
アメリカとイスラエルがイラン及びその指導部対して攻撃を行った後、視線はテヘランに向けられている。新時代はどのように形成されるのか、街頭では何が語られているのか、イラン国民は政権を支持するのか、それとも変化を支持するのか?イラン研究センター所長のセルハン・アファジャン准教授(博士)は、これらの展開を本紙に次のように評価した。
◾️アメリカとイスラエルは目的を達成したのか?
「達成していないと思う。もし目的がアーヤトッラー・アリー・ハメネイ師を排除することだけではなかったとすれば――おそらくそうではなかっただろうが――、望んでいたものを得たとは言い難い。アメリカ人たちは特にハメネイ師を殺せばすべてが終わる、というような発想で動いていたとは思えない。そのようにならないことはすでに分かっていたことである。実際、ハメネイ師が亡くなった後、イラン政権は深刻な動揺を見せることはなかった。当初の期待はイランを戦略的に一種の麻痺状態に陥らせることだったようだが、まだその段階には至っていない、ように窺える。もちろんイランには甚大な損害が与えられたが、現段階においてテヘランが戦略的に完全に機能不全に陥ったとは言い難い。」
◾️イスラエルとアメリカの目的は似ているのか?
私の考えでは完全に同じではない。もちろん、一定の共通の利益があることは理解している。第一に、いわゆる「イランの脅威を排除する」といった共通の目標が挙げられる。第二に、同地域の交易路を確保するという目的がある。[紅海入口の]バブ・エル・マンデブ海峡でイランが弱体化するとフーシ派も弱体化するという考えの点でも、ホルムズ海峡を恒久的に通行可能のまま維持するという点でも、共通の利益が存在する。しかし、この点を超えてイスラエルのアプローチは異なっている。イスラエルにとって、イランで不安定な状況が支配的になっても、それはさほど問題ではなく、むしろ地域の不安定さはテルアビブの安全保障ドクトリンの点から許容可能と見なされていると考えられる。一方、アメリカはこの問題にそれほど楽観的ではない。ワシントンは、弱体化し、戦略的主張が削がれたものの、何とか立場を保った状況の中で立て直したイランを好むようである。したがって、現状は、アプローチの点で、米国というよりはイスラエルの展望に近い様相を呈している。
◾️イランは今回、より準備万端だったのか?
12日間にわたる衝突を通じて、そのことは明らかだった。イランは最初の3日間、麻痺したような様子を見せていた。「全く何も出来なかった。」というのは正確ではないかもしれないが、イスラエルはやりたかったように出撃し、標的を攻撃し、さらには要人たちを殺害することもできていた。今日では、イランはより迅速な反応を見せ、即座に反撃した。ただ、その措置はイランにとっても深刻な代償を伴うものだった。したがって、イランが長期間準備をし、アメリカや地域に代償を払わせることを主眼とした戦略上の枠組みの中で行動していることが分かる。
◾️インジルリク基地は標的となるか?
トルコには他国が所有する独立した基地は存在せず、既存の施設はNATOの枠組み内で活動している。もちろん、トルコと米国の関係において、特にインジルリクやキュレチクに米軍の駐留部隊や要員がいることは周知の事実である。しかし、これらはNATOに位置付けられるものと評価されている。イランは、湾岸諸国における米国の存在を標的とする際、一定のリスクを承知の上で行動した。現状を見ると、イランが計画的かつ意図的にトルコを標的にするという兆候は見られない。ここ3日間、その方向性に関する声明も示唆も一切ない。
◾️クルド系組織は蜂起するだろうか?
そのような事態は予想していない。確かに、2月22日に「イラン・クルディスタン政治勢力連合」という組織が結成された。しかし、現状では、こうした組織が本格的な蜂起を起こすだけの能力を持っているとは考えていない。
◾️現在、イランでトップは誰か?
現時点では明確な人物はいない。しかし、「もし誰か一人挙げるとすれば誰か?」という問いに答えるなら、それはおそらくマスウード・ペゼシュキアン大統領だろう。
◾️イラン国民はどのように考えているのか?
- 「イランを注視する人々がしばしば指摘する点がある。それは、イランを均質な社会と見なすことが最大の過ちだということだ。だが、イラン社会は、極めて多様な反応や、異なる政治的・社会学的傾向が共存する構造を示している。
こう考えてみよう。もし今日、米国でドナルド・トランプ氏に対する暗殺が、仮に外部の勢力によって行われたとしよう……。それを喜ぶ者もいれば、悲しむ者もいるだろう。この状況は多くの国に当てはまる。イランでも状況はこれと変わらない。確かに、政権を公然と憎み、抜本的な変革を求める層が存在することは周知の事実だ。しかし、これは問題の一面に過ぎない。もう一方には、体制を支持する人々がいる。あるいは、体制を支持していなくても、混沌と不確実性の状況を自身や家族にとって深刻なリスクと捉え、そのため現状の秩序が突然崩壊することを望まない広範な層も存在する。」
◾️ハメネイ師の妻も死去
イランのメディアは、テヘランで企図された攻撃により重傷を負い、病院で治療を受けていたハメネイ師の妻、マンスーレ・ホジャステ・バゲルザーデ氏も死亡したと報じた。
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翻訳者:小玉桃子
記事ID:61737