(Extra)専門家らの論じる2017年 NLD幹部ウー・ウィンティンの2017年論評 (2017年1月11日 21)
2017年01月11日付 The Voice 紙
2017年というこの一年で、ミャンマーの政治、経済、教育など各分野にどのような変化が起こりそうなのか、読者のみなさんが事前に予想できるよう、各分野に詳しい人物や学者にインタビューを行った。一日につき一分野を取り扱って行く。
「目的は土地、戸建、共同住宅に関するマネーゲームをコントロールすることです。特別委員会が先頭に立って草案を書いています。次の国会の会期中に成立させられる見通しです。」
ウー・ウィンテインへのインタビュー
アウンテッ
ミャンマーの経済、立法、行政の各分野で 2017年はどうなるのか、NLD[国民民主連盟]最高幹部の一人で事務局執行委員会メンバーのウー・ウィンテイン(法務関係と特別調査委員会メンバー)に対して行ったインタビューを掲載する。
Voice: 2017年はNLD政府の政策がより具現化する年になるでしょうか。
ウー・ウィンテイン(以下UWH):まずは経済でしょう。特にミャンマーの行政、司法、立法の三分野は、好むと好まざるとにかかわらず、また実現できる、できないにかかわらず、行政と立法の歯車が連動しているんです。以前一部の人が言っていたような、「二か月持つだろうか」「半年でつぶれるんじゃないか」といった声は聞かれなくなったでしょう。ドー・アウンサンスーチーも認めています。何かあるたびにいつも管区域や州の首席大臣[首相]に常に要請しています。連邦で割り振られた予算に関してどう要請しているかといてば、国民は胸を期待に膨らませて私たちに投票してくれたのに、生活の向上や雇用の創出を、彼らが実感できるようにはまだなっていない。それなら、首席大臣たちがそれぞれ自分の管区域や州の予算をもとに教育や保健を発展させるとか、行政も効果的にやるとかしなければならないでしょう、と。例えば、県どうしを連絡する道路や、都市と村落をつなぐ道路をもっと造らなくてはなりません。そして電力をきちんと供給しなければなりません。私が知っている情報では、割り振られた10億チャットを効果的に活用できたため、以前とは違った結果が得られたと聞いています。予想以上の成果が得られたそうです。10マイルと定めておいたものを12マイルさらに増設できる。電力についても、村落の発展に貢献することができるようになってきています。なぜかというと、政府が割り当てた予算をフルに活用できたからです。以前のように予算の一部が執行されないといった事態はなくなったという意味です。ですが、これで満足してはなりません。都市や地域自らも頑張って実行に移さなければなりません。国内経済事業の他に国外輸出にも力を割くように要請しています。ですが、経済事業は半年や一年ではっきりと発展を実感できるものではないですよ。最低一年くらい見ないと変化の兆候は見えて来ません。このこともドー・アウンサンスーチーにはすでに報告してあります。現在見えている経済発展の兆しは、米国の制裁解除です。これで直接輸出事業や送金を行うことができるようになります。たとえば、以前は輸出(製造業)を米国に送ることができませんでした。ヨーロッパに送ることもできませんでした。やりたければシンガポールなりバンコクなりを経由し、名前を変えて輸出しなければなりませんでした。それが一つ。もう一つは米国側から送金したとしても直接送ることはできなかったので、間に仲介者を置く必要があり、手数料が二重にかかっていました。今は送るのも受け取るのも直接できるので、長期的な直接の利益になるでしょう。ドー・アウンサンスーチーが日本を訪れた時の、平和と発展のための基金は様々なところで活用されました。特に経済関連の事業に活用されているため経済発展を後押しする要素となるでしょう。そして2017年はミャンマーを貧困から脱出させるための最初の年となるでしょう。
Voice:立法の方はどのようなことが具体的に実現しますか?
