イズミルの水不足、断水1日12時間に?

2025年11月09日付 Milliyet 紙

トルコ科学アカデミー(TÜBA)環境・生物多様性・気候変動ワーキンググループのメンバーであるドアン・ヤシャール教授は、イズミル県ではダム水位が危機的レベルにまで低下し、予備の地下水も枯渇していると指摘。同教授は、「ブルサでは10%、アンカラとイスタンブルでは1%を地下水でまかなっているが、イズミルは予備用水も使い果たしてしまっている」と述べた。

イズミル県の飲料水需要の大部分を供給するタフタルダムの水位は、過去最低の1.54%にまで低下。ダムの水位低下に伴い、水需要の大部分が地下水源から供給されるようになった。井戸が深くなるにつれ、都市の予備水源である地下水も危うくなっている。TÜBAメンバーであるヤシャール教授は、タフタルダムの有効容量は3億立方メートルであり、残りは約400万立方メートルだと述べた。さらに、「今月末にその割合は1%を下回る。昨年同時期、ダムからは1日あたり23万立方メートルが汲み上げられていたが、現在はそれが5万立方メートルにまで減っている。ダムを完全に空にしてしまわないよう努めている。ここで、ギョルデスダムの死に溜まり部分から水を汲み上げるのはまったくの誤りだ」と話した。

■「イズミルは水不足の都市」

ヤシャール教授によれば、イズミル県は水資源の観点からトルコ全国平均を下回ると強調。「トルコの一人当たりの年間水配分量は1,340立方メートル。1,000立方メートルが水不足ラインであるのに対し、イズミルは600立方メートルと、水資源の観点では特に貧しい都市といえる。ダム水が枯渇すると地下水に切り替わるのだが、イズミル県はダムが満水でも水の50~55%を地下から汲み上げていた。そのため井戸は深く掘り下げられた。今では300メートル以下の井戸は存在しない。井戸から汲み上げられる水は2~3千年前に降った雨水できている」と述べた。

■「排水は農業に活用すべき」

ヤシャール教授によれば、チーリ廃水処理場では1日60万立方メートルの排水が海へ放出されている。同教授は、この水を処理して農業に活用すべきだと強調し、「これらの水をメネメン平野やゲディズ平野に流すべきだ。十分に浄化されていないと言われているが浄化はもちろんなされる。農業用水は地下から汲み上げるのではなく排水で補うべき」と述べた。

アンカラ、イスタンブル、ブルサでも季節によっては水問題が発生するが、それらの都市では予備用の地下水源が確保されているとヤシャール教授は述べる。「ブルサでは水の10%、アンカラとイスタンブルでは1%が地下水から供給されている。それらの都市では地下水が予備として確保されているが、イズミルはその予備水も使い果たしてしまった」と述べた。

■「使い放題の資源ではない」

ヤシャール教授は、「水がなくなればイズミルも終わる」と延べ、同市で夜23時から朝5時まで断水をおこなえば、1日あたり10万立方メートルの節水効果があると指摘した。「断水時間を12時間に延ばせば地下水を保全できる。これは政治的な問題ではなく成功事例による計算。重要なのは、イズミルの人口が生活を維持できること。週に2~3日は断水可能だ。生活用水は削減できても農業用水を適時に供給できなければ干ばつになる。イズミルは農業面で世界有数の中心地であり、水管理は極めて重要。イズミルの水の65~70%は地下から供給されている。これは使い放題の資源ではない。ダムは2~3年で満水になるが、地下帯水層は20~30年かけて満水になる。つまり地下水は絶対に保全しなければならない」と述べた。


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翻訳者:原田星来
記事ID:61120