「識字運動 (a thon lon)」の再始動(9-14-9-1)

2013年04月08日付 The Voice 紙
 20年以上姿を消していた大学生による社会奉仕活動の1つ、識字運動(a thon lon:「三つのア」元来、読み、書き、計算の意)が、2013年4月1日から教育省主導のもと、ミャンマー全土にまたがる9つの郡で再始動した。地方の村落に居住する国民が70%を占めるミャンマーの教育にとって、歴史に残る運動が新たな展開を見せた。
 政府は国全体の識字率を95%以上と発表しているが、ミャンマーの人口に比しても、読み書きできない人がまだ多くいると高等教育局局長(上ミャンマー=北部)担当のドクター・ソーウィンは本誌に述べた。
 現在新政府のもと、それはカレン州、モン州、チン州、マグウェー地域、ザガイン地域の教育省の援助を受け、7つの大学から3000人以上の学生ボランティアを動員して行われるとミャンマー教育研究所は発表した。
 ボランティアには、大学生の他に地元の教師3000人以上も加わっている、と同研究局局長助手のウー・ミャッチョウが補足した。
 識字運動が展開された1964年から1988年の間に、参加した学生の数は492,706人にのぼったことが、当時の運動記録からわかる。
 今回基本の識字運動を、カレン州、モン州、チン州、ザガイン地域、マグウェー地域内にある、パアン、ムドン、チャイトー、ティーテイン、イェウー、チャウンウー、イェサチョー、ンガペー、タムー各郡で、2013年4月から5月15日まで推進すると教育省は発表した。
 「彼らに残るものは、読み書きができるようになるという以上のものだ」とミャンマー文理科識者協会会長のウー・タンウーは言う。
 この運動は成人で読み書きできない人にとってとても有益であること、講習時間60分で基礎的な読み書きができるようになる、とかつて自らも参加したことのあるNLD(国民民主連盟)教育委員会メンバーのドクター・テインルインは語った。
 「私たちが担当したミンギン地方では何も問題はなかった。皆心から歓迎してくれ、学生の側も彼らの仕事を手伝った。終われば仲間もたくさん増えていた」と1983年にミンギン郡でボランティア活動に参加したヤンゴン大学識字活動会メンバーの女性教師ドー・エィーテッモゥは当時を振り返って言う。
 以前は学生に事前の短期講習を行ったが、今回は指導要領だけを予め配布するのみだった、とミャンマー教育研究局局長助手ウー・ミャッチョウが言った。
 参加する学生のために、日々の経費を教育省が援助する他、受講者のために教科書、ノートを援助してくれるとも同氏は述べ、「教科書は、以前成人向けに使っていたものを、そのまま印刷している。大幅な変更はあまりない」という。
 全土で行われた基本の識字運動の成果で、非識字人口3012,434人のうち、2411,179人が読み書きできるようになり、パーセンテージでは80.04%まで上がったと当時の記録にある。
 「今のところ教育省の識字率は正確ではない。彼らがどのような方法で統計を取ったか、わからない」とドクター・テインルインは言う。
 基本の識字運動を行うという場合、非識字人口の現状をまず正確に知る必要があり、それでこそ、全国規模の運動として、体系的に推進できると同氏は言った。
 教育省は小学校の義務教育制を2011-2012年教育年度に導入したが、実際には法律もなく、まだ効力が弱いため実行できていないとウー・テインウーは本誌に語った。
 その他に、基礎教育制度の変革にあたり、中学校教育の義務化をも、実現させる方向で準備していること、しかしいつ始められるか定かでないと基礎教育の関係者から情報を得た。
 「私の母のように読み書きできない人が地方にはまだたくさんいる。その人たちのために、文字を教えようとしても、きっかけを探すのがとても難しい」と基本の識字運動に参加しているラカイン州アン市在住の40才過ぎの母を持つドー・ヌエヌエウィンが本誌に語った。
 政府が新たに識字運動を再開しようとしているさなか、1983年ミンギンで運動に参加したヤンゴン大学のボランティア会の30周年会合が3月26日にシュエゴンダイン通りトーウィンフニンズィー会館で開催され、教師や学生300人以上が集まった。
 「奉仕活動は誰の圧力や勧告もなしに行われた」とヤンゴン大学のボランティア会(ミンギン郡)のリーダーで、ビルマ語学科元助教授のウー・ミョウタンは言う。
 「識字運動の仕事は些細なことではない。歴史に残る大事業。国民のありのままの姿から学びながら、自分でできることをお返しすること」とミャンマー文理科識者協会会長 (かつての識字運動中央委員会書記長)のウー・タンウーが述べた。
 「文字の読み書きだけでなく、もっと勉強したいという意欲を持つようなプログラムにすべきだ。」とミンギン郡の組織の後援者で、元ヤンゴン大学ビルマ語学科長ドー・ポーは提案する。
 1988年以降、新たな政権下で、変化を遂げている教育計画のうち、識字運動は基本の読み書きができない人にとってとても有益なものであり、もっと多くの学生の参加が求められている。


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翻訳者:田﨑 巧
記事ID:49