シリア:ドゥルーズ派精神的指導者「独立が最終目標」

2026年07月13日付 al-Quds al-Arabi 紙

■ヒジュリー師:我々は独立国家を望んでいる 我々を支えてくれたイスラエルの恩は忘れない

【ダマスカス:本紙】

シリアのドゥルーズ派精神的指導者ヒクマト・ヒジュリー師は、スワイダー県で進めている計画は最終的に独立国家の樹立を目指すものだと表明した。また、地域の将来をめぐるシリア政府とのいかなる交渉にも強硬な姿勢を示す一方、昨年7月に同県で発生した流血事件の際にスワイダーを支えた人々、特にイスラエルの恩は忘れないと強調した。

スワイダーは、同県で発生した衝突から1年を迎え、あらゆる陣営で計1760人の犠牲者を出した一連の衝突を追悼した。

「国家警備隊」の指揮下にある武装組織の支持者を迎えた式典で、支持者から「指導者」と呼ばれるようになったヒジュリー師は、現在のシリア政府とは共に歩むことはできないとの考えを、政府の名を直接挙げることなく示した。一方で、自由で開かれた人道的な世界とは協力する用意があると表明し、「我々は過激派ではなく、誰の宗教にも干渉しない。国際的な原則に基づく人道的な関係を重視している」と述べた。

さらに、「私たちが『暗黒の7月』に経験したジェノサイドは、誰が敵で誰が味方なのかを明らかにした。この戦争では、『ドゥルーズ派のホロコースト』とも言うべき出来事によって、数千人の殉教者を失った。我々の支えとなったのは、世界中のドゥルーズ派が我々を支えてくれたことだった」と述べた。

続けて、「私たちは公共の利益に奉仕することに献身しており、今後もそうあり続ける。ただし、それは人道的で文明的かつ開かれた価値観を共有する人々との間に限られる。我々はバシャン(スワイダー)における独自性を守り、そこで安定した生活を築き、世界に一つのモデルを示すことを目指している。それは国家という形かもしれないし、自治地域かもしれない。他国の保護下におかれる形かもしれないし、他国との統合という形かもしれない。その形については世界に委ねるが、我々が望むのは独立だ」と述べ、「我々はが進んでいる道の先には必ず到達する。できるだけ早くそれを実現したいと願っている」ことを確認した。

また、「これまで我々が経験してきたすべてを踏まえると、我々の最終目標は独立だ。しかし、我々は国際的な枠組みの下で行動している」と述べた。また、「我々とともに立ってくれた人々、特にイスラエルの恩は決して忘れない」ことを確認し、「我々は我々を尊重する者を尊重し、その者との信頼関係の上に関係を築き、誠実に向き合う」と述べた。

バシャンとその住民のために尽くしたスワイダーの若者たちの犠牲を称賛したうえで、「そのなかには、今日この痛ましい記憶をともに分かち合うキリスト教徒の兄弟たちもいる」と述べた。また、スワイダーは「これからも自らの立場を堅持し、尊厳を守り、自らの手で武器を保持し、いつでも応戦できる態勢を維持する」と確認したうえで、「我々から先に発砲することも、攻撃を仕掛けることもない。しかし、攻撃を受ければ、スワイダーのために命を捧げる」と述べた。

さらに、現在シリア政府の支配下にあるスワイダー県内のドゥルーズ派の村々は、いずれ住民もとに戻るだろうと述べ、「我々が村々を失ったのは、住民が村を去ったからではなく、裏切りに遭ったからだ」と語った。

ヒジュリー師は続けて、「スワイダーは現在、各種機関の整備を進める段階にあり、その中でも何よりも重要なのは軍事機関だ」と述べた。また、「組織の理念と法的規律を遵守し、いかなる誤りも根絶しなければならない。過ちを犯した者を容認することはない。過去にはそうした過ちのために、我々は血という、あるいはそれ以上の代償を払ってきた」と訴えた。

ヒジュリー師は、治安機関であれ行政・公共サービス機関であれ、組織の規律と法令を遵守する必要があると訴え、「我々は今、以前のような場当たり的なやり方ではなく、正しい軌道に沿って、より組織だった段階へと進んでいる」と述べた。また、「現在この国を左右している国際情勢や力学に人々が惑わされてはならない。各国は自国の利益を理解しており、スワイダーの利益もまた、それらの国や人々の利益と結びついている」と語った。

ヒジュリー師は、シリア国家の枠内におけるスワイダーの将来をめぐる交渉について強硬な姿勢を示し、「我々を受け入れない者と話し合う必要はない。我々の考えは公然としており、文明、知識、人間性、教養、倫理を備えた偉大な国家を築くに値する」と述べた。

