ラマダン明けの帰省ができず、下宿先の屋上で礼拝する出稼ぎ労働者たち

2020年06月06日付 Kompas 紙
去る5月24日、屋上にてヒジュラ暦1441年のイドル・フィトリ(断食明け大祭)の礼拝を行う、中央ジャカルタ市パサールバル、ガンクリンチに住む出稼ぎ労働者たち。
去る5月24日、屋上にてヒジュラ暦1441年のイドル・フィトリ(断食明け大祭)の礼拝を行う、中央ジャカルタ市パサールバル、ガンクリンチに住む出稼ぎ労働者たち。
kompas.com配信
去る5月24日の朝、中央ジャカルタ市パサールバルのガンクリンチと呼ばれる居住区域に住む出稼ぎ労働者らは、下宿先の屋上にて、ヒジュラ暦1441年のラマダン明けの祝日「イドル・フィトリ(イード)」の礼拝を行っていた。

この出稼ぎ労働者たちは、西ジャワ州、中部ジャワ州、スラウェシ、スマトラのように様々な地域から出稼ぎに来ている。彼らはジャカルタ首都特別州で様々な仕事に就いている。

既述の出稼ぎ労働者は、新型コロナウイルスのパンデミックと、ジャカルタ首都特別州政府により適用された「大規模な社会的制限(PSBB)」の規則のため、故郷に帰省することができない。

この「イードの礼拝」には5人が加わり、うち一人がイマーム(礼拝の先導者)となり、ほかの一人が説教者を任された

そのイードの礼拝の方法は、インドネシア・ウラマー評議会(MUI)により出された、断食明けの礼拝は4人以上が参加する礼拝の場合は説教を行うという推奨に則ったものであった。


国営通信社アンタラに引用されたように、「30日間断食した後、イードの礼拝なしではイスラム教徒にとっていまひとつ物足りないものがある」と中部スラウェシ州パル市からの出稼ぎ労働者、ファウジ・ランボカ氏は述べた。

また同氏は、イードの礼拝は、空腹や欲望に耐えながら断食をし、それに打ち勝った祝いの至福の時であると述べた。


ファウジ氏によると、現在新型コロナウイルスが大流行し、ジャカルタ首都特別州で大規模な社会的制限(PSBB)が施行されているにも関わらず、彼らは政府の提言に基づいたイードの集団礼拝を行うことは依然として可能だという。

「政府は家で礼拝をするよう提言しているが、下宿部屋が小さいので私達は5人の信者が集まって礼拝で使うことができる場所を屋根の上に確保している」と語った。

3人の子どもを持つこの男性にとって、今年のラマダン明けの祝日は例年と大きく異なる。断食時の空腹や喉の渇き、欲望に耐えなければならないだけでなく、家族と共に故郷へ帰省することができないがために自我や願望を抑えなければならないのだ。

「無理に家族と一緒に故郷に帰れば、故郷で健康な人々に病気を移してしまうことに私たちは気づいた」と語る。
ファウジ氏は、今年のラマダンとイドル・フィトリは、自分自身と家族だけでなく、すべての人々の利益のために欲望と自我を抑えることを意味すると解釈している。

ファウジ氏はイドル・フィトリで説教者として任命された。 説教の中で同氏は、新型コロナウイルスのパンデミック真っ只中に行われるイードの礼拝の参加者に健康を維持し、清潔で健康的な生活を根付かせ、そして栄養価の高いものを食べるように、という政府の呼びかけを真に実行するよう呼びかけた

さらに、マスクを着け石鹸で手を洗い、引き続き礼拝や勉強、仕事は家で行う。

「イードの祈りと互いの挨拶を終えた後は、礼拝あるいはコーランとサラワット(祈りの際の口誦句)の朗読で私たちの家を照らし続け、悪魔の誘惑を遠ざけよう」と同氏は語る。

イドル・フィトリの礼拝は物理的な距離やマスクの着用、および握手をしないといった感染予防策を適用した上で、6時30分(西部インドネシア時間)に実施され、可能な限り効率的に時間を使った形で行われた。


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翻訳者:跡部しずか
記事ID:5306