ラカイン南部も北部のように短期間でAAの手中に陥る可能性があるのか
2024年05月29日付 その他 - ミッズィマ 紙


ダートウ

ラカイン州全域で軍事作戦指令部が3つあるうち、2つをアラカン軍(AA)が占領しているほか、ラカイン北部は市のほぼ全てをAAが占領した時に、ラカイン南部も北部のように短期間でAAの手中に陥ってしまうのだろうか、という疑問が、様子を伺う人々の間で関心を持たれている。

再戦闘の期間が6ヶ月経った時、AAの進軍の勢いのある最初の矢がラカイン州南部まで突き抜けて広がってきた。

チャウピュー経済特区、深海港、工業地帯計画のあるラカイン南部はAAが占領しているヤンビィエ市と約100マイル離れたタンドウェ郡で現在戦闘が激化している。

ヤンビシエ市を2023年12月にAAが占領し、ラカイン南部で初めて占領できた市となった。

住民によると、タンドウェでは軍評議会の軍が食糧や人を更に補っており、市を出入りする陸水路も閉鎖されているという。

一部の軍事評論家の推測によると、ラカイン州南部において、軍評議会の師団本部を含む大隊や部隊の勢力は、ラカイン州北部の4分の1しかないという。

南部地域では、軍評議会の大隊本部が9か所、海軍本部と一部の警察大隊だけあり、北部地域のように戦略丘陵地や国境警備隊はいない。

そのように、戦略丘陵地やしっかりとした軍事基地があまりない南部地域は、北部地域よりもAAの支配のもとに早い時期に入る可能性があると、ラカイン出身のベテラン政治家ウー・ペータンは考察している。

「アラカン統一連盟/アラカン軍(ULA/AA)が占領した国境地域一帯、パレッワのフノンブー、タユンアインや、アンのトーヘインタウンのような戦略丘陵地は南部にはない。タンドウェ市は、今月中旬の状況ではすぐにAA支配下に入る可能性がある。軍評議会が空路や水路で攻撃してきても、その地域からAAが撤退した先例はない。勝てるように戦う。」

「タンドウェ市にAAがタウンゴウッを越えて攻撃したのは、別の言い方をするとすでに周囲を封鎖したということだ。勢力の弱い場所が最初に一掃されたこと、北部のときも勢力の強い場所を徐々に攻撃して4種断絶作戦(翻訳者注:食料、通信、支援、その他重要なものを断絶する作戦)を実行すれば、自分側の損害が少なくさらに効果的に長時間にわたって攻撃したことが多く見られる。そのような軍事的な戦略と考えられる」と同氏が話した。

ラカイン州を活動拠点とする3つの軍事作戦司令部中で最後に残った第5軍事作戦司令部があるラカイン南部では、タウンゴウッ市で戦闘が少し起こっている。

ラカイン北部、チャウットー市を拠点とする第9軍事作戦司令部とブーディータウン市を拠点とする第15軍事作戦司令部を軍評議会は放棄せざるを得なかった。

そのタウンゴウッ市から約125マイルの場所にあるグワ市とマンアウン島では、AAと軍評議会の軍の間での直接的な戦闘はなかった。グワ市には市の警備隊が2つあり、マンアウン島には軍の安定したキャンプがないことを軍事情報源が話した。

しかし、ダニャワディー海軍本部があるチャウッピュー市では双方の直接的な戦闘が時々起こっている。

西部軍管区本部のあるアン市をAAが封鎖、攻撃しており、一部の重要な戦略丘陵地も占拠した。

ラカイン州南部にあるアン、タウンゴウッ、チャウピュー、ヤンビェ、マンアウン、タンドウェ、グワなどの7市のうち、グワ市とマンアウン市を除く残りの5市では双方の直接的な戦闘が生じている。

「南部には軍評議会の第5軍事作戦司令部や海軍基地のみある。残りの市には、強固な大隊というものはない」と、匿名希望の軍事評論家であるラカイン住民の一人が本紙に語った。

「南部にはAAが基盤を置いた支配地域がない。マンアウン、タンドウェ、グワには(AAの拠点が)ないのでその地域を一から攻撃しなければならないという状況にあるので、少し時間がかかりそうだ。北部ほど早くないと思う」と同氏が続けて語った。

戦争の勢いが増してきたタンドウェ市では戦闘が発生している地域の付近一帯に、軍評議会の軍が空と海から銃撃をしており、5月14日には戦闘により地元民20人近くが死傷したことをタンドウェ市の地元民が語った。

「タンドウェでは、第566軽歩兵大隊が攻撃部隊、第55歩兵大隊が支配部隊のようになってあちこちで人を逮捕している。そのような部隊なので、その2部隊には勢力がない。エーヤワディー管区側からも勢力を補充している。第55歩兵大隊が白旗を揚げたと聞いている。白旗を揚げても軍評議会が爆弾を投下したこともあるので、どのような状況になるかというのを見守っていく必要がある」と同氏が語った。

地域の専門家らはタンドウェ市がAAの手に落ちれば、グワ市としっかりとした駐屯地を持っていないマンアウン市もAAが容易に占領する可能性があることを語った。

地理形状的に、ラカイン州南部は北部に比べると少し狭く、ラカイン山脈と海の間は入り組んでいる沿岸地域である。

本州(翻訳者注:少数民族が暮らす山岳地帯を除いたビルマの本州のこと)と接しているラカイン山脈南部では軍評議会の軍の軍事活動が小規模であるため、地域の状態・軍事状態に基づいてAAにとって有利であることをウー・ペーターが語った。

「AAにとって軍事的に優勢な点がある。なぜかというと、山脈ではというと軍隊があまり活発に活動できないからだ。山脈の中ではというと、AAのゲリラ戦に軍評議会は追いつけない。以前のように軍隊が国民をポーター(翻訳者注:戦闘の最前線で「人間の盾」として使われ、食糧や弾薬を運搬するための人)として戦闘に加わるよう強制できる状況ではない。幹線道路一帯では車で行くことのできないところもある。そのようなところの中でAAは堅固に部隊を配置することができ、更に加えて疲労にも耐えられるだろう」と同氏は語った。

ラカイン山脈全域と地域の繋がっているマグェやいくつかの市もAAと連合国民防衛部隊に支配されていることが分かっている。

ラカイン北部でAAの均衡がとれた攻撃に加え、軍評議会の物資補給ルートもうまく統制、遮断できたため、軍評議会の応戦は混乱したとオブザーバーは語った。

ラカイン北部にある、ポンナーチュン、チャウトー、ミャウウー、ミンビャー、ミェーボン、パウトー、ヤテダウン、ブーティダウン市、およびチン・ラカイン州の州境にあるパレッワ地域をAAが占領しているため、ラカイン北部全域では州都シットゥエとマウンドー市のみ占領されていない。

ラカイン州全体が解放されるように軍評議会の基地を一つ残らず占領すると宣言したAAのラカイン南部の進軍は、より興味深くなっているとオブザーバーは言った。

編集 ナウンナウン

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( 翻訳者:A.I,F.K,T.O,M.S,H.K,H.T )
( 記事ID:6889 )