カオクイの杭原の保存区:ベトナム史の新しい視角
2020年11月28日付 VietnamPlus 紙
カオクイの杭を見学する科学者、考古学者 写真:アン・ダン/ベトナム通信社)
カオクイの杭原の出土と、放射年代測定の結果によって、考古学院はこの杭原が1288年の3度目の元寇の戦勝に密接に関連していると確信するようになった。
2019年の考古学の成果を振り返ると、リエンケー社(ハイフォン市トゥイグエン県)カオクイの野で1000年前の貴重な杭原を発見したことが、ハイフォン市において最も際立った文化、歴史的な出来事であると見なすことができる。
考古学院とハイフォン博物館によって発掘された27本の陳朝時代の年代の木杭は、ベトナムの歴史に全く新しい視点を与え、同時に考古学、軍事史、外国の侵略への抗戦の分野において研究の方向性を多く開いた。
バクダン川(白藤江)の戦いとの関連性
考古学院(ベトナム社会科学院)の代表は、史学界では陳朝の元軍に対する戦いに関して、多くの統一されていない見解が残っているが、カオクイの杭原の出土と放射年代測定の結果によって、考古学院はこの杭が1288年の3度目の元寇の戦勝に密接に関連していると確信するようになった。
この杭原は、元軍の戦船がザー川区域と興道大王陳国峻の指揮領域に侵入するのを阻止するためのもので、元軍をダーバック川に沿ってバクダン川に入らせ、あらかじめ配置しておいた杭(地下)陣地に流れ込ませて水中に沈めた。
この出来事によって蒙古帝国の大越国に対する攻勢が終わった。
このように、杭原はバクダン川での3つの歴史的な壮烈な戦闘の勝利と関連がある。938年の呉権による南漢への勝利、981年の黎大行による宋軍への大勝、そして1288年の陳興道による元軍の侵略への大勝の3つである。
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リエンケー社のカオクイ杭原の区域は、バクダン川遺跡区域と共に、将来の世代に革命の伝統を教育して形成していくための「赤い史跡」となる予定である。
カオクイの杭原の発見について、社会科学博士のブー・ミン・ザン教授は意見を述べた。「1288年のバクダン川の戦いは、元軍の侵略の意志を完全に打ち砕くための戦略的で決定的な戦いと見なされています。この発見で、研究界は歴史的なバクダン川の戦いに関する事柄に関して整理し、形容し、再認識をしなければなりません。以前からバクダン川の戦いをクアンニンかハイフォンかで確定させることについて多くの意見がありました。現在はバクダン川の戦いは主にハイフォン、クアンニン双方の川の両岸の地勢に依拠していたと確定することが出来ます。地形構造を考えると、トゥイグエンで待ち伏せする方が適しています。なぜならここには伏兵に適した山々があり、クアンイェン側が空いているからです。ここが、陳朝軍が敵を撃つために誘い込んだ場所である可能性が高いです」。
またハイフォン市党委員会書記のレー・ヴァン・タイン氏によると、トゥイグエン県リエンケー社でのバクダン川の杭原の発見と発掘は非常に意義ある事であるが、遺跡の価値の保存とその発揮も重要でありより意義のある事である。これは民族の歴史へのハイフォン市の党委員会、地方政府の責任であり、また将来の世代への責任でもある。
国家遺跡としての認定を提議
遺跡の価値の保存と発揮という責任を完遂するために、ハイフォン市党委員会書記のレー・ヴァン・タイン氏は、これは単なる歴史的意義に関してだけでなく、目の前のかつ長期的な政治と伝統思想の教育という非常に大きい意義に関しても大切な任務であることをはっきりと確定させる必要があると語った。上手くいけば、社会経済に強いだけでなく、民族の英雄的歴史の文化的価値を発揮、保存、維持する明確な場所ともなるハイフォン市を確立し発展させるための内生的な力を高めることに貢献するだろう。
「ハイフォン市の関係各行政レベルや組織は、考古学院と連携して早急に都市レベルでの歴史遺跡の認定手続きを進める必要があります。同時に、杭原の国家特別遺跡の認定の手続きを促進させ、ダーバック川に沿ったリエンケー社区域からバクダン川遺跡区(トゥイグエン県ミンドゥク町)までの広範囲での全体調査を組織し、区域内の遺跡とともにカオクイの杭原の価値を開拓、発揮するためのインフラプロジェクトを立案、確立する必要があります」とハイフォン市党委員会書記レー・ヴァン・タイン氏は強調した。
ハイフォン市人民委員会主席のグエン・ヴァン・トゥン氏は、杭原を維持保存し歴史的価値を発揮し、1288年の歴史的なバクダン川の戦いにおける民族の輝かしい戦功の痕跡、中でもモンゴル帝国への抗戦に壮烈な戦勝をもたらしたハイフォンの軍と住民の貢献に誇りを持つために、バクダン川での勝利に密接な関係を持つカオクイの杭原遺跡群への影響を最大限に抑えようとする意志とともに、昨今、市人民委員会はカオクイ杭原歴史遺跡保存区を建設、展開し、これを今日や将来の世代への愛国の伝統と民族の誇りを教育する場所としていると述べた。
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( 翻訳者:乙川巧磨、須藤遼 )
( 記事ID:5649 )