政党か、国民か? -評論家が語る「大統領の直面する試練」

2019年10月09日付 Kompas 紙
去る10月1日、1965年のクーデター未遂「9・30事件」の鎮圧を記念する「聖なるパンチャシラの日」の式典を代表しパンチャシラ記念碑にて敬礼を行うウィドド大統領。
去る10月1日、1965年のクーデター未遂「9・30事件」の鎮圧を記念する「聖なるパンチャシラの日」の式典を代表しパンチャシラ記念碑にて敬礼を行うウィドド大統領。

ジャカルタ、kompas.com 配信

インドネシアの政策系シンクタンク「インドネシア政治指標」のアディ・プライノ専務取締役は、ジョコ・ウィドド大統領は政党に耳を傾けるか、国民の声に従うかの強烈なジレンマに陥っている真っただ中であると述べた。
ジョコ大統領を擁立する最大与党・闘争民主党が、汚職撲滅法改正案を代替する政令のウィドド大統領による発布を拒否する姿勢を明確にしていることが理由だ。

一方、反汚職を掲げる活動家や学生の率いる世論は、同改正案を政令発布によりウィドド大統領が撤廃することを要求し続けている。
プライノ専務は本紙(コンパス紙)の取材に対し、「汚職撲滅法改正案に関し闘争民主党などの与党に迎合するか、世論に耳を傾けるか、非常に困難な選択だ。ジョコ大統領は強烈なジレンマの最中である。」と去る10月8日に語っている。
当然、ジョコ大統領にとって相反する二者の択一となることは困難を伴う。
闘争民主党に従うことを選んだ場合、ウィドド大統領が活動家をはじめ世間広くからの強い逆風に晒されることは不可避である。

反対に、ウィドド大統領が政令発布を断行した場合、与党を始め長きにわたって同大統領を支えてきた政党と真っ向から対峙することとなる。
「これは大統領にとって試練である。政党か、それとも国民か。どちらかである」とプライノ専務は述べる。
シャリフ・ヒダヤトゥラー国立イスラーム大学にて政策評論家も務める同専務は、ウィドド大統領が汚職撲滅法改正案を代替する政令について現在も与党各党と解決策を模索すべく折衝を続けていることもあり得るとしている。

「ジョコ大統領は、同改正案に代わる政令に関する理想的な合意点をめぐり、支持政党と再び交渉しているようだ。複雑さ、慎重さを極めているのが実情である」とプライノ専務は語った。

国会において闘争民主党は、汚職撲滅法改正案の撤廃を目的とし代替する政令をウィドド大統領が発布した場合にそれを拒否することを確言していることが報じられている。
このことは、国会立法府の闘争民主党に属するヘンドラワン・スプラティクノ議員により伝えられている。
同議員は、闘争民主党の公式見解としては、憲法裁判所での司法審査・法的検討を通して汚職撲滅法改正案の議論の解決を図るものである、と述べた。

「我々闘争民主党の見方としては、通例通り司法審査・法的検討を経ることがベターである」と、スプラティクノ議員は去る10月8日に本紙の取材に対し語っている。


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翻訳者:奥野叡
記事ID:4933