クルド人勢力、トランプの圧力、イランの脅しの前で躊躇
2026年03月07日付 Hurriyet 紙

アメリカのトランプ大統領がイランとの戦争で武装クルド人グループを現地へ送り込む計画を行う一方で、強い圧力を受けているイラクのクルド人主導者たちは抜け出す方法を探している。北イラクのクルディスタン民主党のマスウード・バルザーニー党首は戦争から距離を置くために全力を尽くすと述べた一方で、クルディスタン愛国同盟(KYB)でイラクのアブドゥッラティーフ・ラシード大統領の妻、シャナズ・イブラヒム・アフメド夫人は「クルド人たちを巻き込まないでください。私たちは殺し屋ではない」と述べた。
アメリカとイスラエルが始めたイランとの戦争は重大局面を迎えている。アメリカのドナルド・トランプ政権がイランにアメリカ人部隊を派兵する代わりに、国内西部にいる武装クルド人グループを現地に送り込むとの主張を強めている一方で、地域のクルド人主導者たちは米国政府の圧力とイラン政府の脅迫の間で板挟みになっている。
■「私たちは殺し屋ではない」
アメリカの報道機関がアメリカ中央情報局(CIA)とイスラエル諜報機関のモサドがイラク・クルディスタン地域政府(IKBY)内のイランのクルド人グループに対イラン政府武装闘争へ向けた準備をさせていると報じた一方で、イラクのクルド人主導者たちたちが次々と意見を表明して注目を集めた。イラクのアブドゥッラティーフ・ラシード大統領の妻、シャナズ・イブラヒム・アフメド夫人は公開の書面にて、イランへの戦争に加わるいずれの立場からもクルド人たちを巻き込まないように求めた。アフメド大統領夫人は「クルド人たちはその武力や犠牲が必要とされる時にだけ思い出されることが多い。クルド人たちを巻き込まないでください。私たちは殺し屋ではない。」と主張した。アフメド夫人は夫同様にクルディスタン愛国同盟(KYB)のメンバーであり、アメリカが1991年にイラクのクルド人たちをサダム・フセインへの暴動へと扇動したが後に見捨てたことや、シリアでシリア民主軍(SDG)との同盟を終了させたことを振り返った。
■バルザーニーから赤信号
イラクのクルディスタン民主党(KDP)のマスウード・バルザーニー党首は地域を通過するプロセスに注目し、「すべての意見の相違が平和的手法で解決されるように願う。私たちもイラク・クルディスタン地域政府(IKBY)があらゆる負の要素から距離を取り、防衛されるために全力を尽くす。」と述べた。バルザーニー党首のこの発言はイラクのクルド人たちが米国政府の申し出を歓迎していないと解釈された。
■「どちらにつくか選びなさい」の圧力
先日ワシントン・ポスト紙はアメリカのドナルド・トランプ大統領がクルディスタン愛国同盟(KYB)のバフェル・タラバーニー議長に電話し、イラン西部の一部を掌握するために「包括的な米軍の航空支援」を提案し、クルド人たちはこの戦争での立場を選ばなければならないと述べて「アメリカとイスラエル側か、イラン側か選びなさい」と話したことを報じていた。同紙に語ったクルディスタン愛国同盟(KYB)の幹部は「もしこの地上攻撃が成功しなければ、イランがイラク・クルディスタン地域政府に対してどういった報復行動にでるかわからない。同時に、特に直接電話してきた以上、トランプ大統領の要請も拒絶できない」と述べていた。アメリカのトランプ大統領はイランのクルド人グループを攻撃に加えるか否かとの質問に「彼らがやりたいと思うのなら、素晴らしいことだと思う」と返答していた。
■イラン政府から脅迫めいた警告
一方で先日イラン政府は国境のイラク側の武装勢力をドローンとミサイル攻撃の標的にし、6日にもイラク・クルディスタン地域政府へ向けて脅迫めいた声明を発表した。イラン国防評議会のメンバー、アリ・アクバル・アフマディアン氏は「クルディスタン地域にいる友人と同胞たちに知らせたいことは、これまで地域ではアメリカとイスラエル、分離主義グループの本部のみが標的とされてきたことだ。しかしこれらのグループがイラン国境に入れば、クルディスタン地域のあらゆる施設と組織を標的とする。」と述べた。件のグループはイラク・北イラククルディスタン地域・イラン三者間の安全保障合意の結果、2023年イラク・クルディスタン地域に撤退していた。
■すべてのクルド人グループが合意するか
イランでは約800万人のクルド人が生活していると推測され、その人口の大部分が国内西部のコルデスターン州に居住する。アメリカとイスラエルはこの地域でイランの軍事施設や国境前哨基地や警察署を空爆して激しく攻撃した。攻撃がこの地域で激化する背後で、武装グループがイラクからイランへ容易に移動しうるようになると評価されている。ABCニュースに語ったあるクルド人幹部はイラク・イラン間国境の近くに2万人の戦闘員が配備されており、この軍は数日以内にイランに侵入すると発言した。2月22日付でイラン・クルディスタン民主党(KDP-İ)、テロ組織PKKのイラン支部であるクルディスタン自由生活党(PJAK)、クルディスタン自由党 (PAK)、クルディスタン労働者会(コマラ党)、イラン・クルディスタン闘争組織 (Khebat)は対政権同盟を結成した。クルディスタン自由党 (PAK)、クルディスタン自由生活党(PJAK)とコマラ党はアメリカの支援とともに現地に向かうことに意欲を示している一方で、イラク北部のクルド人地域の指導者たちとバルザーニー家に属するイラン・クルディスタン民主党(KDP-İ)はイランと敵対することを望んでいない。
実際にアメリカの主要報道機関であるAP通信に語ったクルディスタン自由党 (PAK)の複数の幹部はイランに向けた攻撃を計画していないものの、アメリカ主導で地上作戦を開始する場合は参戦し得ると述べた。
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翻訳者:伊藤梓子
記事ID:61765