国家人権委員会理事、過去の人権侵害事例を教育課程に盛り込むようナディム教育相に要請

2019年12月04日付 Kompas 紙
コイルル・アナム国家人権委員会理事
コイルル・アナム国家人権委員会理事

ジャカルタ、kompas.com配信

コイルル・アナム国家人権委員会理事は、教育課程に過去の重大な人権侵害の事例を盛り込むようナディム・マカリム教育文化大臣に要請した。

「教育課程に重大な人権侵害の事例を取り入れるのには利点がある。私たちは暗い過去を経験したことを人々が知ることができるためにだ。」と去る12月4日、コイルル国家人権委員会理事はKOMPAS実施の国家人権委員会についての世論調査結果発表記者会見において述べた。

同氏がそのように述べた理由は、コンパス紙実施の国家人権委員会についての世論調査が、22歳未満の投票者はインドネシアにおける過去に発生した重大な人権侵害の事例を知らないということを示したためだ。


1997-98年の活動家誘拐事件に始まり、1998年の五月暴動、トリサクティ*1やスマンギ*2での事件、1982-85年の謎の銃殺事件、そして1965年の事件*3までに至る事件は、平均して50%もの22歳以下(Z世代*4)の回答者が、これらの事件について知らないと答えた。

「事件は未解決であると答えた者も多くあった。しかし、その割合は50%以下である。事件に関する無知、あるいは事件は解決したかどうかについての回答の割合は、我々には責任があるということを明らかにしている。特に教事件育文化大臣は人権教育を社会に広めなければいけない」とチョイルル氏は述べた。


調査によると、1965年の(9.30)事件について、Z世代の49.1%は知らない、39.6%はあまりよく知らない、11.3%はよく知っていると回答した。

1982年から1985年の間に発生した「謎の銃撃事件※5」について、Z世代の58.5%の人が事件を知らないと言い、37.7%の人がまだ解決していない、11.3%の人がすでに解決したと述べた。
続いて1998年のトリサクティ・スマンギ事件については、Z世代の49.1%が知らないと答え、43.4%があまりよく知らない、7.5%がよく知っていると回答した。

1997-1998年の活動家誘拐事件については、回答者であるZ世代の49.1%がその事件について知らず、47.2%がまだ事件は解明されていないと答え、3.8%がすでに解決済みだと答えた。

一方、1998年のジャカルタ5月暴動に関しては、Z世代の52.8%が事件について知らない、41.5%がまだ解決していない、5.7%が既に解決済みであると回答した。

同氏は、「革新と寛容をもたらす教育だけではだめだ。基本的人権の文脈における真実を提供する教育も必要だ」と述べる。

「我々はこの闇が繰り返されないように見張るつもりだ。これは、幼稚園から高等教育まで含む教育省の課題であり、このケースが繰り返される事にならないような様々な方法論を考える。これはナディエム・マカリム氏にとっては試練になるだろう」と同氏は話した。

コンパス紙によるこの調査は2019年9月23日から同年10月4日まで行われた。回答者は1200人、集計誤差は2.8パーセントである。

調査はインドネシア にある34州にて、アンケートを使用した最大60分の対面形式でのインタビューによるものである。

※1.98年5月、スハルト退陣を要求してデモを行ったトリサクティ大学の学生に対して当局が実弾を発砲、6名の学生が死傷した。

※2.98年11月、国民協議会の召集に反対する学生や市民が当局と衝突。多数の死傷者を出した。

※3. 65年9月30日に起こった共産党のクーデター未遂とされる事件の後、200万人といわれる共産党員とその支持者らが粛清された。

※4. 1990年半ばから2000年前半にかけて生まれた世代。テクノロジーが台頭しつつある時代に育った世代でもある。

※5.80年代初頭ジャカルタとその近隣で体タトゥーを持つ者の銃殺死体が頻繁に発見された。社会の治安を乱す「ならず者」には制裁を加えると、当時のスハルト大統領は談話を発表し、当局による市民に対する見せしめ的行為であったことを暗に認めた。


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翻訳者:岡田亜里
記事ID:5072