首都移転計画による、ジャカルタの行く末

2019年04月30日付 Kompas 紙
ジャカルタ市内ガトット・スブロト通り
ジャカルタ市内ガトット・スブロト通り



ジャカルタ、kompas.com配信

ジョコ・ウィドド・インドネシア共和国大統領は、首都をジャワ島外へと移転することを閣議決定した。

去る4月29日、ジャカルタの大統領官邸内大統領執務室での関係閣僚会合において、ジョコ大統領により遷都が決定された。

インドネシア国家開発企画庁(Bappenas)のバンバン・ブロジョヌゴロ長官は、ジョコ大統領が首都機能のジャワ島外への移転を計画していることについて述べている。

「先の会合において大統領は第3の選択肢、即ちジャワ島の外への遷都を選び、昨今下された中でもとりわけ大きな決断と言えるだろう」と同長官は語った。

同長官によると、ジョコ大統領による策定の背景には、インドネシアの発展のジャワ島中心的な傾向からの脱却への考慮があるという。各地域での足並みの揃った経済成長が起こることが先に見据えられている。



「ジャカルタの開発が止まることはない」


アニス・バスウェダン・ジャカルタ首都特別州知事は、首都移転計画によって同特別州の開発事業が止まることはないと明言した。ジャカルタが抱える問題を解消すべく、開発は今後も継続されるとしている。

去る4月29日の大統領官邸での会合を終え、アニス知事は「先の会合でも伝えたが、政府機能がジャカルタにあろうとなかろうと、ジャカルタが直面する問題は当然解決されなければならない」と述べた。

「生活環境支援、浄水の確保、大気汚染の防止、ゴミ処理問題、交通問題は我われが取り組むべき課題だ」とアニス知事は述べた。

アニス知事によると、ジャワ島外への首都機能移転計画に関わらずジャカルタの開発を継続することについてジョコ大統領も合意し、会談内でも言明している。

「つまり、先の会談にて、この度の遷都についての協議はジャカルタでの大規模開発計画には繋がりはないことをジョコ大統領は確かに述べ、これら計画は今後も推進されることとなる」と同知事は語った。


「ジャカルタの抱える問題は減少しない」


ジャカルタからの首都機能移転が起こったとしても、ジャカルタの抱える諸問題は減らないとアニス知事は続ける。

同知事は「ジャカルタの諸問題が解決されるべきことに変わりはなく、我々(ジャカルタ首都特別州)政府一同、今後も(州政府の)大規模開発計画を変わらず推し進めるべく、全力を挙げることを約束する」と去る4月29日に述べた。

先の閣議では、ジョコ大統領並びに閣僚は政府行政機能に限定された移転であることが言明された。

もっとも、経済・商業活動から銀行業界に至るまで、このような大変革の経験はない。

「各省庁の持つ行政機能のみが移転することとなる。即ち経済活動が転出するわけではなく、そのほかの諸々もジャカルタに残留する」とアニス知事は語る。

「ジャカルタは依然として渋滞する」

アニス知事は、首都移転計画がジャカルタにおける渋滞を緩和しないとみている。

「首都移転は自然と渋滞を緩和することにはならない。ジャカルタの渋滞の要因となっているのは市民の日々の移動や民間の経済活動であり、政府活動によるものではないからだ」と述べた。

アニス知事は、ジャカルタにおける道路交通の利用は市民・民業・行政の3要素により成り立っているとしている。

首都が移転された場合でも、政府機関のみの移転にとどまるためジャカルタでの渋滞に好影響を与えることはないだろうと同知事は見込んでいる。

「記録によるとジャカルタに登記されている自家用車は1700万台前後であり、一方で公用車は14万1千台程度でしかない。遷都によって渋滞が解消するには至らないし、自家用車を利用する国家公務員の割合を数えても我々の勘定では全体の8から9%ほどだ」と同知事は語った。

アニス知事は、首都移転の最大の目的は人口の遍在化と各地の経済発展の均衡であり、交通渋滞緩和ではないとしている。

「政府機関がジャカルタからなくなったところで、渋滞解消のハードルは依然高いままだ」と同知事は述べた。


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翻訳者:奥野 叡
記事ID:4757