UWH:私も特別委員会のメンバーなんですが、全国民にかかわる法律が全体で400余りあります。一部は役に立たないものとなっています。時代遅れです。削除しなくてはならないものや、廃止しなくてはならないものも出てくるでしょう。これに関しては、困難はありません。審議にかけて承認を得るだけです。直すべきところを修正し、加えるべきところを加筆しなければならない法律もあるでしょう。他でもない、前の議会の時に承認されたFDI Law[外国直接投資法]のことですよ。私自身も関わっていました。8ヵ月くらいかかったんです。それでもまだ完全ではありませんでした。それを修正したことで、以前よりもより法が整いました。諸外国からの投資のために優遇措置も含まれています。現在、特別委員会では法学者たちの協力を得て起草している法案があります。それはProperty Tax Law[財産税法]です。どんなものかというと、例えば一人で家をたくさん所有しているような人に適用されます。家がすでに一つあるのに、二つ目の家を所有するなら、別の方法を考えなければなりません。さらにもう一つ所有しようとするなら、また違う対応を考えなければなりません。親類の名前で登録するのはまた別の話になります。登録がe-Governmentになったらこういうことはできなくなります。そしてSuper Taxというものに移行するのです。目的は土地、戸建、共同住宅に関するマネーゲームをコントロールすることです。特別委員会が先頭に立って草案を書いています。次の国会の会期中に成立させられる見通しです。特別税は以前から都市発展委員会から徴収していたものがあります。それでも不動産価格におけるマネーゲームは収束しなかった。不動産を買っておきながら居住せず転売するというケースがあり、税金が得られていないこともありました。このようなことを是正していきたいということです。それでやっと政府は税金を得られます。
Voice:次の2月に国家顧問府主導の会合が再開しますが、国内の和平問題についてはどうなるでしょうか。
UWH:和平についてはドー・アウンサンスーチーも私達も不退転の決意で、どんな困難があろうとも耐え抜き、解決にむけ努力します。2017年ははっきりとした進展が実感できるように努力します。そのため、民族問題などの話し合いを始めています。少数民族の武装勢力や、少数民族政党とともに、問題解決に向け、努力します。今年は良い結果にたどり着くであろうと期待しています。しかし、多くの人が期待しているようなPeace Agreement Year[和平合意の年]になるかどうかはまだ楽観できません。
Voice:政党、政府と国軍の関係はどうなりますか。
UWH:そうです。国軍は重要なファクターです。和平にもいろいろありますから。少数民族の武装勢力の問題、ヤカイン問題。ヤカイン問題はムスリムが関係しているので世界が注視しています。もうひとつはウー・ウィラトゥ問題です。彼はムスリムを受け入れません。本なども出しています。刑務所にも入ったこともあります。NLDに対しても、時間があれば攻撃します。どれだけひどいかというと2015年にNLDが政権を取るのは、「梵天界の針1本が人間界の針1本に当たるほど」[可能性はない]とさえ言ったんです。その人物に[国軍最高司令官]ミンアウンフライン上級大将が齋飯を捧げたというのはどう理解すればいいのかわからない。またマソーイェイン僧院というのは本当に有名です。名のある学僧を生み出しました。ですがマソーイェイン僧院といえばウー・ウィラトゥ、ウー・ウィラトゥといえばマ・ソーイェイン僧院だということを国民は既に知っています。その僧院に齋飯を差し上げに行くというのをどう理解すればいいのかわかりません。どんな意図があるのか推測することもできません。
Voice:法の支配、ヤカイン問題、国内の安全保障問題についてはどのように行動していきますか。
UWH:安全保障問題については、当初より警察の資質向上、大幅な進展があるよう目指してきました。実際に改善しています。そしてRule Of Law Centre[法の支配センター]です。警察の高官、司法の高官を研修するためのものですね。自分の頭で冷静に考えられるようにすることが目的です。それができて初めて法の支配が実現されるのですから。この問題も、さっき申し上げた経済の問題のように時間がかかります。はっきり言って行政分野と法律分野では法律分野が最も出遅れている。関係者による不正は恐ろしいほどに聞こえてきます。それについてもドー・アウンサンスーチー側が「解雇、追放、一掃するなどの強硬なやり方はとりたくない。残忍なやり方、傷つけるやり方はとりたくない。少しずつ知識を与えながらやる」と言うのだから、時間がかかるでしょう。もどかしく思っている人もいるということもわかっています。しかし、時間をかけなければならないのですよ。
Voice:行政は、Mid Level[中間管理職]、総局長や、局長といった地位のある人の一部を解任するというのはどうなりますか。すでに言われた言葉は2017年に実行されるのですか。
UWH:ドー・アウンサンスーチーは強硬な方法をとりたくありません。説得すること、知識を与えること、行き過ぎがあったら配置を変えることで対応します。それさえ耐えられないのなら出ていきなさい、という方法を用いるだけです。
Voice:政権を取れるように支持してくれた国民に何を伝えたいですか。
UWH:NLD政府としてはすべての面において、一つだけではありません、でき得る限り全力で努力します。一部の人たちに言いたいのです、忘れられていること。我々は憲法をまだ改正できていません。また、議員定数の軍人枠についても手つかずのままです。そのような状況下でできるだけのことはやっているので、困難はつきものだということを国民のみなさんにはしっかり見ていただき、ご理解いただきたいのです。もう一つ、NLDは30年くらいにわたりあらゆる困難を経験してきました。政党の登録を抹消されたことさえありました。そのような時期も経験していますから、どんな困難をもものともせず、ドー・アウンサンスーチーの目標、リーダーシップのもとに必ず乗り越えて行く揺るぎない意思がNLDにはあるということを国民のみなさんに理解してほしい、そう申し上げたいのです。
( 翻訳者:井坂理奈 )
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