ロシア、トルコの未使用S400売却に青信号

2026年07月11日付 Cumhuriyet 紙

ロシアは、以前「最終使用者はトルコである」と強調したS400が第三国に売却されることを承認した。世論においては、「ロシアはどの譲歩を見返りにこの一歩を踏み出したのか」という問いが生じた。本紙は、いまだ使用されていないS400のこれまでの経緯をまとめ、コストや購入された理由を精査した。

ここ数日のメディアにおいて、F-35問題で進展を得るためにはS400を第三国に売却するという説が注目を集めている。最新情報は、ヒュッリイェト紙のコラム執筆者であるアブドゥルカディル・セルヴィ氏が、昨日(7月10日)、ロシアがこのやり方(第三国への売却)に同意し、システムがアラブ首長国連邦かカタールに売却されたと書いた、と報じている。

■クレムリン:我々は協議している

これを受けアンカラの舞台裏が動き出した一方、最初の公式発表はクレムリンから出された。ロシアのドミトリーペスコフ報道官は、「ロシアとトルコは、アンカラが保有するS400が再度売却される可能性について協議を行った。このシステムの売却の可能性は非常にセンシティブな問題である。トルコとはこの件について、引き続き協議していく。」と語った。このように売却する可能性を排除しなかった。トルコのハカン・フィダン外相は、昨夕TRTのニュース番組に出演したが、この話題については振られなかった。

■何を対価としているか?

ロシアはこれまで、S400の合意において「最終使用者はトルコである」という条項があることを指摘し、繰り返し強調してきた。例えば、ロシアのセルゲイ・ラブロフ外相は2024年末に、「トルコにあるS400をインドかパキスタンに売却することが提案された。これをロシアはどう見るか。」と質問された。ラブロフ外相は、これに対し「S400はミサイル防衛システムである。既にトルコに供給されている。我々の全ての武器輸出契約において、最終用途証明に関する条項がある。供給された装備に対して何らかの処分を行う場合は、最初に売却した側の承認が必要だ。」と回答した。ラブロフ外相は昨年末にも、このシステムに関して今後踏むべきステップにおいて、トルコはロシアに対して果たすべき責任があると述べていた。世論では、これまで第三国への売却に前向きではなかったロシアがどのような「譲歩」と引き換えにこの一歩を踏み出したのかという問いが注目を集めている。

■なぜ購入されたのか?

トルコは、S400防空システムに25億ドルを支払うことで、2017年にロシアと合意した。システムの最初の部品は、2019年7月12日にアンカラに到着した。NATO加盟国であるトルコは、この調達の理由として「アメリカがパトリオットシステムを売らなかったから」と説明してきた。
2010年から2014年までワシントンのトルコ大使であったCHP(共和人民党)のナムク・タン氏は、「私は、パトリオットシステムを調達する過程で大使だった。我々の第一の条件は、共同生産と技術移転、そして適切な価格であった。アメリカ側がパトリオットのために提示した最終提案は、非常に魅力的なものだった。技術移転は限定的であるとはっきり伝えてきたが、他の2つの条件については、対応すべく真剣な提案をしてきた。」と語った。タン氏は、S400の購入が、2015年にトルコが撃墜したロシア機の代償だったと主張する一方、アンカラがアメリカに求めた共同生産と技術移転は、S400の購入に際しても実現しなかった。2014年から2016年までモスクワで大使を務めたウミット・ヤルドゥム氏も同様に、S400の購入においては既存の問題を調整するよう望んだことが影響していると述べ、「加えて、トルコには他の選択肢もあるとアメリカにメッセージを送りたかった。」と語った。
ある引退した外交官たちは、この購入には2016年7月15日のクーデター未遂が影響していると主張し、西側が支援する可能性のあるクーデターから「大統領宮殿を守るため」システムが導入されたと述べた。

■使用されていない

それでは、このシステムは稼働しているのだろうか?今年3月にイランからトルコに飛来したミサイルをNATOの防空システムが迎撃したことについて世論では、「S400はなぜ使われないのか」という問いが生じた。トルコ国防省は、3月12日にこの問いに対して「我が国の防空およびミサイル防衛活動は、脅威の評価と作戦上の必要性に基づき、多層的に運用されている。この枠組みにおいて、最も適した防衛手段は、交戦規則と現在の作戦状況に注意を払いながら選択される。トルコは、NATOの統合的な防空ミサイル防衛システムの一部である。このシステムは、早期警戒センサーと指揮統制システム、ミサイル迎撃システムから構成されている。弾道ミサイルの軌道を確定する際に、対応できる時間が極めて短いため、システムが最適かつ最速に迎撃する手段を自動的に選択し、発射する。」と回答した。

ヤシャル・ギュレル国防相は同時期に、「我々はS400を導入して以降、NATOのシステムと統合せず、単独で運用するコンセプトをアメリカ側に通知してきた。我々は、この考えが依然として、最も理に適った解決法だと認識している。」と説明した。これらの2つの説明は、S400がNATOの防空システムに統合されておらず、単独でも稼働しないことを明らかにした。

■費用はどうなったか?

S400についてロシアと交わした契約の合計額は25億ドルだが、このシステムの最初のロットだけがトルコに引き渡された。外交アナリストで元商務参事官のアイドゥン・セゼル氏は、このシステムのためにトルコでは12.5億ドルの費用を要したと述べた。S400のトルコにおける間接的な損失はそれ以上に重かった。トルコは共同製作者であり、重要な部品を生産するF-35プロジェクトから外された。これは、トルコの空における戦闘能力に空白をもたらし、且つ、トルコの防衛産業の企業の収入を断ってしまった。トルコが14億ドルを支払った6機のF-35は、アメリカで何年も倉庫にしまわれたままである。さらにCAATSA制裁がトルコに適用された。引退したウミット・ヤルドゥム元大使によると、合計費用は数十億ドルになるという。CHP(共和人民党)でオズギュル・オゼル氏が主導する中央運営委員(MYK)にも所属している退役海軍少将のヤンク・バージュオール氏は、「国防の分野で状況を判断することなく、予測することなく、結果を計算することなく、政治的影響で下された決定の代償は重い。失われた年月、費やされた国家の財源、遅延した国家プロジェクト、そして損なわれた政府の信用の責任は負われるべきで、その説明はトルコ国民になされるべきである。」と述べた。

■なぜ今注目を集めているのか?

S400の問題はアンカラで開催されたNATOサミットで再登場した。アメリカのドナルド・トランプ大統領は、サミット初日にF-35について「トルコに売らない理由なんてない」と語り、2日目には「まだ決めていない」と語った。アメリカのCAATSAとNDAAの規定が、トルコへのF-35の供給の妨げとなっている。CAATSA解除について、トランプ大統領の方に主導権があったとしても、NDAAにおいては「トルコがF-35を取得するためにはS400を所有していない旨の通知とこれに関する証拠が必要」である。トランプ大統領のF-35に関する前向きな発言の後、NDAAの「解釈による迂回」の主張が注目を集めた。しかし売却が実現すれば、この「解釈」は必要なくなる。


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翻訳者:丸山 礼
記事ID:62440