業者の逮捕が軍による物価統制の手段に
2024年06月26日付 その他-ミャンマーナウ紙 紙
2022年8月31日、米を買いに殺到するヤンゴンの住民の様子(写真:Myanmar Now)
2022年8月31日、米を買いに殺到するヤンゴンの住民の様子(写真:Myanmar Now)

軍の将軍らが国家経済を運営する中、状況の悪化が続いており、その困難を解決する手段の一つが業者の逮捕である。
アウンカン 2024年6月26日

ヤンゴン、マンダレー、エーヤワディ地域の精米工場所有者と米取扱業者が、米を高値で売ったとして 、6月21日から軍評議会によって逮捕されているが、彼ら(逮捕された米取扱業者)のその後の状況について、本日(6月26日)の時点で新たな情報は何も分かっていない。

この逮捕に続いて、ヤンゴン市内のバインナウン卸売市場にある一部の米取引所や、エーヤワディ地域のシュエボーやミャウンミャの有名な米取引所がここ数日間に、次々と差し押さえられたことが米業者の話で分かった。

「逮捕の影響で、米市場には心配が広がっている。米連盟が定めた価格で売っていると卸売業者は言うが、一方で店や倉庫が差し押さえられているため、必要な量の米が買えなくなっている。」とヤンゴン市内の米取引業者がMyanmar Nowに語った。

ヤンゴンの主要な米の卸売市場であるワーダン米卸売市場は、米の価格を定期的に公表できなくなっている。

現在の状況下では、軍評議会軍の隊員が消費者を装って米の価格を調査し、業者を逮捕する可能性があるため、常連の顧客にしか米を売ることができないと彼(米取引業者)は言う。

「率直に言えば、米さえも密売ししなければならないと言うような状況だ」と前述の業者は語った。

現在取り調べを受けている者の中には、ミャンマー米連盟のイェミンアウン会長、バインナウン米卸売市場のルーモーミン市場長、マンダレー地域米卸売市場の責任者が含まれていることが分かった。

6月23日、ミャンマー米連盟はヤンゴン地域の住民のために、手頃な価格で米を販売すると発表した。

ワーダン卸売市場とバインナウン卸売市場では、6月24日より午前9時半から午後3時半までの間、エマタ種を1ピー(翻訳者注:約2.55リットル、米の場合は約2キロ)3,000チャットで、ポーサン種を1ピー5,000チャットで販売するとしている。

米袋の購入希望者に対し、毎月、一家族につきポーサン種1袋とエマタ種1袋を販売すると米連盟は発表した。

こうして購入に訪れた者には、軍評議会が定めたシュエボー産ポーサン種1袋135,000チャットから145,000チャット、エーヤワディ産ポーサン種1袋110,000チャットから120,000チャット、エマタ種1袋72,000チャットから75,000チャットの価格で販売するとも発表されている。

マンダレー市で逮捕された米取扱業者は、軍評議会から、規定価格に従って安く売るよう忠告を受けたものであり、間もなく釈放されると聞いていると、マンダレー市の業者は語った。
さらに、City Mart、Ocean、Aeon Orange、Capitalなどのスーパーマーケットで販売される米の価格について軍の管理下にある商業省、消費者局、内務省傘下の特別捜査局(BSI)、総合行政局などの様々な機関が調査に訪れ、米を定められた価格で販売するよう指示を行ったと、マンダレー市の有名なショッピングセンターの従業員が語った。

新たな指示が発表されるまで、高級米を1ピーにつき6,000チャットで販売するよう命じられ、店長の一部が呼び出されて取り調べを受けたと述べた。

「彼ら(軍評議会当局)が調べに来たのはどのくらいの価格で買って、どのくらいの利益を上乗せして売っているかということです。彼ら(軍評議会当局)が調査に来た翌日(6月22日)には価格を下げなければなりませんでした。いつ頃までこの価格で売らなければならないということは言われませんでした」と前述の従業員は語った。

ヤンゴン市内の一部のスーパーマーケットでも米の販売が停止されている。

軍評議会が6月に米の価格を設定した際、シュエボー産ポーサン種1袋135,000チャットから145,000チャット、エマタ種1袋70,000チャットから78,000チャットに設定されている。

米の小売価格は、設定価格の5%から10%までの上乗せが許されている。スーパーマーケットや日用雑貨店での販売価格は設定価格の10%から20%を上回らないよう指示されているとミャンマー米連盟は発表した。

なぜ米の価格が上がるのか
米の価格は4月のミャンマー新年後から徐々に上昇し、5月末に急上昇した金の価格とドルの価値とも関連していると米取引業者は語っている。

金1チャット(訳註:ミャンマーの重量の単位で約16g)が580万チャット超にまで上昇し、1ドルは5,000チャットに達した。

4月の卸売市場での取引相場は、シュエボー産ポーサン種1袋が125,000チャットから135,000チャット、エマタ種は1袋71,000チャット程度あった。

現在の市場での取引相場は、シュエボー産ポーサン種は1袋200,000チャット前後、低級米は1袋80,000チャットから90,000チャットである。

「米の価格が急騰しているわけではなく、1袋あたり1,000チャット上がったり、また2,000チャット程度上がったりという状況です。そんな風に4月から上がり始めました。これは通常のことです。今は古米の時期なので、古米の在庫が減少しているため、米の価格が上がっているのです」とヤンゴン市内の米取引業者は語った。

米市場の慣行では、新米の収穫が始まる12月には古米の価格高騰は止まると彼は言う。

このように軍評議会が米の価格を厳しく統制し、倉庫や店を差し押さえていることで、市場が混乱し、市場で米の供給不足が起きることが懸念されると彼は語った。

米の価格上昇は、軍評議会が外貨を必要としているため、米の輸出を増やすように圧力をかけていることとも関連しているとマンダレー市の業者は語った。

「輸出収入を増やすために、米をもっと輸出するよう推進しているのです。毎月どれだけの量を輸出せよと圧力をかけており、輸出業者側は船が来ているのに米の在庫がない場合は、あちらから買わざるを得ないのです。そこの業者も米の価格を引き上げているので、価格が今のような状態になっているのです」と彼は語った。

軍評議会は、今年度の米と米粉の輸出を200万トン、10億ドル以上の収益を予測しており、ミャンマー米連盟(MRF)に圧力をかけていることがわかった。

昨年度2023-24年度の米の輸出量は160万トン超にのぼり、8億4,500万ドル超の収入を得たことがMRFの統計で分かった。

軍評議会は、国境貿易ルートによる米と米粉の輸出で得た外貨収入も自らの統計に含めている。

軍評議会は、経済の低迷、国際的な制裁、中国-ミャンマー国境の貿易拠点の喪失などのために外貨収入が減少し、外貨準備高も枯渇しているため、企業から輸出収入を強制的に徴収している。

他方、自らの経済政策や運営の失敗によりチャットの価値が下落したというのに、物価の高騰を制御するために業者の逮捕を繰り返しているのだ。

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( 翻訳者:H.N )
( 記事ID:6953 )