「レフォルマシ」から20年、刑事司法改革研究所:「表現の自由は未だ危機的状況」

2018年05月23日付 Kompas 紙

ジャカルタ、kompas.com 配信

刑事司法改革研究所(ICJR)の研究者であるサスティラ・ディルガ氏は、インドネシアにおける表現の自由は二十年間「レフォルマシ(改革)」が進んできたにも関わらず、未だに不透明で危機的状況にあると思われると述べた。

同研究所は、革命時代のインドネシアにおける表現の自由に関する法的侵害の報告の多さを根拠に、そのように述べた。

「ICJRの調査によると、表現の自由に関する告発は未だに脅威を持つ」とディルガ氏は5月22日、ジャカルタのLBH出版社での‘改革二十年の記録:団結、表現、思想及び情報の自由は未だ危機に瀕する’という議題の討論中に述べた。


同氏はよくある告発には、表現の自由が情報・電子商取引法に反するという口実が伴うと説明する。

「誹謗中傷に関する告発は、2015年と比較して2倍に増加している。2017年には情報・電子商取引法を根拠として少なくとも49件の告発があった」と同氏は述べた。

同氏によると、情報・電子商取引法以外にしばしば用いられ、表現の自由の脅威となる法律は刑法だ。

同氏はさらに、刑法の侮辱に関する条項も批判の封殺のために用いられる、と付け加えた。その侮辱に関する規則もまた、強制されている印象がある。

「ブディ・ペゴと言う名前で知られるヘリ・ブディアワン氏の事件がそのうちの一つだ。ブディアワン氏はバニュワンギ県の環境保護活動家であったが、共産主義やマルクス主義の思想の普及拡大に関する条項を基に脅かされた」とディルガ氏は述べた。

また、同氏によると、以前テルナテ島でアドゥルン・フィクリ氏が陥れられた事例があった。フィクリ氏は運転手から賄賂を受け取った疑いがもたれる交通警察官の動画をアップロードしている。

しかしその後、同氏は着ていたTシャツが原因で共産主義もしくはマルクス主義を広めた疑いで取り調べを受けた。



「フィクリ氏は『PKI, Pecinta Kopi Indonesia (インドネシアコーヒー愛好家) 注釈1』と書かれたTシャツを着ており、共産主義拡大という観点で通報された」とディルガ氏は述べた。

その他の表現の自由を脅かす法律の幾つかは国家転覆罪に関するものであるとディルガ氏は言った。

ICJRは、まだ攻撃を実行してはいないと考えられる人物に対して適用された国家転覆罪の規定用法に焦点を当てる。国家転覆罪の定義は、攻撃が行われたことを条件とするオランダの法規定から取り入れたためである。

「2017年ICJRは上述の国家転覆罪の規定に関する公正な見直しを提案する機会があった。本来、国家転覆罪の条文はオランダ語の 'aanval' に由来し、攻撃行為の実行と翻訳される」とディルガ氏は述べる。


2016年のICJRの研究によると、すでに改定された15の国家転覆罪の規定があるが、制圧的に政治表現を標的としていると同氏は話す。

「南マルクの記念日のビデオを保存しただけで国家転覆罪の規定に脅かされたステパヌス・タハパリー氏(通称ステフィ)の事例のようだ」とディルガ氏は語る。

その他にも、ICJRは“ゾンビ規定”に焦点を当てる。ゾンビ規定とは、現在国民議会で未だに手続きが進行中である刑法典案作成において、憲法裁判所が中止したものの再び討議されている規定である。

上述の規定は大統領と副大統領、または政府に対する侮辱にも関わる。

「以前に憲法裁判所によって無効とされたはずであるのに、いまさら復活する憲法違反に関する刑法があるということだ」とディルガ氏は述べた。

*Partai Komunis Indonesia (インドネシア共産党)の略称。1965年非合法化。本文ではPencinta Kopi Indonesiaにかけられている。


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翻訳者:張山萌恵
記事ID:4361