アウンゾートゥー
夕方6時はヤンゴン-タンリン(タニン)間を走行する南部県の路線にとって、運賃投入箱を開いて1日の紙幣を数える時間である。
5チャット札、20チャット札、破れたお札などは毎日しばしば見つかるけれども運賃投入箱の中にコンドームが見つかるだろうとは思ってもいなかった。
しかし8月9日の夕方にヤンゴン市内とタンリン(南部県)を走行する路線の1つの運賃投入箱を開けた際、性行為時に使用するコンドームが見つかった。
「いつもの時間である夕方に路線走行を終了して、ターミナルで運賃投入箱を開く。その日は奇妙なことにコンドームが含まれていた。すっかり気分が悪くなった」と、運賃投入箱を開いて紙幣を数えた時にコンドームを発見した、車掌のコー•アウンミョー(仮名)が話した。
タンリン路線では夕方の紙幣を数える時間に車掌と運転手ら自身が数える。
コンドームが見つかったけれどもターミナル責任者と車両の所有者らへの通知は行わずに、写真で記録したもののみを使って路線を管理している責任者らと国民に知らせるため、ヤンゴンバスサービス(YBS)のSNSに投稿したことをコー•アウンミョーが述べた。
コンドームが見つかった車両にも監視カメラは設置されておらず、運賃投入箱に入れた乗客は分かっていないことを同氏が続けて述べた。
「その人はどうしてこのようなことをしたのか私達には想像できません」とも、コー•アウンミョーが述べた。
YBSの輸送システムが実施されて6ヶ月経過した7月より、計90以上の路線の約4,000台の車両に運賃投入箱を設置した。
しかし、運賃の200チャットをきちんと払わない状況が今でもみられるという事実について、運賃投入箱の中の5チャット札、20チャット札が証拠を示している。
また、他の問題も起きている。
ヤンゴンアーバンパブリックトランスポート社(YUPT)の理事長であるウー•マウンマウンルウィンが「破けたお札が以前、月に120万チャットほど含まれていたので中央銀行で両替しに行かなければならなかった。この頃は破けたお札を入れられるのは少なくなった。現在はというと、20以上の路線で月に70~80万チャットほどしか破けたお札は含まれていない」と、話した。
その他、YUPTにおいては計21の路線で1,400台以上が走行しており、各車両で運賃を入れずにいつも乗車している者およそ5人と、20チャット札、50チャット札を入れて乗車している者およそ10人を車両の監視カメラの記録から見つけているところだということが同社の話から分かった。
現在走行している90以上の路線における4,000台近くの車両に対し、ヤンゴン管区運輸局(YRTA)が公開会社(パブリックカンパニー)方式の輸送システムの形への具体化を進めているものの、自分で稼ぎ自分がすべて受け取る方式の車両所有者らと、大多数の路線を抱える会社の配下にある路線とでは、運賃投入箱に含まれるお札の数え方と期間は未だ一致していないということを一部の路線所有者(訳者注:路線の運行権を持つ会社や個人業者のこと)が話した。
「我々の路線は毎日、朝の9時から昼の2時までお金の計算を行う。計算する社員は200人ほど雇用している。最近は破けたお札のみを入れられることが多くなっているので、乗客の心を改めることができるよう頑張っていく」と、YUPTの責任者が見解を述べた。
また、車両に運賃投入箱を設置してから運賃投入箱に高額紙幣を誤って入れてしまう乗客が10人おり、コンピューター大学を拠点に走行する39番のYBS路線、インセイン通りを拠点に走行する36番のYBS路線と一部路線において、運賃投入箱を開けた際に見つかったため、ヤンゴンバスサービスのSNSから通知の連絡をし、返金したということを路線所有者が述べた。
「8月16日に1万チャット札を箱に入れ、そのまま忘れてバスから降りた1人の女性を探し出して連絡を取り、余剰金を返金した」と、YBSの運転手が話した。
今年の7月8日、電力•工業•運輸省大臣のドー•ニーラーチョーは自分で稼ぎ自分がすべて受け取る方式を廃止し、YBSの全路線で運賃投入箱システムを導入し走行するよう指示した。
7月7日にYBSの37番と55番の車両による正面衝突事故が起き、死者や負傷者が多数でたことに関して管区政府が上記のように規則を発表した。
