イスラエル:ハアレツ紙「ネタニヤフ首相の平和への恐怖は戦争への恐怖を上回っている」
2025年10月15日付 al-Quds al-Arabi 紙

■ハアレツ紙:ネタニヤフ首相の平和への恐怖は戦争への恐怖を上回る…トランプ氏は何を言ったか
【ハアレツ】
「長年にわたる戦争と危険の後、今日は空が静まり、砲声は止み、太陽が聖地を照らしている」——これは今週、エルサレムのクネセトの壇上でトランプ氏が発した言葉である。
2年間ハマースに拘束されていた20人の生存者がイスラエルに帰還したのだ。これは単なる戦争の終結ではなく、恐怖と死の時代の終焉を意味している。
トランプ氏はこう述べた。「米国の場合と同様に、イスラエルと中東にとっても、これは黄金時代の幕開けとなるだろう」と。
彼は勝利の偉大さよりも、その目的に焦点を移した。
さらにこう続けた。「イスラエルは軍事的手段でなしうることを全て達成した。今こそ、戦場でのテロリストへの勝利を、中東全体における平和と繁栄という究極の成果へと結びつける時だ」。
そしてイスラエルに対し、「力と勇気によって与えられたこの機会を掴み、近隣諸国との新しい外交的道筋を主導せよ」と呼びかけた。
また、パレスチナ人に向けても。「これほど多くの死と苦しみののち、今こそ安定、安全、尊厳、そして経済発展の構築に焦点を当てる時だ」との直接的なメッセージを送った。
さらに大統領は「我が国は、真の永続的平和を目指すいかなるイスラエル・パレスチナの取り組みも支持する」と明確に述べた。
しかし演説の最中、クネセトの議場から2人の議員が「パレスチナを承認せよ」と書かれた横断幕を掲げたために、退場させられた。
もしトランプ氏が本気で平和を望むのであれば、イスラエルによるパレスチナ国家承認の拒否を容認してはならない。パレスチナ人の自己決定権は、認められるべき当然の権利である。
特に、トランプ氏のように「新しい中東」を目指す者にとって、平和的手段による国家承認の要求は理にかなっている。
演説後、トランプ氏はシャルム・シャイフに向かい、エジプトのスィースィー大統領とパレスチナ自治政府のマフムード・アッバース大統領とともに首脳会談に出席した。
アッバース大統領との握手、そしてパレスチナ自治政府を交渉のテーブルに戻したこと自体が、ハマースの行動を「パレスチナ人民の正統な代表は自治政府である」と認識している証左である。
一方、ネタニヤフ首相は「祭日の神聖さ」を理由にサミット参加を辞退した。しかしそれは単なる口実であり、実際にはイスラエルの首相が「戦争よりも平和を恐れている」という単純な事実を隠していた。
トランプ氏が生み出した歴史的瞬間を活かす代わりに、ネタニヤフは再び停滞と拒絶を選んだのだ。連立与党の忠実なパートナーとの対立を恐れたのである。クネセトでトランプ氏は、ネタニヤフを「容易な人物ではない」と評しながらも、「彼は今こそその時であると理解している」と称賛した。
ただし、どのようにして彼を納得させたのかは明らかにしなかった。実際には、ネタニヤフは米国の圧力に屈したのである。トランプ氏は今後も、ネタニヤフとイスラエルに対して圧力をかけ続けるべきだ。
彼が譲らずに堅持するなら、トランプ氏の言った「穏やかな空」は現実の極致となるかもしれない。
この記事の原文はこちら
翻訳者:加藤心寧
記事ID:61010