クーデター軍による選挙が実施不可能であることが明らかになってきた

2022年09月15日付 その他-ミャンマーナウ紙 紙

ロシアの通信社が選挙について質問した際、「話すのは時期尚早」「状況を見て決定する」「予断を持つことはできない」などとミンアウンフラインは曖昧に言葉を濁して答えた。

トゥタゾー 9月15日

政権を奪取して1年の間に、改めて選挙を実施して大統領になるとミンアウンフラインは考えた。しかし、抗議活動が武装革命闘争になったことで、緊急事態の期間を2年にまで延長した。

現在緊急事態の期限まで4か月しか残っていない。他の事情全般に加え、軍事的にも外交的にも、状況が芳しくなくなっているミンアウンフラインとして、選挙の実施を延期しようと考えている証左が現れてきた。

最近訪問したロシアにおいて、クーデター政権の指導者が選挙について発言した。ロシア国営RIA通信が行ったインタビューにおいて、いまだ不安定な政治状況の他に、選挙についても発言した。

ミンアウンフラインの回答に対し疑問を抱いたRIA通信社の記者は、「現在起きている状況と、議論した点を考慮すると、今後の短期間の間に選挙を実施することはあり得ないと思われるが、一定期間延期することはあるか」と質問を重ねた。

そのような確認の質問にも、ミンアウンフラインはどっちつかずの返答をした。

「我々としては今話すのはまだ早い。あと4,5か月程残っている。状況を見て、決定する。政治というのは、目の前のことに反応して予断を持つわけにはいかない。我々は状況を見なければならない」と述べた。

「選挙が実施できるか否かというのは、和平と経済状況が好転し、政治も安定する、その状況に大いにかかっている。できるだけ我々はすでに言ったとおりに選挙が実施できるよう懸命に努力している」とミンアウンフラインは理由を述べた。

クーデターのリーダーの曖昧模糊と回答する様子は、選挙の延期を考えていることを明示した。

明かな憲法違反で権力を奪取したのに、ミンアウンフラインは「権力を統率した」と世界をだました。2008年憲法はその時以来、息の根を止められてしまった。選挙を延期するとして、ミンアウンフラインにその権限があるのか否か、憲法の条項を精査しなくてはならない。

憲法上の軍評議会の有効期限

2021年2月1日朝、憲法が権限を与えていない第一副大統領であるウー・ミンスェが臨時大統領の名で国防治安評議会を招集した。その後、緊急事態に係る条項を含む2008年憲法第11章第417条によりミンアウンフラインに三権を移譲した。

憲法第431条で、「国防治安評議会は国家権力を行使する際、「国家大統領」の名のもとに遂行されなければならない」と明確に規定されているが、ウー・ミンスェは法と同等の効力を有する命令を臨時大統領の名で発表した。[ウー・ミンスェもまた]2008年憲法を破った人物なのだ。

多くの人が気付いていないのは軍評議会の有効期限である。クーデターにより政権を奪取し、翌日に軍のトップであるミンアウンフラインが憲法の419条により国家統治評議会を組織したと宣言し、自身が議長となった。

軍評議会の有効期限は、憲法の緊急事態が定めた通りである。それは言い換えれば評議会議長であるミンアウンフラインの任期でもある。憲法によれば緊急事態の期限を6か月に一度延長することができるところ、今年の1月31日と7月31日に国防治安評議会の会議を招集し、すでに2度期限を延長した。

憲法により軍評議会の期限は4か月半の時間を残すのみだ。ロシアの通信社のインタビューを受けたとき、選挙に関して、「話すのは時期尚早だ。まだ4,5か月程残っている」とミンアウンフラインが返答したことは、軍評議会議長の任期を計算しての発言であったのだ。

権力を手放さないためのミンアウンフラインの策略

憲法の制定事項は明確だ。緊急事態の期限2年が終了したら、「第418条により」国軍総司令官に国家権力を移譲させるという命令を破棄することを宣言しなければならないと憲法第426条にはっきりと規定されている。

また第429条では、「国防治安評議会は、第426条により、『命令を破棄したことを宣言した日から6か月の間に』憲法の規定事項に合致した総選挙を実施しなければならない」とはっきりと記されている。

従って、憲法の規定事項により、緊急事態の期間が終了した後6か月の間に選挙を必ず実施しなければならないのである。だからこそ、ロシア通信社の質問に対して、曖昧な回答をしたのである。

さらに具体的な答えを持ち合わせていなかったため、「話すには時期尚早である」「状況を見て決める」「予断をもってはならない」「できるだけ懸命に取り組んでいる」などと曖昧模糊とした言葉で当たり障りなく回答したのである。

「言葉が増えると本性が露わ」という通り、ミンアウンフラインの本心が露呈したのだ。

権力を奪取する思惑のあったミンアウンフラインは、2020年の選挙前に何度もインタビューや式典を通じ、機会ある都度理由を示し状況を捏造していた。

現在、ミンアウンフラインは選挙を延期する画策、権力を手放さないための理由を構築し始めている。

いたるところ武装革命闘争の中にあり、芳しくない状況となっているが、全土で隈なく選挙が実施される必要があることを頻繁に喧伝してきたミンアウンフラインのトーンが、今になって変化してきた。

クーデターを起こした指導者としてそのうち、憲法という堅固な基盤が必要であるとして、それを構築する方向に向かって話をするようになるだろうと元少将の一人は話す。

「NLD政権時に315の郡区で選挙を実施したことに対してでさえ、非難していた。彼が実施する場合は315カ所を上回る必要がある。この6か月ではどうしたって不可能だ。できもしないことについて[さも実施するかのように]言ってきたことからして、新憲法起草の道筋を敷き始めている」と連邦団結発展党の元党員であったその元少将は述べた。

憲法に公然と違反して、国民に選ばれた文民政府から権力を奪取した人物ミンアウンフラインが、嘘に嘘を重ねてなんとしても権力を手放さずに済むよう画策しているというのは、全く疑う余地のないことなのである。


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翻訳者:ビルマ語メディア翻訳班HM
記事ID:6497