ジョコ氏との会談後、プラボウォ氏が長文のメッセージをフェイスブックで公開

2014年10月18日付 Kompas 紙
去る17日、大統領選で戦ったプラボウォ・グリンドラ党党首のもとを訪れたジョコ次期大統領。ジョコ氏はプラボウォ氏を来る20日の大統領就任式に招いた。
去る17日、大統領選で戦ったプラボウォ・グリンドラ党党首のもとを訪れたジョコ次期大統領。ジョコ氏はプラボウォ氏を来る20日の大統領就任式に招いた。
 ジャカルタ、kompas.com配信
 2014年大統領選の候補者であったプラボウォ・スビアント氏とジョコ・ウィドド次期大統領が去る17日朝、会談した。両者が会見し、ともに姿を現したことはさまざまな意味合いをもって受け止められる出来事となった。

 この会見ののち、プラボウォ氏はフェイスブックを通じて支持者たちに向けて長文のメッセージを掲載した。文中でプラボウォ氏は、国家の統一やそのほかもろもろの、2014年の大統領選以降置き去りになっていたものの重要性について言及した。
上述の長いメッセージの中には、プラボウォ氏のジョコ氏との会談の要点も盛り込まれている。若干の編集上の修正はあるものの、以下がプラボウォ氏のメッセージの全文である。

 親愛なる諸君、

 我々が悪しき制度に裏切られたことにより、諸君の多くがいまだ結果を受け入れられず、いまだ傷ついていることを私は知っている。しかしこのことは、われわれが国民の間に分裂をもたらすべきだということを意味しているわけではない。

 諸君も知っての通り、私は政治活動を行う中で、常に民族統一とインドネシア共和国の成功を重視している。インドネシアの分裂を常に望む特定の国々が存在することを私は理解している。他国の中には、自らの国にインドネシア国民が依存し続けることを望む国々もある。それゆえに私は国家の統一を守りたいと思う。

 深い思いを巡らせて、私は闘争民主党と彼らの連立政党の側にも、愛国者や、民族や自国、そして自国民を愛する祖国の子らが、なおも多くいることを見てとった。だからこそ私は、建国五原則パンチャシラ、完全無垢な1945年憲法、強く、公正で、健やかな、そして我々自身の足で立ち、多様性の中の統一が体現された、サバンからムラウケまでの統一国家インドネシアという、我々が固く守る価値のために闘い続けることを選んだのだ。

 私はこうした価値のために闘い続けていくつもりであるが、枠組みにおいては、インドネシア民族同士の分裂が起こらないように常に注意しなくてはならない。われわれは、政治闘争においてわれわれと意見を異にする側が即座に、またかならずしもわれわれの敵になるわけではない、ということを覚えておかなければならない。

 当初から述べているように、ライバルはまた、我々の同胞でもある。確かに憎悪や偏見、貪欲さ、妬み、そして不正の精神にあふれた者もいるだろう。しかし忘れないでほしい、私は当初から私の周囲や支持者の方々、親愛なる友たちに対して、私が心底求めているのは、一人の騎士として、一人の勇士としての精神をもつことであると提言していることを。もし憎悪や誹謗中傷をまき散らす者がいても、それはわれわれが同じ態度で報復を行わなければならないことを意味するのではない。中傷に中傷で報いることなかれ、憎悪に憎悪で報いることなかれ。マハーバーラタの物語に登場するクラワたちのように、自分本位の行動をしてはならないのだ。

 これこそが私の姿勢であり、それゆえに私は今現在、私が歩もうとしている道を選んだのだ。それはわれわれの真価や闘争を貶めることを意味するのではない。我々が正しいと感じれば感じるほど、我々は他者や他の立場を喜んで尊重しなければならない。もし他者が我々を尊重すれば、我々もその者を尊重する。それどころか、もし彼らが我々を尊重しない場合でも、我々が彼らを尊重し続けることは決して間違いではない。

 私はすべての支持者諸君にこのことを理解していただくようお願いしたい。私は諸君の一部がまだ私の姿勢を受け入れられないことを理解している。しかし、信じてほしい。兵士や戦士は強くなければならないし、常に良い道、そして正しい道を選ばなければならないのだ。可能な限り暴力を避けなければならない。敵対関係と憎悪を遠ざけなければならないのだ。

私はすべての支持者の方々にこのことを理解していただくようお願いしたい。私は諸君の一部がまだ私の姿勢を受け入れられないことを理解している。しかし、信じてほしい。勇士というもの、騎士というものは屈強であるべきで、常に良い道、そして正しい道を選ばなければならないのだ。可能な限り暴力を避けなければならない。敵対関係と憎悪を遠ざけなければならないのだ。

