ジョコウィ―ユフス・カラの1年、理想と現実の間で

2015年10月20日付 Kompas 紙
大統領官邸にてユフス・カラ副大統領と大量輸送システムについて議論するジョコ・ウィドド大統領
大統領官邸にてユフス・カラ副大統領と大量輸送システムについて議論するジョコ・ウィドド大統領
ジャカルタ、KOMPAS.com配信
 本日2015年10月20日、ジョコ・ウィドドとユフス・カラの政権は発足からちょうど1年を迎えた。ジョコ大統領とユフス・カラが組閣した勤労内閣はさまざまな野心的目標をもって始動した。「働け、働け、働け」というスローガンも、その全ての目標を追求すべく定められた。
 例えば経済分野においては3年以内に7%の成長を遂げるという目標を設定した。2015年1月にはジョコ大統領が、経済成長目標は2015年の間に5.8%を達成できると表明した。
 その野心的な目標には到達できないままだ。2015年の4期中、第1期と第2期で経済成長率は5%に届かず、4.71%から4.67%の範囲内に留まっている。目標は達成されていないが、ジョコ大統領はあきらめていない。大統領は前向きな姿勢を強調するどころか、経済成長率が9月から年末までに急上昇すると主張している。
 「9月10月に少し上昇を始め、ほら、11月ちょうどにはこのようになり得るさ」と手を上に指し示して、ジョコ大統領は去る8月5日に語った。
経済問題のみならず、政治問題においてもしばしばジョコ大統領は前言撤回を強いられることがある。選挙運動の際、ジョコ大統領は彼が結成する予定の内閣は政党による議席の配分を廃止すると言い続けた。ジョコ大統領のこの発言は各方面に、ジョコ大統領が政党の誘惑に耐えられるだろうかと疑問を抱かせた。
 組閣の際には、政党に所属する、あるいは政党と連携する者が配置されている印象があった。そのことは検事総長に国民民主党のメンバーであるMH・プラスティヨ氏が、国家警察長官に闘争民主党総裁メガワティスカルノプトリの元補佐官であったブディ・グナワンが、国家諜報機関長官には当時インドネシア正義団結党(PKPI)のトップだったスティヨソ氏が任命されるに及んだ。
 ジョコ大統領が、とりわけ支持政党である開発統一党の主要メンバーで埋め尽くされた大統領諮問委員会を組織したときには、政党からカラ副大統領の支援団体にいたるまで(特定のグループが)優遇されているムードが強くあった。

 その他に、食糧主権分野での問題もある。ジョコ大統領は、ベトナム大統領に話しかけられ、いつインドネシアがベトナムから再び米を輸入するのか聞かれた際に、彼がいかに恥ずかしかったかという話を何度も繰り返した。
 その談話において、ジョコ大統領は米の輸入はせず、3年間の米の自給目標を定めたと言明した。しかし実際のところ、エルニーニョ現象は長期化し、多くの農家では不作が続いている。また、乾季は今後、12月まで続くことが予想されている。政府は国の需要を満たすためにも米の輸入という選択肢を持たざるを得ず、その輸入国のひとつにはベトナムが挙げられることになるだろう。
 ジョコウィ政権が始動して1年、ジョコウィ政治のコミュニケーションパターンは批判されてきた。演説とは一致しない現実は大衆の信用を揺るがした。20日、ポル・トラッキング政治調査機関の批評家アグン・バスコロ氏が本紙の取材に対してこのように答えた。 
「ジョコ大統領が国のトップ、政府のトップ、国の最高位の象徴であることを鑑みた場合、このような政治的コミュニケーションパターンは不適切である。つまり、ジョコ大統領は今から、繰り返し大衆を失望させることのないよう、より現実的になる必要があるということだ」とアグン氏は述べた。
 アグン氏によると、現実的であるとは、ジョコ大統領がこれほどにも動的な国内の政治社会状況や、いまだにインドネシアに強い影響を与えている外圧をはかりにかけるあまり、約束を守らなかったり無責任な発言をするということではない。
 「この点において現実的な目標を定め、達成することができたなら、そのときこそ大衆における政府に対するイメージはゆるやかに改善し、大統領の正当性はすぐにも回復し得る」とアグン氏は述べた。


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翻訳者:安藤 友希
記事ID:1914