YBSの路線では7月10日から乗客自ら運賃を支払う運賃投入箱システムの設置を開始し、7月20日に設置が完了するよう決定したけれども路線の責任者らが設置期間を延長するよう願い出たため、7月末の31日までに設置する許可を与えた。
指示された運賃投入箱システムを利用していない路線に対して事業免許を剥奪する予定であることがYRTAの話から分かった。
「運賃投入箱システム利用を決定した期間より設置するのが遅れている場合、規定に沿って処分を行うよう準備する」と、YRTAの幹部が話した。
今年の8月末まで運賃投入箱の設置完了を許可するよう一部の会社がYRTAにより申請しており、現在8月16日までで、YBSの路線を走行している車両4,000台以上の内、半数程度しか運賃投入箱システムを設置できていないことが複数の路線責任者の話から分かった。
けれども、運賃投入箱システムが成功したと言うのが難しいこの時期に、次の段階に進むため準備しているところであり、2018年にカード決済システムを使用し乗車できるよう準備を始めている。
乗客自らお釣りのないよう運賃を準備し箱に入れなければならないという運賃投入箱システムを導入実施した2ヶ月以上の間で、小額紙幣の手持ちがないという問題に最も多く直面しており、一部の乗客は乗車賃を十分に支払わないこと、破れた紙幣を入れること、そして見るに大変不快なコンドームを乗車賃として運賃投入箱に入れ乗車することなどが起きているため、カード決済システムを8月9日から段階的に具体化した。
カード決済システムを実現させることについては(すぐにではなく)2018年2月から事業を開始することが可能であり、カード決済システムの他に現在利用している運賃投入箱システムを廃止するのではなく、現金とカードの両方とも引き続き使用することができることを、競争入札管理委員会の副委員長ドー•ノーパンティンザーが8月15日の競売に参加する企業らとの説明会で話した。
日々得られる乗車賃の計算を担当する一部路線の職員200名以上が年内は仕事を続けることが確定している一方で、運賃投入箱を引き続き置いておくということは現在いる職員のうち少数を解雇する可能性がある。
現在、ヤンゴン市内を走行しているYBSの路線では、ヤンゴンペイメントサービス(YPS)というカード決済システムによってサービスを提供できる事業を実施するための入札参加申込書を8月25日に受け付け始め、9月16日の締め切りまでに提出する必要があることが入札競争管理委員会の話から分かった。
YBSの路線で使用しなければならないカード決済システムにおいてカード発行事業、カード加盟店管理事業、プリペイド決済エージェント事業の3つを実施しなければならず、入札参加申し込みにおいては参加した国内外企業の中から段階を踏んで落札した複数の企業に対して、使用する技術や機械の品質を含め事業を任せられるか審査し、それが終わったらヤンゴン管区政府が会議を行い、最終決定を下して12月12日に発表する予定である。
そのあと、事業許可を与えられた企業は12月最終週、事業同意書に正式にサインすることがヤンゴン管区政府競争入札管理委員会の副委員長であり、少数民族担当大臣でカレン民族であるドー•ノーパンティンザーが話した。
「バス会社の一部は警備員の配置を始めている。我々はまだやっていない。人を再び配置すると、以前車掌を乗車させていたときのようになっていくのかということで他のバス会社も考え中だ」と南部県路線、31番バスの運転手ウー•アウンチーニュンが述べた。
けれどもカード決済システムが成功していけばその問題は解決することができるだろうと彼は考えている。
「第一段階としてカード決済システムのみを利用開始できるよう行なっていき、乗車賃をゾーン制で徴収する。乗車賃を支払うためのYPSカードシステムが現金払いより少し安くなるよう考えている」と同氏が述べた。
バス路線では2018年2月にカード決済システムを開始していく予定だけれども運賃投入箱システムを廃止しないため、自分で乗車賃を入れる乗客とカード決済システムへ変更する乗客という2種類の乗客が出てくるだろうと予想していること、そのためお金を数える仕事を行う人たちも職を失うことは避けられることを、ヤンゴン管区政府の幹部責任者の1人が説明した。
