野党に反対する野党に対し、反対する野党

2025年10月05日付 Medyescope 紙
【ジャーナリスト ルシェン・チャクルによるコラムより】

ジャーナリストのルシェン・チャクル氏が、『反対派(野党)に反対する野党に対し、反対する野党』と題したコラムで、国会の開会式で撮影された写真をめぐり炎上中の野党内部の議論について論じた。
チャクル氏は、今回、民主主義進歩党(DEVA)と未来党に向けられた反発は、2023年選挙の敗北から尾を引く怒りに起因しており、共和人民党(CHP)のオズギュル・オゼル党首がこの緊張状態を治めようとしていると述べた。

記事では、国会の開会式で配られた写真をめぐり野党内に沸き起こった議論が取り上げられた。チャクル氏によれば、その写真は「大統領府側から細心の注意が払われたうえで提供された」もので、特にCHP周辺に大変な不快感をもたらした。また、チャクル氏は、オズギュル・オゼル党首による「野党が野党に反対する時代は終わった」発言も、その空気を受けたものだと評した。

■DEVA党と未来党への怒り:2023年から後を引く影響

チャクル氏は、例の写真が今一度野党内の分裂を浮き彫りにしたと指摘し、次のように述べている。

「写真のなかでエルドアン大統領と未来党のダウトオール党首、そしてDEVAのババジャン党首が並んでいるのを見た野党関係者は、2023年選挙での敗北を思い起こした。つまり彼らの頭の中に、ふたつの政党が期待されていた貢献を果たさず、結局、CHPのリストから国会議員が選ばれたことが鮮やかによみがえったのだ。」

チャクル氏は、DEVAはこの件を「過剰に深刻に受け止めて」、アリ・ババジャン党首が反対派メディアやSNSを非難した一方、未来党は「より穏やかな声明」でやり過ごしたとした。また、優良党は「昼間は写真に写っておいて、夕方には距離をとる」ことで、議論を軽くかわしたとも述べた。

チャクル氏は、DEM党に向けられた非難も大げさだと強調し、「DEM党の幹部は声高な声明を避けたが、党の基盤層では例の写真による不快感が広がっている」と述べた。

■オズギュル・オゼル党首は緊張状態を治めたい

チャクル氏は、CHPオズギュル・オゼル党首が、この状況を受けて各野党と連絡を取り、緊張状態の緩和を図っていると指摘し、次のようにコメントした。

「オゼル党首は、写真をめぐって沸き起こった怒りを認識しているし、この野党同士の対立は、3月19日の抵抗運動を経て生まれた(与党に対する)モラル上の優位性を損なうことも理解している。だから、「野党による野党への反対を止めよう」と呼びかけたのだ。」

チャクル氏は、野党がいま経験している内部緊張状態は、エルドアン大統領の策略の結果だと指摘し、次のように述べた。

「一部政党は、もはや大統領連合に参加していないというだけで「反対派」にカウントされている。それに対し、3月19日以降、強力かつ社会に根差した野党基盤が出来上がっており、この基盤は、制度的な政治よりもはるかに決断力のあるイニシアチブをとっている」

チャクル氏は締めくくりとして、「写真が忘れられることはない」と述べ、今回の議論は野党の将来が形作られる時期の到来を示していると語った。


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翻訳者:原田星来
記事ID:60956