(Business) ミャンマー経済に対する民間の声 (Weekly Vol12 No50 1月9-15日 14,15)
2017年01月07日付 The Voice 紙
文民政権へと交代した2016年は経営者らにとってドキドキするものだった。
企業経営者らはこれまでの代々の政権の制限や抑圧という枠の中で経済活動に取り組まねばならず、政府内閣高官らと非常に密接な関係を築いていかねばならなかった。
そうしてこそ経済活動の道は平坦になり、行きは穏やか、帰りはまっすぐである。
そのようにできない、高官らに近寄れない商売人たちを躓かせている。
現在、国民のための政府とされている現政権下では、経済的チャンスがより多くなると経営者たちは期待をしている。
しかし、現政権になって9か月から10か月に達したが、ミャンマー経済をいまだに押し上げられないほか、前年ほどにも状況があまりよくない。
経済において主要となる金融分野でも状況悪化が増えている。
ミャンマーチャットの価値が著しく下がったのと同時にさまざまな物価が上がった。
以前の軍事政権下では、そのような状態になれば米ドルを持つ者らが勝手に動かないよう管理する、あるいは大手の事業主を呼んで取り調べるなど、特効薬で治療をしていた。
そのような類の行為は今のような民主主義政府、市場経済制度の中ではふさわしくない。
それならば、ミャンマー経済の不安定さをどのようにして解決するのか。
中央銀行は指令を出し努力を試みている。国外で銀行口座を開いている者らに対して中央銀行へ通知させる、国内の銀行の外貨口座に未入金の、輸出による獲得外貨リスト提出を求める、国内経営者が外国へ投資した情報を求めるといったことを行っている。
というのは、ミャンマーと関連している外国通貨の量についてどれほどの出入りがあるのかという情報を集めているのだ、と中央銀行と緊密に連携をとっている国際組織の経済専門家が述べた。しかし、多くは変化していない。
そのとき、民間分野から正式な発表があった。
ミャンマーの民間分野において最も大きな組織といえるミャンマー連邦共和国商工会議所(UMFCCI)が、ミャンマー経済と金融市場安定のために政府に提言をすると2016年12月27日プレスリリースが出された。そうした提言はUMFCCI史上初めてであった。
昨年の最終四半期(10月から12月)に、ミャンマーチャットの価値は17%落ちて、為替レートは上がったので、経済分野での負の影響が出てきたため、政府への提言を出す予定とのことだった。
金融市場、外貨であるドルをより多く獲得すること、チャットの需要を向上させること、貿易に関する提言とミャンマー経済分野で長期間にわたり行わねばならない事業の提言というように、5つの提言に分けて報告書を出す予定だとUMFCCI会頭ウー・ゾーミンウィンが述べた。
「このような提言を今後も継続して行おうと思っている。国の経済が発展するよう、民間分野からも共に解決策を探して、協力していくということだ」と同氏は述べた。
また、その提言報告書を今月政府に提出すると述べた。
以前ウー・テインセイン政権が言っていたパブリックプライベートパートナーシップ(PPP)を実施し始めた。
今回提出する報告書の主な部分は、金融市場の安定である。
非合法の金融市場を一掃し、銀行と経営者との間で外貨を直接売買させるようUMFCCIが勧めていた。
しかし、実際には、米ドルの需要を補うことができるよう、その非合法の金融市場を商売人らはあてにせざるを得ない状況が続いている。
中央銀行が国内事業の米ドルの需要を補う能力が乏しいことと、国営銀行にある米ドルが市場に出てこないためである。
「市場をコントロールするには、米ドルの需要を中央銀行が補完できて初めて可能になるのだ。国営銀行も商売人らが預けてある米ドルを必要なときに必要なだけ引き出すことができない。こうした規定がまだ残っている。これらを事前に学んで試さなければならない」とカンボーザ銀行の上級アドバイザーウー・タンルインは述べた。
ゆえに、外国銀行口座から1日につき5000米ドル、週に2回だけ引き出しができるという規定を廃止するようにUMFCCIは助言勧告している。
