夜間学校生(10-14-6-1)

2014年04月20日付 The Voice 紙
 揃いの白いシャツを着た70人近くの子供たちのために、喫茶店のテーブルや椅子から創り上げられる討論の教室。
 これはヤンゴン市にある有名な喫茶店での午後6時過ぎの光景である。
 様々な理由により教育から離れ、それぞれの持てる力で家庭の生計に寄与している子供のウェイターたちのために、手すきの時間に無料で行われる授業である。
 24歳のマグェー出身の青年ウェイターは、「この店で仕事をして7年が経った。学校には第3学年(小学3年生相当―訳者註)まで行ったが、勉強は忘れてしまった」と話す。
 家庭の経済状況が厳しいため、教育の途中で稼ぎに出なければならない子供の数は、正確に分からないがミャンマーには多くいる。特に都会の喫茶店、仕立て屋、建築作業、家事手伝いなどの仕事をしている人の中に最も多くみられる。
 生計のため働いている子供を「児童労働者」と考える人はやや少なめである。その様に考えないことも彼らの教育や健康、福祉が一般的な子供と大きく異なっている理由となっている。
 都市から離れた地域の農場や漁場で働く子供の将来も同様にぼんやりと霞んでいる。彼らはみな手が届かなくなってしまった教育への憧れを抱くようになる。
 無償教育制度が国内全域で始まらない限り、全ての子供に基礎教育の機会をという理想から遠ざかってしまうだろう。
 ミャンマーは今でも、児童労働者を最悪な状態で働かせている10カ国のうちに、ソマリアやコンゴなどとともに含まれている。
 7歳から16歳の間の子供の3分の1が危険な場所での労働と規定時間以上の労働を行っていると国連児童基金(UNICEF)の2006年度統計から分かった。
 同様に2012年ILO文書でも依然として、ミャンマーは児童労働者にとって最も危険の多い国々のリストに入っている。
 そのため、2014年後半に全国各地にいる全ての児童労働者に関する統計をとり、長期的な発展計画実行のために利用する旨、ILOミャンマー事務所の連絡調整官Steve Marshall氏が2013年後半に述べている。
 発展計画を通して教育計画を長期的に実行し、児童労働者を保護するために計画されたのである。
 そのため、目下のところ、児童労働者たちが教育機会から遠ざかっているという状況がまだ見られる。
 移動教育プログラムの責任者のドー・キンメーメーエーは、「人が笑うようになるには、教育は重要な分野である。学位をとって初めて笑えるということではない。初歩的なところでは、自分の名前一つ書けるようになるだけで笑えるのだ」と話している。
 教育省は児童労働者のための学校外授業を開いているが、職場で教育を施せるような学校がより必要とされている。
 政府の教育改革は費用と人手が必要なため基礎教育の学校だけを対象としている。そのため、児童労働者の再教育機会を支援しているのは社会組織が最も多くなっている。
 ヤンゴン市でも、自動車を利用した移動学校と喫茶店が100人超の子供のウェイターを対象に、学年別に3クラスに分けて授業を行っている。バゴー山地の木材伐採キャンプでは、定住していない児童労働者に教育省学校外教育部が付き添って授業しているが数はまだ少ない。
 現在、仕事場で授業を行うという教育の思想がさらに望まれている。雇用者の教育についての関心が必要である。
 児童労働者に勉強を教えている人には、児童労働者に教育を継続的に受けたいという気持ちを起こすことが大切であると言う者もいる。「勉強できたら何が特別なの?」と言う子供たちの気持ちを満たしてやる必要があると強調する。
 国際組織に子供の権利について助言をしている人は、「勉強できたら何が特別かという質問には、特別だと言う内容を示してやることが必要だ。勉強できる子供を雇用者がひいきしているか、勤務時間中にきちんと働かずに怠けていると思うか、これらを言わなくてはいけない」と本誌に話した。
 学校教育と異なる点は、児童労働者への教育では児童労働者の生活の実情について理解のある人があらゆる方法を採り、時間をかけて教えなければならない。勉強を継続する意欲を起こせるように配慮し手間をつくさなければならない。
 移動教育プログラムで勉強しているウェイターは、「私は24歳になった。以前勉強したことは忘れているので、今は基礎教育から勉強しなおしている」と話す。
 基礎クラスを受けている14人近くのウェイターの中で、彼は最年長者のようであるが、10歳そこそこの子供たちと共に学ぶことが向学心をさらに燃えさせる。
 夜8時過ぎにミャンマー語の先生が授業終了と叫んでも住んでいる寮にすぐに帰らず、授業をしてくれた先生の荷物を私が私が、というように奪い合い車の上に載せてあげていた。
 学校に通っていたときの教室の雰囲気をつい思い返していた。親しい師弟関係が学校の感覚をさらに懐かしくする。
 この夜間学生のためにドー・キンメーメーエーは「彼らの人生すべてが喫茶店だけで送られるわけではない。国が発展した暁にはここでの教育が助けとなる」と激励の言葉を述べた。
                                                 (レーイェーミィン)


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翻訳者:吉野恵
記事ID:647