電子投票システム、投票者への人権侵害の懸念
2025年09月30日付 その他 - DVBビルマ語紙 紙
軍評議会が、選挙において使用するミャンマー電子投票システムには、有権者の個人情報の安全の保証がなく、投票が強制される形式であることにより、投票者への人権侵害が引き起こされる可能性があると専門家が警告を発している。
個人情報であるUID(個別認識情報)と元々登録されているデータとを照合させて調べ、国民登録票を提示した上で投票するシステムであるため、この情報を使用して諜報活動を行なっていると、ミャンマーにおける選挙の専門家は警告する。
「この電子投票システムというのは自分の支持する候補者が一人もいなくても、投票を棄権する権利がないシステムだ。投票所に入れば、必ず誰かに投票しなくてはならない仕組みだ。そのため、無効票が生じる可能性は皆無だ。主な懸念点としては、電子投票システムによる投票内容のが、秘密にされないことだ。このデータを使用し、個人情報のデータベースとその他のデータベースを照合して、マスサーベイランス(大規模監視)や一括諜報活動を行ったり、抑圧の仕組みの中で利用されたりすることを懸念している。」
軍評議会が行う選挙が信用できず、投票する意思がないにもかかわらず、電子投票システムによって投票を強要されるのではないかという不安が市民の間で広がっているという。
「実際のところ、人間には本来個人の権利、自己決定権がある。投票したい政党に投票する、投票したくないところには投票しない。ところがこの状況では、投票したくない政党にまで投票することを強いられ、投票しなければ何らかの形で処罰されることになるわけで、これはあまりに一方的だ。投票しなかったらどうされる、何をされる、というような話をいろいろ耳にするにつけ、やはり少し不安を感じる。」
軍事評議会が発表した「有権者の権利」には、選挙で投票の意思がある場合は投票でき、投票の意思のない場合は投票しない権利もある。ただし、投票権が損なわれないよう十分な配慮がなされなければならないと記されている。人権の一つであるにもかかわらず、電子投票システムに「投票しない権利」が含まれていないのは基本的人権の侵害にあたると、人権問題に詳しい弁護士が指摘する。
「電子投票システムには『投票しない権利』がなく、投票を強制するというのは国民の自由を制限することになる。これは、『市民的及び政治的権利に関する国際規約』や憲法にある基本的自由の制限にあたる。生体認証システムやIDリンクによって投票者が特定できたり、投票の追跡が可能になることは、人権に対する脅威である。電子投票システムは、技術的には便利だが、投票しない権利が設けられていないことや、プライバシーを侵害されたり、技術の利用により有権者を脅しうることなどから、国民の基本的自由と人権に対して重大危険を及ぼしかねない。」
軍評議会は来たる12月28日に総選挙の第一段階を実施することを発表しており、全274の郡で実施される予定であるところ、第一段階においては102の郡でのみ実施される。
現在、軍評議会は様々な理由により総選挙を妨害した疑いで、50を超える個人や団体を選挙妨害罪だとして糾弾している。
クーデター軍評議会の実施する総選挙が不法な虚偽の総選挙であるとの考えを、国民統一政府と革命勢力は表明している。
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( 翻訳者:H.M, H.M, Y.S, Y.Y )
( 記事ID:7201 )