インドネシア政府、メッカ巡礼予定者に中東呼吸器症候群(MERS)についてのパンフレット配布

2014年05月12日付 Kompas 紙
サウジアラビアの国民はウイルスの広がりを懸念している。
サウジアラビアの国民はウイルスの広がりを懸念している。
ジャカルタ、kompas.com配信
インドネシア政府は、イスラム教徒のウムロ巡礼者(メッカへの小巡礼者*)に対して、中東呼吸器症候群(MERS:マーズ)コロナ・ウィルスの危険性についての周知を始めた。広報活動は、インドネシア保健省の用意したパンフレットの配布を通して進められる。

アグン・ラクソノ国民福祉担当調整大臣は去る5月8日、「私はすでに保健省から、ウムロ巡礼者に向けて、パンフレットのようなより分かりやすいかたちのもの(警告)があるという報告を受けている」と、大統領官邸にて述べた。

アグン調整大臣によると、政府はこのような広報活動を行ってはいるものの、これまでとかわりなく巡礼者に対し、聖地メッカへの出発を延期するように呼びかけている。なぜなら、ヒト同士の直接的接触とラクダを介した接触のどちらからも伝染するとみられているコロナウイルスに効果のあるワクチンはいまだに存在しないからである。

「私たちはまだMERSの原因が何であるのか分かっていない。ラクダなのかどうなのかは。もしどうしてもサウジアラビアへ行くならば、人ごみを避けた方が良いし、ラクダには乗ってはならない」とアグン調整大臣は語った。また、アグン調整大臣によると、インドネシアでのMERSウイルスによる犠牲者は現在までのところまだ1人である。

一方でアグン調整大臣は、スマトラ島北部に、この致死性の高いウイルスに感染した疑いがあり、未だ観察段階にある別の患者が2人いると述べた。アグン調整大臣によると、政府は5月9日には、二人の患者がMERSに感染しているか否かの確認が取れる予定である。
2012年にサウジアラビアで初めて確認されて以来、現在に至るまでMERSは100人以上の命を奪ってきた。MERSの原因であるコロナ・ウイルスは悪性度が高く、人を死に至らしめることもある。


細菌が原因となる一般的な呼吸器疾患とは異なり、MERSウイルスの繁殖するスピードは非常に速い。このウイルスは数時間の間に、肺の損傷を引き起こす。また、炎症が広がった場合、肺機能の低下につながる。

*ウムロ=小巡礼(通常の巡礼に対して、巡礼月以外の期間に行うメッカ参詣)


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翻訳者:原澤美里
記事ID:708