〈関係者らの裁判〉

7日、スワイダー事件への関与が疑われる23人の被告の裁判が軍事裁判所で始まった。これは「スワイダー事件調査国家委員会」がまとめた調査結果に基づくものである。同委員会は昨年3月に発表した報告書で、一連の事件により全ての当事者を合わせて約1760人が死亡したほか、スワイダーの部族関係者60人と国防省関係者30人が行方不明となったと発表した。一方で、調査中の情報不足やスワイダー市への立ち入りが困難だったことから、行方不明者数の最終的な確定には至っていないとしている。

今月初め、スワイダー事件調査委員会のハーテム・アンナアサーン委員長は、ダマスカスの軍事重罪裁判所が、2025年7月の事件で違法行為に及んだ疑いのある被告らの事件について公開審理を開始したと発表した。また、責任追及は例外なく、事件に関与したすべての者を対象とすると確認した。

同氏は、軍検察が法務大臣の決定に基づいて設置された調査委員会の調査結果を踏まえ、複数の被告と事件を司法当局に送致したことを明らかにした。また、裁判は7月1日に開始され、被告とその代理人が出席し、公正な裁判の保障の下で進められていると述べた。

〈ベドウィンとドゥルーズ派の対立〉

「スワイダー事件調査国家委員会」の報告書によると、全ての当事者を合わせた死者数は1760人に達し、負傷者は2188人に上った。また、スワイダーにおけるベドウィンとドゥルーズ派の対立は長年にわたるものであり、アサド政権の政策がその対立を助長したと指摘した。その中には、「ダーイッシュ」(「イスラーム国」)の戦闘員が同地域へ入り込むことを容易にし、彼らがドゥルーズ派住民に対して侵害行為を行うのを許したことも含まれるとしている。

報告書はさらに、2025年7月11日から20日にかけて、ベドウィンとドゥルーズ派の間で暴力が激化し、財産の没収や相互の誘拐、各勢力による侵害行為が発生したと指摘した。また、治安回復を目的とした政府の介入は武装勢力による衝突と待ち伏せ攻撃に直面した。これと時を同じくして、イスラエルは政府軍とダマスカスの参謀本部を標的に空爆を実施し、その結果、混乱はいっそう深まり、報復行為が激化した。

委員会は、スワイダー事件では重大な人権侵害が行われたと結論づけた。それには故意の殺人、武装強盗、財産の破壊・放火、拷問、宗派間対立の煽動などが含まれ、いずれも関連するシリア法に違反するものだとした。また委員会は、国防省および内務省の関係者に加え、ドゥルーズ派武装組織の構成員や民間人、さらにベドウィンを含む部族関係者者など、重大な人権侵害への関与を疑う合理的な理由がある人物を含む容疑者リストを作成したことを明らかにした。

〈破壊的な暴力の波〉

報告書によると、7月の事件は宗派間の緊張を背景に発生し、「3つの破滅的な暴力の波へと発展した。そのうち2つはドゥルーズ派の民間人を標的とし、3つ目はベドウィンの民間人を標的とした」という。また、第一波で確認された人権侵害には、「殺人、拷問、恣意的拘束、略奪が含まれたほか、ドゥルーズ派と確認された男性は女性や子どもと引き離されたうえで処刑され、別の者は路上で銃撃されるか、家族とともに自宅内で殺害された」と記されている。

報告書は、第2の波は「7月17日に始まった。政府軍の撤退と、イスラエルがスワイダー県およびダマスカス県に対して実施した空爆(大統領宮殿周辺とウマイヤ広場の参謀本部を標的とした)を受け、ドゥルーズ派の武装集団がベドウィンの民間人を攻撃し、殺害、拷問、恣意的拘束、強制移住、略奪などの重大な人権侵害を行った。その結果、これらの武装集団が支配する地域から、ベドウィン社会の大半が事実上避難を余儀なくされた」と指摘した。

第3の波について、委員会は「7月17日後半から19日にかけて、部族系の戦闘員らによって実行され、報復としてドゥルーズ派の民間人が標的となった。また、ドゥルーズ派住民が多数を占める村や、ドゥルーズ派とベドウィンが混住する約35の村で放火や略奪が行われ、複数の民間人が殺害または拉致された」と指摘した。

報告書は、「この紛争により約20万人が自宅を追われ、その大半はドゥルーズ派の村の住民だった。また、現在も約15万5000人の避難民が帰還できない状況にある一方、ベドウィン社会の住民はほぼ全員が避難を余儀なくされ、その多くが数か月にわたり仮設の劣悪な避難施設で生活している」と指摘した。


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翻訳者:鈴木美織
記事ID:62492