軍評議会が若者たちの出国制限をさらに厳格化

2024年06月12日付 その他 - RFA ビルマ 紙

軍評議会は6月6日から、海外での労働が許可されるパスポート(PJ)を所持している人々が、観光用パスポート(PV)へ種別変更して申請することを禁じた。

これは5月初めにPJパスポートを所持している男性に対し、海外での就労を禁止して以降、さらにもう1段階追加の措置を講じたものだ。

セキュリティにより氏名を明かしたくないPJパスポートからPVに変更するために努力しているある女性は、軍評議会の禁止により困難に直面しているとRFAに語った。

「私は最初、韓国や日本に行こうと、そのような計画で[PJに]していた。あとでその場合、時間がとてもかかる。それに、ここでも年齢制限であれはダメ、これはダメ、となったので、PVで行くなら、先ずはシンガポールが早い、英語ができるなら可能だと。それが簡単だというので、PVに再変更するために準備していた。そうしている間に調べていくと、PVにももう変更することができないというので、差し当たって就学手続きはしておいたが、その分学費は無駄になった」。

現在のように禁止されたことについては、ミャンマーパスポートオフィスのオンライン上の画面では、まだ公式の発表はなく、パスポート発給事務所おいて、掲示だけして発表している。

ヤンゴンのパスポート取得サービスを提供しているある人は、PJから PVに変更したい人が増えて来たため、有効期限の残りが6ヶ月以下のPJパスポートを所持している人全員のPVへの変更を禁止したと述べた。

「6ヶ月を切っているものを全て禁止している。今また彼ら(軍評議会)がそうしたのは、現在の政治状況により、申請中の人々が大勢一気に、PVに再変更したがっているから。それで人数制限して停止しているんだ」。

この状況に関してパスポートオフィス(ヤンゴン)に電話で問い合わせたものの、回答は得られなかった。

出国しようと努力しているもう1人の若者はというと、現在のように禁止されたため、若者たちの選択肢が失われている、と述べた。

「率直にいうと、これは誰にも出国させたくないという形だ。PJといっても、仕事の募集というのは、試験に合格した人すべてを雇用するのは簡単ではない。だから100人のうち90%くらいは出国させたくないので、停止したという意味だと思われる。選択肢がない、自由が大きく損なわれている、これだけは言うことができる」。

このような禁止の他に、学生パスポート(PE)を申請する際にも、学校の受け入れ証明書を再度要求し、厳しく取り調べている、とパスポート申請をした人々が述べた。

軍評議会が国民徴兵制を実施したのち、18歳から35歳までの徴兵該当者の多くが様々な手段で出国している。その一方で軍評議会が国民徴兵法を早急に実行に移し、兵士を第二期まで召集している。

こうした状況において、徴兵制から逃れる若者たちを軍評議会はあらゆる方法で抑圧していると、国民統一政府(NUG)の人権問題担当大臣のウー・アウンミョーミンが述べた。

「現在行っている行為は国民を多様な方法で困難に陥らせるために企てているのだ。彼らは権限のない法律を制定する。その法律の目的そのものも、自国民を保護するというより、国民を困難に直面させることを意図する類のものだ。それだけではなく、この法律(徴兵)に効力を持たせようとするのを、国民若者たちが避けるだろう。その回避する経路もすべて遮断するのだ。ということは、彼らの真意、誠意は、国家より自分たちの利益のために利用することにある」。

世界人権宣言第13条は、何人も自国の境界内において自由に移動及び居住する権利を有すると示している。このほかにも、自らが居住する国からであれ、その他いずれかの国からであれ、自国を立ち去り、再び戻る権利を有することも明らかにしている。

しかし、(軍評議会に)権力を奪われてしまったミャンマーでは、国内で自由に移動する権利のみならず、出国する権利も、統制され禁じられている。

民主主義発展のための行動委員会(ACDD)、組織化担当ドー・ティンザーシュンレーイーも軍評議会の現在の統制禁止は個人の権利を侵害するものだと批判している。

「そのように、人々の思想、行動、日々の暮らし、さらには仕事まで。これを強引に選択肢を与えず、決定権を与えず、無理矢理国内に押し込めていること、これら行為はすべて人間個々人の当然の権利、思考する権利、また選択する権利を侵害しているのだ」。

この件に関して軍評議会の見解を知るために、軍評議会の報道官であるゾーミントゥン少将にRFAが電話で問い合わせたものの、回答は得られなかった。

軍評議会が出国する権利を統制し、禁止してきたため、ミャンマー人が近隣諸国に不法に入国して逮捕されることも頻繁に起きている。

ミャンマー人の大多数は出国しようと努力し、タイ、シンガポール、マレーシア、日本、韓国や中東諸国を選ぶことが多い。


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翻訳者:HN.M
記事ID:6917