新カリキュラムにおける教科「歴史」についての新たな予測
2015年12月09日付 VietnamPlus 紙
中学校と高校レベルで教科「社会科学」を廃止し、高校で教科「公民と祖国」を廃止する。教科「歴史」は小学校だけ抱き合わせにし、中学校以上では独立した教科とする。
以上は、先ごろ党中央宣教委員会が主宰した懇談会で教育・訓練省とベトナム歴史科学協会が合意した点である。
VietnamPlusの記者はこの問題について、ベトナム歴史科学協会会長のファン・フイ・レー教授にお話しを伺った。
独立した教科「歴史」を学び、中学校から必修に?
記者:教授、懇談会の結果について教えていただけませんか。
レー教授:懇談会の全体的雰囲気は双方とも合意をさぐろうと積極的だったことです。問題は山積していますが、主要な2つの問題に絞らせていただきます。それは教科「歴史」の位置づけ・役割と教科「歴史」を独立した必修科目にすることです。
教科「歴史」の位置づけ・役割について、すべての意見はこの教科が特に重要な位置づけと役割をもっていることで一致しています。新しい教育カリキュラムの中で教科「歴史」がどうあるべきかについて、教科「歴史」は国史であるのでクオックグー(訳注:ベトナム語のローマ字表記)や国文のように重視されなければならず、それゆえ教科「算数」や教科「語文」と同様に独立・必修の位置づけをしなければならない、と私たちは提案いたしました。
国会の決議でも教科「歴史」を中等教育で維持することを求めています。
教科「歴史」を必修科目にしなければならないことで一致しているものの、この点について、教育・訓練省は明言していません。
しかしながら、幾つかの点で双方は合意に達しました。
小学校において、教科「歴史」は新総合カリキュラム草案のままで、教科「生活」に組み入れられる。
高校は教科「社会科学」を廃止し、2つの独立した教科「歴史」と「地理」に戻る。勿論、たとえば南シナ海問題のように「歴史」と「地理」の間で重なり合う内容を盛り込みます。そのためグエン・ヴィン・ヒエン教育・訓練省次官は、2つの教科にまたがる部分を何と呼ぶべきか懸念しています。出席者からは2つの案が出されました。教科書は1冊で、その中に「歴史」と「地理」と関連テーマの3つの部分を入れるという案と、3冊の教科書にするという案です。後者の場合、「歴史」と「地理」以外の部分の名称をどうするか決まっていません。これは教育・訓練省がこれから検討しなければならない問題です。
高校レベルに対して、問題はより複雑です。草案では、教科「歴史」は教科「公民教育」と教科「国防教育」と一緒に教科「公民と祖国」になるとされていました。しかしながら懇談会では、教育・訓練省の新カリキュラムの策定・起草者の一人であるドー・ゴック・トン氏自身が自ら、この教科の廃止を提案しました。
出席者は「公民と祖国」を廃止し、各教科を独立した位置に戻すことで一致しました。それによれば、高校では独立した教科「歴史」を復活し、当初の草案にあった教科「社会科学」はなくし、教科「地理」は選択科目に変更されます。
グエン・ヴィン・ヒエン次官は、「歴史」が独立した教科になると、社会科学系の生徒たちにとって、「歴史」がどのように教えられるのか不安だとしました。「私はその点については議論をする気がない。高校はどのように進路別で分けても、歴史は必修させる」とヒエン次官は述べています。
ヒエン次官は、自然科学系の生徒向けの「歴史1」と社会科学系の生徒向けの「歴史2」に分ける案を出しました。
教科「歴史」の改革を実現しなければならない
記者:歴史科学協会の「闘争」は成果を収めたように見えます。しかしながら今のように「歴史」が独立した位置をもったとしても、じり貧ではないでしょうか、教授?
レー教授:これは第一歩にすぎません。まだ問題が山積しています。私たちは教科「歴史」がしかるべき位置づけをされるように、精査し、運動し、さらには「闘争」します。
勿論、この教科の地位を取り戻す要求をしていながら、この教科の現在の問題点を克服しなければ、意味がありません。現在の教科「歴史」は役立たずなほど堕落しており、子どもたちにその奴隷となることを強いています。どの課もちょっと出来事を挙げ、原因を分析する....その繰り返し。子供たちは当然嫌になります。
教科「歴史」を立ち上がらせ、生徒が「歴史」を嫌うのではなく好きになるように、全面的・体系的に改革しなければなりません。肝心なことは、教科「歴史」を科学的な教科だと見なし、教育水準を確定し、その精神に沿って教科書を書かなければならないことです。しかしながらこれは今後具体的に話し合われる問題です。
記者:懇談会について、ひいては広く教科「歴史」に関連する問題について、教育・訓練省に何か提案はございますか?
レー教授:私は教育・訓練省に、今のような効果的でないやり方を変えて、少人数の専門家による改革委員会に縮小するよう提案いたします。同省が研究班をもち、研究成果を公表し、専門家の審査を受ける。審査した専門家がその結果を同省に提出するという風にすれば、はじめて効果的になります。私は教育・訓練省が変わることを期待しています。
記者:教授、どうもありがとうございました。
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( 翻訳者:今井昭夫 )
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