チン特別区法によって軍政に対抗するミンダッ市

2021年05月19日付 その他 - ミャンマーナウ 紙
軍評議会が戒厳令を出したチン州南部ミンダッ市では激しい反撃が行われている(写真―CJ)
軍評議会が戒厳令を出したチン州南部ミンダッ市では激しい反撃が行われている(写真―CJ)
チン州南部ミンダッ市において激しい戦闘が再度発生し、本日(5月14日)、国民防衛部隊側が4人死亡、8人以上負傷し、軍評議会側で約5人死者が出た可能性があることがわかった。
・・・・・・・・・・・・・・

軍評議会の軍に対して頑強に抵抗、防衛していたチン州南部ミンダッ市を強く弾圧するため、クーデターを起こした軍評議会は戒厳令を出したが、チン特別区法によって対抗していくとミンダッ郡国民行政組織が述べた。
 ミンダッ郡に対し戒厳令を出したことを軍評議会が昨日(5月13日)発表した。国民行政組織も、どのような形の統治も有効でなく、自分たちの国民統治機関が完全に成り立っていることを昨日発表した。
 「私たちの国民行政組織は最初から設置してあった。法律的には、チンの伝統、チンの法律、チンの慣習によって進んでいく。保健分野、教育分野、開発委員会管轄分野を進めていく、治安、防衛委員会も組織済みだ」とミンダッ市国民行政組織のメンバーが本メディアに述べた。
 ミャンマーが独立を獲得した時に規定したチン特別区法(Chin Act)は現在まで有効であり、本法律を用いていくと述べた。
 「チン特別区法は廃止されておらず合法的なままだ。現在有効な法律がある。例えば、私たちの側で事件が起こり、原告と被告が裁判所に行ってからその件を引き続き明らかにしていくようなことかもしれない。そうでなければ、チンの習慣を用いて使者を派遣して議論するかもしれない」と先の国民行政組織のメンバーが述べた。
 同氏はまた、ミンダッ市における軍事独裁反対、市民的不服従運動(CDM)に参加している公務員は2000人近くいるため、行政統治機関の運営に支障はないことも述べた。

ミンダッでの戦闘が発生した理由
 軍評議会が4月24日に軍事独裁反対運動に参加した一部のミンダッ市住民を逮捕したことが紛争の最初であった。逮捕された人々を釈放するよう地元住民が請願したが、軍評議会は釈放しなかったので、軍評議会と地元住民との間で紛争が始まり拡大した。
 4月末に軍評議会と地元住民との間で4日にわたる戦闘が発生した。ミンダッに移動してきた軍評議会部隊を、地元住民は伝統的な先込め銃を使ってゲリラ戦方式により道の途中から奇襲した。
 この4日間の戦闘中に30人近くが負傷、死亡という酷い状況に陥った後、双方の拘束者を交換するため、軍評議会は4月27日に協議を始めた。その後、直接の戦闘によって逃げ道がなくなっていた軍評議会武装勢力20人と、逮捕されていたミンダッ住民である7人の若者が交換された。
 そのあと、ミンダッ市国民行政組織と軍評議会の間で停戦し話し合いを行ったので、しばらくの間平穏であったが、戦闘が再度勃発した。逮捕拘束されている全員を釈放するよう、ミンダッ郡国民行政組織が要請したが、軍評議会はこれに応じず、5月12日の話し合いはなくなった。

再度の戦闘開始
 ミンダッ郡国民行政組織と軍評議会の間での話し合いがなくなり、5月12日夜、ミョウマ警察署とミャンマー経済銀行の近くで戦闘が開始された。
 翌日5月13日午前中、ミンダッ市の東へ3マイルほど行ったところにあるティンチャウン通り分岐の近くで、チャウトゥ市から応援に来た軍用車7台を国民防衛部隊が攻撃した。
 この直接攻撃で、軍評議会の軍隊による戦闘用の銃、肩に担ぐロケットランチャーでの攻撃のみならず、ミンダッ市から18マイル離れたところにあるチャウトゥ市にいる砲兵(ランチャー)隊からの激しい攻撃もあり、国民防衛部隊のマウン・ホウンタンホウン(17歳)が直接攻撃による怪我により死亡し、6人以上が負傷した。
 ミンダッ市外においてそのように戦闘が激しく行われていた時、ミンダッ市内においても午後2時くらいから戦闘が始まった。
 軍評議会は住宅地の中で武器を用いて銃撃をしたので、サンピャ地区の公務員住宅に暮らす30歳の女性医療従事者1名が銃弾に当たったために手術をうけていると地元民らが述べた。
 ミンダッ市内にいる歩兵第274部隊本隊を含め、市内に部隊を配置する軍評議会の軍隊と、国民防衛部隊の間で発生した市内戦は、昼間から夜9時ごろまで続いたことがわかった。
 昨日(5月13日)、ミンダッ市東部と市内における戦闘発生と同様に、市西部においてもマトゥピ市から移ってきた軍用車6台を、市から30マイル以上離れたところでミンダッ市国民防衛部隊隊員が待ち伏せして攻撃した。
 約8000フィートの高さの山岳部にあるこれらの場所で、国民防衛部隊隊員は伝統的な先込め銃を使って不意打ち的に攻撃した。
 昨日、軍評議会は市内外の3か所から激しく攻撃をし、ミンダッ市を占領できるよう努力したが、上手く防衛することができたとミンダッ市国民行政組織のメンバーが述べた。

