「勤労内閣」の「女傑」8名に高い評価

2014年10月27日付 Kompas 紙
ジョコ-カラ正副大統領によって任命された「勤労内閣」閣僚。26日、大統領官邸にて
ジョコ-カラ正副大統領によって任命された「勤労内閣」閣僚。26日、大統領官邸にて
 ジャカルタ、kompas.com配信
 さる10月26日の夕方、中央ジャカルタの大統領官邸にてジョコ・ウィドド大統領は34名の閣僚を正式発表した。うち8名の顔ぶれは女性、つまり「スリカンディ」(マハーバーラタに登場する英雄アルジュナの妻のひとりで、弓の名手。女傑の代名詞)である。
閣僚となった8名の「女傑」のうちレトノ・レスタリ・プリアンサリ・マルスディ氏はインドネシア共和国外務大臣に就任した初の女性となった。
 
 次にヨハナ・スサナ・イェンビセ氏は女性地位向上・児童保護大臣に任命され、パプア出身女性初の大臣となった。

 レトノ氏は1962年11月27日にスマランで生まれ、ガジャマダ大学国際関係学部の学士課程を3年10ヶ月で卒業した。ハーグ高等専門学校EU法学科の修士号を取得したレトノ氏は、建築家のアグス・マルスディと結婚しディヨタ・マルスディとバガス・マルスディの2子を授かった。1986年に外務省に入省したレトノ氏は、これまで駐オランダ・インドネシア共和国大使を務めてきた。レトノ氏は2008年4月から2012年1月にかけて、インドネシア共和国外務省欧米地域担当局長として欧米87カ国とインドネシアとの関係調整にも尽力した。
 
 いっぽう、ヨハナ・スサナ・イェンビセ氏は1958年10月1日にパプアのマノクワリで生まれ、1984年にはインドネシア青年委員会(KNPI)パニアイ県支部の副委員長となった。ヨハナ氏は様々な分野において数百の賞を受賞している。その一つとして、 インドネシア共和国教育文化省1981-1982年度模範学生の選考を通過したことを示す表彰状を受け取ったことが挙げられる。それだけでなく、ヨハナ氏は学生時代よりインドネシア-カナダ青少年交流の参加者のひとりであった。ヨハナ氏はパプア代表に選出されインドネシアの若者達と共にカナダへ行ったこともある。

 レトノ氏とヨハナ氏の2014-2019年度勤労内閣入閣について、政治評論家でありインドネシア科学院(LIPI)の主任研究員であるシティ・ズフロ教授はこのことを好意的に受け止めている。
「私はもちろん嬉しい。というのもこの度やっと女性閣僚の比率が23パーセントに達し、30パーセントに迫ったからだ。これは立法府における女性の比率に近づいている」と、アンタラ通信によるとシティ教授は語っている。
 
 シティ教授は、これまで男性が指揮していた省の大臣職に8名の女性を選んだジョコ大統領の決断を評価している。
「ふつう女性というのは、女性と子どもの問題に関連した省の大臣を任されるのみ。しかし今回はスシ・プジアストゥティ氏が海洋・水産大臣となり、シティ・ヌルバヤ氏が森林環境大臣となり、そしてレトノ・レスタリ・プリアンサリ・マルスディ氏は女性初の外務大臣となった」とシティ教授は述べた。
 
 インドネシア科学院での職務に身を捧げるひとりの女性としてシティ教授は、「勤労内閣」の女性たちの能力が今後5年間ジョコ-カラ正副大統領が舵を取る政権の進路によい影響を与えるだろうと評価している。
「女性の感受性は男性と比べはるかに高い。そして女性というのはなにをするにおいても男性よりはるかに繊細で、そしていつも良心に従う。これらのことこそが物事の主導において女性の長所となる」とシティ教授は述べた。

 女性と汚職

 シティ教授は、ヨーロッパで90年代に行われたある調査が、行政機関の要職への女性の配置は汚職の抑制、あるいは減少に効果があるということを示しているという。
「前政権の立法府には汚職にかかわった女性議員が何名かいた。このことは間接的に女性の評価を貶めた。それゆえ私はこの女傑たちの入閣がこの国の汚職を抑えてくれることを期待する」とシティ教授は語った。

 女性の勤労内閣入閣は特定の専門性や能力のみによって決定されたのではない。彼女たちの存在がこれまで大臣職が男性に優先されていたことへの突破口を開くとも考えられたのだとシティ教授は説明する。

「女性は、女性の性質に見合ったリーダーシップを発揮するべき。すなわち彼女たちの仕事は細かく、真剣で、そして心がこもっているに違いない。そしてそれは大統領によって任された職務にも良い形で反映されなければならない」

 シティ教授は、汚職に関わった立法府の女性議員が残した悪いイメージの中にあって、先述の女性大臣たちが模範となる必要があると続けた。
 
 さらにシティ教授は、レトノ氏が外務大臣に就任する初の女性となったことは、地域フォーラムそして国際フォーラムにおけるインドネシアの役割を高めることができると期待されていると続けた。
「新外相はいま、国際社会のインドネシアへの信頼を獲得し、インドネシアは現代の諸課題に立ち向かう覚悟があるのだということを示さなくてはならない。とりわけアセアン地域において、私たちは来年のアセアン経済統合を生半可な態度で迎えるべきではない」とシティ教授は述べた。
 
 いっぽうシティ氏は、パプア出身で初の女性、すなわち大学教授の称号を有し女性地位向上・児童保護相となったヨハナ・スサナ・イェンビセ氏の入閣は、インドネシア東部地域とくにパプアでの女性地位向上にとって明るい未来の象徴となったと語る。
「今こそ彼女たち、つまり選ばれた女性たちが国への貢献と献身を示す時。きょう彼女たちは招かれ、白い服を着ていたが、私の考えではそれはカムフラージュなどではなく、彼女たちが国のために誠実に働くという清廉な意志を持っている証なのだ」とシティ教授は述べた。


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翻訳者:牛上皓右
記事ID:1086