モロッコ:セウタへの集団越境は深刻化する国内の社会危機の表れ

2026年08月05日付 al-Quds al-Arabi 紙

■モロッコの労働組合「セウタへの集団越境は深刻化する社会危機の表れ」

【ラバト:本紙】

モロッコでは、占領下にある都市セウタへの、非正規の集団越境の試みに関連する最近の出来事と、それにともなう数々の悲劇的な事件に対する反応が相次いでいる。そのなかで、「モロッコ国民労働連合」(公正開発党の労働組合部門)は、この危機について、「その根底には、不健全な社会的状況や、公共政策における構造的欠陥の指標のほか、(その政策が)部門間の公正の実現や、全国民に対する尊厳と人間らしい生活の保障に失敗していることを反映している。そしてそれは、社会的不満が深刻化し、特に若者の間で社会的挫折と脆弱性・失業のスパイラルが拡大していることを露骨に表している」と指摘した。

同連合は、本紙がそのコピーを入手した声明の中で、「国民の生活を危険に晒すいかなる行為」を非難すると確認したうえで、その基本的な責任の所在は複数の経済的、社会的、政治的要因にまたがるとみなした。そして危機の主な責任は政府にあり、政府は国民の要望に応える効果的な政策の結実に成功せず、その場しのぎで効果が限定的な措置に終始したために、特に脆弱性に苦しむ地域において社会的、地域的格差を深刻化させたと説明した。

また同連合は、政府が周縁化、体系的弱体化の政策をとり、社会対話をその本来の意義に対して形骸化させることで、労働組合や市民社会を筆頭とする社会的仲介機関の役割が低下し、その結果、それらの機関への信頼が喪失し、幅広い層が自らの苦しみを表明するために危険な代替手段を模索するようになったと述べた。

これに関連して、「モロッコ労働組合」に属する青年組織は、今回起きた出来事は、あらゆる単純化したアプローチや、若者自身が生み出したわけではない現実の責任を彼らに負わせようとする試みを排して、真実を全て語ることが求められるとの見解を述べた。また同組織は本紙が入手した声明のなかで、集団越境は危機の根源ではなく、そのもっとも痛ましい現れのひとつであり、それは社会的、経済的な蓄積と、若者を発展の中心に据えることに成功しなかった公共政策によって生み出された、信頼の危機と将来的見通しの危機の表れであると指摘した。

さらに同組織は、数万人の若者がセウタへ流出した悲劇は、教育課程、職業訓練、そして雇用市場から取り残された15歳から29歳までの約300万人の若者が存在するとの状況によって形成された「社会の時限爆弾」に対して、歴代の政府が真剣に取り組むことに失敗してきたことを明白に表すものだと明らかにした。

加えて声明は、治安の面からのアプローチは社会的・政治的解決の代替物とはなり得ないと付言しつつ、若者の要求に対して禁止措置や抑圧、拘束によって対応しても信頼喪失をさらに深めるだけだと強調した。そのうえで、現段階で求められることは、若者や活力ある勢力、労働組合組織との真剣かつ責任ある対話を開始し、社会的仲介組織に自由な活動の余地を広げることであると述べた。


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翻訳者:庄司陽
記事ID:62634