ヘイベリアダの神学校はいつ開校されるのか
2026年05月11日付 Medyescope 紙

1971年から現在まで閉鎖されているヘイベリアダの神学校の再開が話題になった。[イスタンブルの]フェネル地区に所在するギリシア正教会のヴァルトロメオス総主教は、ギリシアの首都アテネで行った会見で神学校は9月に「壮大な開校式」により再開される予定だと述べた。現在、人々の視線はヘイベリアダの神学校がどのような地位で開校されるのかに向けられている。
■ヴァルトロメオス総主教:神学校は9月に再開される予定だ。
フェネル所在のギリシア正教会のヴァルトロメオス総主教は、公式訪問を行ったアテネで、何年間もトルコ・ギリシアの両国関係及びマイノリティの権利の議論を象徴する話題の一つであるヘイベリアダの神学校に関して注意を引く会見を行った。ヒュリイェト紙が伝えた報道によると、ヴァルトロメオス総主教は、ヘイベリアダの神学校の全面改修作業が今後数カ月間で完了すると述べて、「私たちは9月には開校を祝福する予定である。」と述べた。
ヘイベリアダの神学校は、2025年9月26日、ホワイトハウスでの公正発展党党首兼大統領であるレジェプ・タイイプ・エルドアン大統領とドナルド・トランプ大統領の会談に足跡を残した。エルドアン大統領は、「ヘイベリアダの神学校に関して何が生じようとも開校に努めている」と述べた一方、トランプ大統領は「彼らは支援を必要としていた。私もこの問題を話題にするだろうと約束した。」と話した。
トルコ・アメリカの両国関係を追っている学者によると、トランプ大統領とエルドアン大統領の会談で神学校が話題になった理由は、[トルコ向けの]「敵対者に対する制裁措置法(CAATSA)」の撤廃、そしてF-35の[引き渡し]妨害を阻止するためにギリシアのロビー活動を止めることにある。
エルドアン・トランプ会談の10日ほど前にヴァルトロメオス総主教はトランプ大統領を訪問していた。
■ヘイベリアダの神学校はいつ作られた
ヘイベリアダの神学校は、1844年に総主教座により開校された。その当時の名は高等正教会神学校であり、目的は聖職者の養成であった。
さらにチャナッカレ県ギョクチェアダに生まれたギリシア正教会ヴァルトロメオス総主教も、この学校の卒業生である。
オスマン朝時代以降、多くのギリシア正教会の聖職者がこの組織で教育を受けた。学校は1894年にイスタンブル地震で破損したが短期間で修理された。
オスマン朝の崩壊とトルコ共和国の建国に際しても活動を続けていたこの学校は、イスタンブルにあるギリシア社会の最も重要な教育センターのうちの一つであった。
■なぜ閉鎖された
憲法裁判所が1971年に私立の高等教育機関を監督下に置くとの判決を下したことで、当学校の「高等神学」部が閉鎖された。この判決のもと同校の高等教育機関としての地位が無効となった。
1971年11月に行政裁判所に対してこの判決の無効を要請する裁判が開かれた。当訴訟は、総主教座は法人格をもたず、司法に訴え、開校を認める資格をもたないとの理由で退けられた。
トルコ経済社会研究財団によると、1971年の判決は、神学校だけでなくトルコのすべての私立の高等教育機関に影響した。しかし、マイノリティの権利の関連で神学校の閉鎖は象徴的なブレークポイントとなった。
総主教座は、学校が大学ではなく、国民教育省の監督下に入ることを要請している。さらに、学校が単にトルコ国民である学生のみならず、世界中の学生の受け入れを要していると述べている。
神学校は、現在、アヤ・トリアデ・テペ修道院財団の所有である。
◾️ローザンヌ条約との関係は何か
同校の扱いは、1922-1923年のローザンヌ和平交渉に際しても重要な論点であった。
1923年7月24日に調印されたローザンヌ条約にはマイノリティの権利と関わる条項もあった。トルコに暮らす非ムスリムはマイノリティとして認定された。[ギリシャ領内の]西トラキアのトルコ人コミュニティにもマイノリティの地位が授けられた。
ローザンヌ条約の「マイノリティの保護」と題した第三部の40条に「あらゆる援助、信仰または社会機関、あらゆる種類の学校、これに類する教育機関の設置・運営・監督、こうした場所で自らの言葉を自由に行使し、宗教儀礼を自由に執り行う点で平等な権利を持つことになる」と述べられている。
この条項に依拠して、総主教座とその支援者は同校の閉鎖をローザンヌ条約に反すると訴えている。
これに反対する立場では、総主教座が求める監督と地位が(外国籍の学生・教員の受け入れ、自治運営など)一般教育法や均等・監督の原則に従う必要があり、ローザンヌ条約の「平等」原則が特別扱いを認めていないと主張している。
◾️開校はどのように議題となったのか
アメリカの大統領たちは長年は同校の開校を繰り返し訴えてきた。[閉鎖]50年目に行われた発表は「信仰の自由」を訴えて注目を集めた。
EU諸機関及び欧州議会の報告書もトルコEU関係のなかで進捗状況を注視し続けている。2024-25年期に「(EU加盟交渉)再開の方向での措置」に関する報道はトルコ・ギリシャのメディアでしばしば取り上げられた。
同校が再開される可能性に関する報道は最初2024年に議題に上った。
教育省のユスフ・テキン大臣は2024年5月29日に同校を訪問し、この訪問に次いで「ヘイベリアダの神学校の開校を望む。大統領はこの問題について決定を下した際にいかなる方法を辿るのかを調査するよう私たちに求めた」と述べた。
元教育大臣にして公正発展党所属のヒュセイン・チェリッキ氏もまた同校開校の方向でのこの発言を支持し、「閉校は徹頭徹尾過ちである以上に、法的なスキャンダルである。これほど長い期間閉鎖されていたのは法治国家では決して受け入れがた状況である」と述べていた。
昨年、ヴァルトロメオス総主教は、ギリシャ・メディア向けのコメントの中でヘイベリアダの神学校の再開の問題では良好な様子であると述べていた。
同総主教は、この問題に関する指示がエルドアン大統領から届いていると述べ、「もう我が校の再開が間近にあるものと信じている」と語っていた。
(後略)
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翻訳者:新井慧
記事ID:62082