「制限をしているので必要な時に引き出せない。市場で追加して買うので米ドル需要が高まり、価格も再び上がってしまう。時々、自分自身で輸出をして、そこで得たお金でそのまま輸入しなければならないことももちろんある」とウー・ゾーミンウィンは述べた。
国内の米ドル需要を十分に満たすようにできない限り、非合法の金融市場を一掃するというのは絵に描いた餅でしかない。
米ドル需要をより高めているもう1つのことは、国内の支払いでミャンマーチャットの代わりに米ドルを使用していることだ。
UMFCCIはチャットの需要を高めるため、ホテルおよび飲食業、航空業、コンサルタントの給与支給においてチャットだけを使用することを推奨していた。
国内の支払いにおいてチャット1種類だけを使用するという指示を、以前の政権下でも中央銀行が出していた。
しかし、どの程度遵守されているか、不履行があるか、ということを実態調査したかどうか、はっきりしていない。
当時から有名な飲食業の一部は支払いを米ドルで受け取っていた。チャットで受け取ると、為替レートが安定しないために価格の変動が大きく、消費者のクレームが多くなることを避けたいためであった。
その他、世界各地の学校と提携して事業を行なっていた私立学校でも学費や試験費用などを米ドルで支払わねばならないことがあった。
「3ヶ月ほど前にグエサウンでホテルへ泊まると米ドルでの支払いを受け付けていた。チャットを本当に強くしたいのなら、こうしたことは認めるべきではない。外国人もここに来たらこの国の通貨を使わなければならない。今は以前よりも両替は容易だ」と、開発学で学位をとったある経営者が言った。
長期間にわたり行わねばならない事業への提言において、外貨をより多く流入させるため、外国銀行に国内での事業を認可するようUMFCCIは勧めた。
現在、13の外国銀行に国内での事業を認めているが、外国企業とだけ接触し業務を行う権利がある。国内企業と直接接触することは未だできない。
外国銀行から直接借り入れができるよう、国内の事業主らは何度も要請しているが、現在まで状況は変わらない。
ミャンマーの金融市場で米ドルの需要を本当に補完しているのは非合法の金融市場だけであり、国内の民間銀行は米ドル取り扱い割合がわずかしかないとウー・タンルインは述べた。
国内銀行に今よりも多くの米ドルを流入させるようにできる点がまだひとつあると同氏は述べる。
「経営者らの外貨預入に対して利子を支払うことができれば、銀行に外貨が入ってくるだろう。今は利子を支払ってはいけないというので、誰も国内銀行に預けない。外国銀行にいって預けている。そこでは利子がもらえるからね」と同氏は続けて述べた。
外国銀行口座からの引き出しを制限する一方で、その外貨預金に利子は支払われないという不明瞭な方針である。
そのため国内の経営者らの海外の外国銀行口座がたくさんあり、米ドル流通量が乏しいミャンマー国内から米ドルが国外へ流出しているのではないかと疑問がでてきた。
以前は(政府方針と)反対である基本方針や多くの指示を政府に提示しようという民間組織は少なかった。
ゆえに政府の基本方針が本来の状況と食い違って、傷に対する薬が合っていない状態なのだ。
現政府の基本方針を定める事業計画で、本来の状況を反映できるような方策を取り入れるように民間分野は努力するようになっている。
「現状を政府に示して初めて官民が力を合わせて解決策をさがして行うことができる。政府としてできること、可能性があることを提言しなければならない」とウー・ゾーミンウィンは述べた。
しかし、民間分野の提言、方策において、水牛が川を渡ると水も一緒にくっついてくるという諺のように、副産物に期待することは私利私欲である。
以前の政権下でも民間分野と力を合わせて行うといって、関連の経営者らだけと議論して対処したので、現状とずれた自分の利益を求めることがあった、と貿易業経営者の1人は言った。
「民間分野からこのようにアドバイスをするのは良いことだ。現状に偏見を持つことなく、また一方だけの利益にならないようにすることが必要だ」と同氏は述べた。
( 翻訳者:萩原 和宏 )
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