1975年以前のサイゴンの街頭でのアオザイの記憶
2015年04月10日付 VietnamPlus 紙
1975年以前のサイゴンの街頭でのしなやかなアオザイの記憶は、当時の若者世代の心の中で色あせることないイメージであろう。古典的なアオザイの刻印は依然として今日の革新的なアオザイの中にも見え隠れしている。
1945~75年の時期のサイゴン女性にとって、アオザイは洋服箪笥に欠かすことのできない衣装であった。アオザイで着飾った女性は、いつでも、どこでも、そして特にだれもがアオザイを通して微妙に、巧みにそれぞれの個性やスタイルを表現することができた。アオザイを着ることは次第に麗しき文化となり、70年代以前の都会の人々の映像の色あせない印象や感覚を残した。
しなやかで簡素なアオザイは、歴史を通してベトナム女性のイメージを作り上げてきた。幾つもの時代を経る中で、アオザイの最盛期は、ほっそり締まったラインのアオザイを着た人々がサイゴンの街頭を「席巻した」1960~70年である。
アオザイは伝統色の濃い衣装であるが、抗いがたい感覚を呼び起こす。それは秘められていてエレガントだが、最も完璧に体の曲線を美しく見せる。
1975年以後、国が解放され生活が改まると、街頭でのアオザイ姿はなりをひそめた。独占的な位置を占め続けることはなかったが、アオザイはとりわけ結婚式や表彰式などの重要な機会で一定の存在感をもっていた。
アオザイは女性たちの生活の中で昔より多くのかたちや絵柄を以て徐々に戻りつつある。次第に高くなっていた襟は、船型襟、低い襟あるいは単純な丸い襟によって取って代られている。昔の色付き無地あるいは淡い色のアオザイも、龍や鳳凰、花卉、あるいは幾何学模様を手縫いした絵柄で装飾されるようになった。また、デザイン方法も、袖をより短くしたり、着る人を若くみせるため裾を高く裁断するといった変化もみられる。
近年、革新的なアオザイを着ることはサイゴン女性にとって馴染みのないことではない。革新的アオザイのトレンドは、薄い材質でぴったりとしたアオザイを着るというよりは、軽い材質による古典的・繊細的な方向に傾いている。
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( 翻訳者:菅原寛之 )
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