諸君、われわれは臆病者なのではない。若かりし頃から私はインドネシア国軍の兵士として生きてきた。私は何度も軍事作戦に関与し、祖国の敵との銃撃戦に加わった。私は暴力というものが何たるかを理解している。それゆえに私は真の指導者、責任のある指導者が常に穏健な道を選択しなければならないことに気付いたのである。ましてや我々の愛する国家の権益と保全を守るためである場合には。

 諸君、われわれは闘う姿勢であり続け、そして愛国者であり続けなければならない。あらゆる可能性に対処できるように備えなければならない。尊重することは降伏することと同義ではない。われわれが礼儀正しくいることは我々が闘争を捨てたということを意味するのではない。しかしながら、われわれは常に平安で最善の道を探すことに努めなければならない。我々は常に博愛と友好を最優先させなければならない。

 もし、われわれの全努力がいつの日か、われわれの信頼や理想、民族や国民の権益に関する信念に適った成果を挙げられないことが続いたとしたら、もし、インドネシア民族が脅かされたとしたら、もし、民族の富が他民族から何度も奪われたら、もし、われわれが国民意識を築くためにもはや尽くせる力を尽くしたならば、愛国者、そして祖国の勇士として情勢に応じた行動をとることをためらってはいけない。

 もう一度、親友であり、わたしを支持する諸君にお伝えしたい。われわれは強気であり続けよう。自らを鍛錬しよう、我々の仲間を増やそう。われわれを取り巻く全てに確信を与え、国民意識を高めるのだ。かつて、スカルノ元大統領が建国の祖たちと共に独立闘争を行った時、彼らも何十年もの間、国民意識を呼び起こさなければならなかった。今、我々もインドネシアの分裂、ぜい弱さ、そして自らの国への依存を常に望む他国によってわれわれが脅かされているという国民意識を呼び覚まさなければならない。

 親愛なるジョコ・ウィドド氏との会見で、ジョコ・ウィドド氏がその心のもっとも深いところにおいて一人の愛国者であると実感したということを、私はジョコ氏に伝えた。彼はインドネシアの最善を望んでいる。だからこそ、私は我々の先祖代々の文化的教えに倣って、彼と親交を深めることを選んだのだ。

 ましてや、私が信仰するイスラム教は、親交を結び、それを大切にすることは、偏見や疑い、ましてや嫌悪感や敵対関係の罠などにはまってしまうことと比べて、はるかに尊く、有益であると教えている。火では火を消すことができないように、嫌悪や中傷には、気高い騎士の精神で応じよう。中傷されればされるほど、侮辱されればされるほど、われわれはますます強くなる。

 親愛なる諸君にお願いしたい。私のこの選択を疑わないでいただきたい。私が騎士精神からはずれた姿勢をとるような後押しはしないでもらいたい。私が自らの闘争から身を引くのだと思わないでいただきたい。

 ジョコ・ウィドド氏にも、私の闘争は1945年8月18日に誕生した1945年憲法を守り、統一国家インドネシアを保全し、安全で、平安で、強靭で、公正で、繁栄し、そして健やかな多様性の中の統一を実現した民族を築き上げることである、とすでにお伝えした。彼も、それが彼自身の務めでもあると述べていた。さらに私は、彼の政権統治の過程で、国民に利益をもたらさない政策、ましてや建国五原則パンチャシラや1945年憲法を侵害するような政策が現れた時には、我々は政府に対して、ためらわず批判をするとも伝えた。彼はこのことをよく受け止め、さらにいつか、私の意見や見解を求めるために私を招くこともあるだろうと述べていた。

 諸君に感謝する。たとえどこにいようとも諸君は私の親友だ。

 ワッサラームアライクム。

 インドネシアに栄光あれ。

 プラボウォ・スビアント、2014年10月17日

 プラボウォ氏とジョコ氏の会談は、プラボウォ氏が所有する家のひとつである南ジャカルタの自宅で行われた。一時は実現不可能と考えられていた両者の会見は、わずか12時間にも及ばないお膳立てが功を奏して実現した(注釈1)。

注釈1)同日のコンパス紙によると、この会見は旧交を持つ闘争民主党のアリア・ビマ氏とグリンドラ党のエディ・スビアント氏両者のお膳立てによって、急展開のうちに実現した。
http://nasional.kompas.com/read/2014/10/17/19402311/Pesan.Tak.Sampai.di.Balik.Pertemuan.Prabowo.dan.Jokowi.


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翻訳者:池山由季美
記事ID:1069