2日間連続の激しい戦闘
チン州南部ミンダッ市では、本日(5月14日)においても軍評議会の軍と国民防衛部隊が激しい戦闘を行っている。本日、ミンダッ市東部の戦闘は市により一層近くなってきていることがわかった。
 市東部の戦闘は、市と2マイル離れた場所にあるゴルフ場の近くに到達し、朝6時頃から双方での銃撃が始まったとのことだ。
 しかし、チャウトゥ市側からの大型武器での攻撃の勢いが明らかに弱まった後、国民防衛部隊が再び優勢になったという。
 「大型武器がドンドンと着弾する合間に、先込め銃を持ち300~400ヤードくらい無理して前に出て打たねばならないのだ。彼らは銃でやり返すのではなく、ロケットランチャーで撃ってから前進してくる。だから、自分たちはどうしても前進できないので、ロケットランチャーの間を縫って何とか前進し、接近戦のようにして撃たなければならなかった」と市東部の本日朝の戦闘に関して国民行政組織メンバーが述べた。
ミンダッ市内でも午前10時頃に双方で銃撃が始まった。軍評議会は狙撃手を使って救急車も銃撃していたので負傷者をまだ搬送できていないことを地元民が明らかにした。
同様に、市西部で発生している戦闘においても市から16マイルの場所まで到達しており、本日夕方まで激しい銃撃が続いていることがわかった。
本日昼間に、軍評議会はヘリコプターを使用し、ミンダッ市内の歩兵第274部隊に援軍を送ったと考えられ、夕方には市内において軍評議会の部隊はドローンを使って調査していることがわかった。
ミンダッ市内外3か所で発生した本日の戦闘において、国民防衛部隊の4名が死亡し8人以上が負傷したこと、軍評議会側でも約5名が死亡したこと、国民防衛部隊隊員が本日夜9時に本メディアに述べた。

軍事独裁打倒のための国民からの援軍
 昨日、ミンダッ市で軍評議会の軍隊と国民防衛部隊の間で激しい戦闘が起こっていた時、チン州南部の一つの市であるカンペレッ市と、チン州と州境を接するマグエ管区ソー郡においても地元民が軍評議会の軍隊を不意打ちで攻撃した。
 ミンダッ市の東に20マイル離れたところにあるソー郡において、昨夜、軍評議会の軍隊と国民防衛部隊が戦闘を行ったところ、兵士5名が負傷し、一人は重傷であることをソー郡国民防衛部隊が昨日発表した。
 同様に、ミンダッ市の南に20マイルほど離れたところにあるカンペレッ市においても、昨夜、国民防衛部隊が軍評議会の軍隊を先制攻撃した。
 ミンダッ市で激しい戦闘が行われているとき、他の市においても同時に行われた戦闘で、軍評議会の軍隊に対して援軍を送るには困難を伴う可能性があると地元民が述べた。
 「今、一致団結して立ち上がったら、どこであっても彼らの援軍を送る時間はあるはずがない。今のようにミンダッに強く圧力がかけられているときに、(軍に対抗する人たちに単に)拍手をして(応援している気になって)いれば(圧力が)解消すると思っているなら、(それは間違いで)独裁者は継続して長期に生き延びるだろう。可能な方法で、残っている市町村すべてが立ち上がったなら、彼らは身動きできなくなる」とミンダッの地元民が述べた。
 軍評議会に激しく抵抗しているミンダッ郡国民防衛部隊は、国民統一政府(NUG)と接触してあるが、効果的な支援をまだ何も得られていないとのことだ。
 ミンダッ市において戦闘が再度始まってから48時間以上となり、武力、兵士の人数で勝っている軍評議会の軍隊を、国民防衛部隊が伝統的な先込め銃や水平二連元折れ式の銃、手製の地雷を使って抵抗し攻撃している。

ミャンマーナウ 2021/5/14


この記事の原文はこちら

同じジャンルの記事を見る


翻訳者:ビルマ語メディア翻訳班(SA)
記事ID:5918