「運賃投入箱システムは一時的設置というようなものではない。カード決済システムとして形式が変わっても一部乗客のため運賃投入箱にお金を入れ乗車できるよう準備していると把握している」と同氏が重ねて述べた。
運賃の支払いをカード決済システムに変えるため行なっているように、乗客にとって問題がないよう、その他のサービス向上を行うためにも準備していることがヤンゴンバスパブリックカンパニー(YBPC)(訳者注:原文はYBPSだがYBPCの間違いと思われる)の話より分かった。
また、追加サービスとしてYBPCとYUPTのもとで走行している路線にWi-Fiを設置するよう実施しており、YBS37番と7番バスでは現在設置して走行しており、残りの路線においても引き続き設置しているところであることが上記の会社の発表より分かった。
「Wi-Fiを設置したというのは乗車している時に疲れを癒すようなものになるようサービスを提供したのだ。乗客らが使えて便利だということであれば全てのバスに設置していく」と、YUPTの責任者が話した。
そのようなサービスを提供しても、YBSのバスに乗車する際に乗客が本当に必要としているのは、快適に乗車できること、車内の混雑緩和、座って乗車できることなどであり、バスにすし詰めで乗車しなければならない状況においてWi-Fiは重要でないことを、Wi-Fi設置に関して乗客らが意見を述べた。
その他、YBSの一部路線におけるひったくり、女性への不適切行為などに乗客が遭遇しているためYBSの路線に警備員を配置することを計画している。
市内を走行している旅客自動車路線に対し管区政府は車両規則、道路規則などを遵守させるためコントロールセンターを設立し管理しているが、車内で起こりうる悪い行いを取り締まることができないため結局警備員を配置することになるのかと考えざるを得ない状況になっている。
このような追加サービスを提供するため準備していると言うけれども、乗客にとって本当に必要な基本的なことが未だ解決できていない。
「運賃投入箱システムを設置する前は運賃をもっと要求していた。(運賃投入箱が)置かれるようになっても補助員らが運賃を集めていることがまだあるのだ。政府が100チャットと定めているルートを発表してあっても200チャット取っている。また、新しい車両を購入したと言っている。(でも)これまで通勤で空いている車両に乗れたことはまだない」と、YBS36番バスに乗車する乗客が話した。
乗客からの苦情、乗車に関しての問題が多かったマタタ(自動車事業合同管理委員会)システムを廃止し、YBSの名前で路線を走行して6ヶ月以上経過したけれども、現時点まで上記の良くない点に対する明確な軽減、改革が未だに見られない。
そのようにヤンゴンバスサービスのサービス面において必要とされていることがあるように、一部の乗客の行動もバス会社職員にとって気落ちするような状態にある。
運賃を支払う際、カード決済システムに変えることができれば、上記のいくつかの問題は解決する可能性がある。
けれども当面の間は、一部の乗客が運賃を支払わないこと、破れたお札、規定額より安い金額、コンドームを運賃投入箱に入れることなどは、公共輸送を運営している職員らに対しての侮辱だと感じていることをコー•アウンミョーが話した。
「侮辱されていると感じる。運賃を支払わないとしてもせめてこういったことはするべきでない」と、同氏が述べた。
翻訳者注:「バスの運賃を運賃投入箱に入れるシステム」というのは、車掌を廃止することと、バス路線全体で運賃を分けあうという方式に変更することを意味する。これまではバス路線運行の権利を持つ会社等に対し、バスの所有者が運転手、車掌を雇い、走行許可料を支払って走らせていたことが多い。つまり個人営業とほぼ同じ状態であった。そのため、乗客が多ければ多いほど運転手、車掌の収入が多くなるので、同じ路線のバス同士でも乗客を奪い合う形になり、バス停に少しでも早く着き、先にたくさんのお客を乗せて運賃を稼ごうとしたり、お客が少人数しかいなければお客が集まるまでなかなか発車しなかったり、という状況が発生していた。また、車掌が通常よりも多く料金を取ったり、おつりを後で渡すといってそのままだったり、ということもあった。
( 翻訳者:金子愛 )
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