリアとその国民を支持する国際的な姿勢と相反する形で進められている。この文脈において、シリアはこの危機を克服するために対話と外交を用いており、1974年の合意への遵守を約束している。また国際社会に対しても、こうした脅威に直面してシリアの主権と領土の一体性を尊重し、我々の側に立つよう呼びかけている。」
シャラア大統領は、シリアが経験した苦しみを誰にも経験してほしくないと述べ、「私たちは戦争がもたらした苦しみと破壊を最も強く感じてきた人々の一人です。そのためガザの人々を、子どもたち、女性たち、侵害や攻撃にさらされている他のすべての人々を支持します。戦争を止めるよう呼びかけます。」と語った。
シリアが活発な外交活動を通じて国際関係を再構築し、地域的・世界的なパートナーシップを築いていることを強調したシャラア大統領は、次のように続けた。
「これにより、シリアに科されていた制裁の多くが段階的に解除される結果となりました。私たちは、シリア国民を再び鎖につなぎ、彼らの自由を奪う手段として利用されないように、制裁が完全に撤廃されることを求めます。」
シャラア大統領は、打倒された旧政権がシリア国民に対する戦争において、爆発物入りの樽、化学兵器、刑務所での拷問、強制移住、宗派・民族間の対立を扇動すること、さらには麻薬を国民と世界に対する武器として用いるなど、最も忌まわしい拷問と殺戮の手段を用いたことを想起させ、次のように述べた。
「旧政権は我が国を分断し、最も重要な歴史的中心地を破壊し、世界中から外国勢力、武装集団や民兵を国内に招き入れ、私たちの美しい国を人質にしました。約100万人を殺害し、数十万人に拷問を加え、およそ1400万人を故郷から追い立て、約200万戸の家屋を住民の頭上に崩落させました。我々の国民は、200件を超える記録された化学攻撃の標的となったのです。ええ、我々の子どもたち、女性たち、若者たちは毒ガスを吸わされたのです。政権は正義の声を封じるためにこれらすべてを行いました。そしてこうした罪の数々にもかかわらず、いかなる政治的解決案も受け入れませんでした。」
シリアからの避難を余儀なくされた人々に帰還の道を開いたと強調したシャラア大統領は、次のように語った。
「難民が自宅に戻る道を開きました。旧政権が世界に輸出していた麻薬取引を根絶しました。シリアはもはや危機を輸出する国ではありません。シリアは、シリア自身と地域全体に安定・平和・繁栄をもたらす歴史的な好機となったのです。」
■シリア国民、シャラア大統領の国連演説を広場で祝う
国連総会で約58年ぶりに演壇に立ったシリアの指導者となったアフマド・シャラア大統領の演説の最中、首都ダマスカスのウマイヤド広場に集まった市民たちは祝賀を行った。
またシリア国民は、シャラア大統領の国連総会での演説を聞くため、首都ダマスカスやデリゾール市の広場にも集まった。
58年ぶりに国連で演説した初のシリア人指導者となったシャラア大統領のスピーチは、広場に設置された大型スクリーンで生中継された。シャラア大統領の演説中、首都ダマスカスのウマイヤド広場に集まった市民たちは祝賀を行った。市民たちは手に国旗を掲げ、大型スクリーンに映し出されるシャラア氏の演説を視聴しながら熱狂を分かち合った。
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翻訳者:橋本響
記事ID:60826